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製造・ものづくり
2021.05.26

在庫リスクが少ないオンラインビジネス「ドロップシッピング」の多様化と成功の秘訣

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1.はじめに

ドロップシッピングとは、ネット上にショップを開設し、顧客から注文を受けますが、商品はメーカーや卸売業者から直接、顧客へ発送されるビジネスモデルです。ビジネスオーナーは、自ら在庫を保管したり、アイテムを直接出荷したりする必要がないため、マーケティング、広告、およびオンラインプレゼンスの管理に注力することができます。

アメリカにおいて、ドロップシッピングは巨大市場です。さらに、世界のドロップシッピング市場規模は2018年に1,022億米ドルと評価されており、2019年から2025年にかけて28.8%の年平均成長率を記録すると予想されています。オンラインショッピングへの嗜好の高まりと上昇により、市場は大幅な成長を遂げると見込まれています。

通販・EC事業は海外進出しやすいタイプのビジネスであり、本業界で成功しているビジネスを参考にすることは、日本から海外進出する足がかりともなるでしょう。

本稿が日本企業の海外進出・海外展開の参考になれば幸いです。

2.ドロップシッピングのビジネスの始め方

まずは、市場調査を行ないます。どの製品が自身のビジネス戦略、市場、顧客基盤にうまく適合するかを調べ、どんなECショップとするのかアイディアを固めます。この際、競合他社の有無や、すでに競合店があればそこが製品をどのように販売しているかを調査します。

次に、最適なサプライヤーを見つけます。製造元に直接交渉することも可能ですが、アメリカには様々なドロップシッピング専門のサプライヤー企業もあります。以下の観点からサプライヤーを選定すると良いでしょう。

● 返品や破損した製品をの処理方法
● 販売から配送まで、注文を処理するのにかかる時間
● カスタマーサポート
● 注文に保険を掛けているか
● オンラインでレビューなどが見つかるか

信頼できるサプライヤーを見つけた後は、フルフィルメントプロセスを完成させて、オンラインショップのシステムにそれを組み込みます。新製品をサイトに掲載し、広告を立ててビジネスをスタートしていきます。

3.ドロップシッピングのメリット

ECビジネスにおいて、ドロップシッピング形式を採用することには、主に以下5つの利点があります。

● スタートアップのリスクを最小限に抑える
● 製品コストの削減
● ストレージとロジスティクスのコストの削減
● 幅広い製品の提供
● 柔軟性

ドロップシッピングは、卸売業者のように莫大なランニングコストをかけることなく、顧客に製品を販売できる低リスクのビジネスモデルです。 このおかげで、他のビジネスモデルよりも早い段階から収益化できる可能性が高いといえます。

4.ドロップシッピングに適した商品

ドロップシッピングのビジネスモデルは、在庫と出荷にコストがかかる商品に特に適しています。例えば、次のような商品は自社で在庫を保有するには費用がかかるので、サプライヤーに在庫と発送を一任できるドロップシッピングではメリットが大きいのです。

大型製品:保管に多くのスペースを占有するため、保管に大きな費用が発生します。
重たい商品:商品の重量が原因で発送に費用がかかりすぎる場合は、メーカーまたは卸売業者から直送するメリットがあります。
壊れやすい製品:壊れやすい製品は、出荷時に特別な注意が必要です。商品の発送・輸送のノウハウの整ったサプライヤーに依頼すれば、出荷の際のトラブルを最小限に抑えられる可能性があります。
貴重品:宝石や、骨董品などの高価な商品を保管する際には、厳重なセキュリティが必要となり、その分保管コストが増加します。
特別な条件:温度管理が必要な場合や光に敏感な素材である場合など、保管に特別な要件がある際には、自社で保管するよりもドロップシッピングの方が適している可能性があります。

特に、スタートアップ企業などでは、会社立ち上げの初期の段階で高額な保管・発送料を必要とする場合のコストは大きな負担となります。ドロップシッピングを通じてこれらの製品を提供することで、コストを抑えながら、ビジネスを発展させていくことが可能になります。

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5.ドロップシッピングビジネスモデルを採用した成功事例

ここでは、ドロップシッピングモデルで大きな成功を収めているECサイト事例を紹介します。

5−1.BlueCrate(https://bluecrate.com/

BlueCrateは、日常生活に必要ないものを集めて販売している直送ショップです。 Shopifyストアのトップ10に入っており、1日あたりの訪問者数は21,000人を超え、月間売上高は100万ドルを超えると推定されています。話題となるような(SNSに投稿したくなるような)普通とは違う面白い製品の販売、Facebook SHOWページの使用、アイテムを宣伝するための社内ビデオの作成、45日間の手厚い保証期間などが成功の秘訣と考えられています。

 

5−2.Dark Horse Marine(https://darkhorsemarine.com/

Dark Horse Marineは、アンカー(錨)というニッチ商品を販売する直送ショップです。ウォータースポーツ、地図作成、およびボートでのレジャーのためのツールなど、関連商品も一緒に扱うことで「トータルボートソリューション」として顧客満足度を高めています。

5−3.PuppyLove(https://puppielove.com/

PuppyLoveは、犬向けの商品販売を専門とする直送ECショップです。ペット市場という成長中のニッチを選んだこと、ペット事情に精通していたこと、サプライヤーから高品質の製品を精査して販売したことが功を奏して、約5000ドルの初期投資から、6か月で、店舗の売り上げは178,000ドルを超え、利益は85,000ドルを超える結果を残しています。

6.アメリカ拠点のドロップシッピング専門サプライヤーの紹介

現在、価格の安さから中国のサプライヤーが勢いを増していますが、アメリカで事業展開を考えている場合は、アメリカを拠点とするドロップシッピングサプライヤーの利用も検討すると良いでしょう。アメリカのドロップシッピングサプライヤーから調達するアイテムは、中国のサプライヤーよりも価格は高いかもしれませんが、配送コスト、速度、サービスの点で優れている場合が多いのです。

 

6−1.あらゆる商品を扱う総合サプライヤー

このタイプのサプライヤーでは、ゲーム、おもちゃ、美容製品、パーティー用品、スポーツ用品、台所用品、ゲーム用品、ペット用品など様々なジャンルを扱っています。

具体的には、Sunrise WholesaleやBryBelly、National Dropshippersなどが大手総合サプライヤーとして挙げられます。

6−2.IT機器や電子機器に強いサプライヤー

ASI PartnerはITハードウェアおよびソフトウェア製品を卸売で販売しています。本社はカリフォルニア州ですが、米国とカナダの13の倉庫に500人以上の従業員を擁する大手で、現在20,000以上の製品を扱っています。

TeleDynamicsは、世界中の事業用・家庭用電化製品を扱っており、そのカタログには8,000以上の製品があります。

6−3.宝飾品や美容グッズ専門のサプライヤー

最近は、宝飾品や美容グッズなどに限定したサプライヤーも出てきています。2007年ニューヨークで創業のFashion Storiesは女性向けの金と銀メッキのジュエリーを設計および製造しています。 イヤリング、ネックレス、指輪、ブローチ、ブレスレットなど様々なアイテムを展開しており、世界中のドロップシッピングビジネスとの取引があります。

2010年カリフォルニア州で創業のBeauty Jointでは、ドロップシッパー向けに化粧品、ヘアケア、スキンケア、アクセサリーを提供しています。 ただし、よりスタイリッシュな製品ラインの提供を受けるには、初期費用19.95ドルと、月額45ドルがかかります。

7.海外進出・海外展開への影響

ドロップシッピングでは、AmazonやEbayなどのECサイトや自社サイトに商品を出品し、注文が入ったら、商品の仕入先(サプライヤー)から直接購入者へ送ってもらうビジネスモデルです。ベンダー自身で在庫を抱えることなく、顧客に製品を販売する事が可能になります。そのため、サプライヤーさえ見つけることができれば、誰でも参入できるため、現在、アメリカでは競争が非常に激しくなっているのが現状です。また、販売利益から第三者に支払わなければならない支払いが発生する点にも注意が必要です。

そこで、重要なのは市場のニッチに狙いに定めることです。本稿で挙げた事例では、どれも他とは差別化を図った商品展開をして成功を収めています。競合相手の少ないニッチを見つけ先駆的なショップを展開できれば、大きな海外市場でも成功することが可能でしょう。

現地の情報やコネクションの少ない企業にとって、在庫や配送などは海外進出においてハードルとなる要素ですが、ドロップシッピングでは信頼できるサプライヤーさえいればこの点の心配は不要となります。海外進出を考えている日本企業にとって、ドロップシッピング方式での事業展開は有力な選択肢となり得ます。

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