目次
1.はじめに

製品バンドルとは、複数の製品をまとめて一つの製品として一つの価格で販売する手法を意味します。この手法は、顧客がより多くの製品を購入するよう促すことを目的としており、売上の平均値を上げ、在庫をうまく消化するために効果を発揮します。
例えば、マクドナルドのハッピーセットは、製品バンドルのわかりやすい事例です。ハッピーセットでは、フライドポテト、ドリンク、ハンバーガー、おもちゃを一つの商品としてまとめ、単品で販売するよりも多くの売上につなげています。
本稿では、製品バンドルの仕組みと、それをビジネスに導入するためのベストプラクティスを米国企業の事例とともに紹介します。
2.製品バンドルのメリット

バンドルすることで、既存の在庫をより多く活用することができます。ここでは、製品バンドルのメリットについて紹介します。
2−1.平均受注額の増加
製品をまとめることで、個々の製品の利益と売上を長期的に増加させることができます。また、一度の購入で複数の製品を購入してもらうことができるため、平均注文額を増やすことにつながります。
例えば、鉛筆を1本だけ購入する代わりに、鉛筆、消しゴム、削り器をまとめて購入してもらうことで、平均注文額が増えるというイメージがわかりやすいでしょう。
2−2.マーケティングコストと販売コストの削減
製品バンドルは、マーケティングコストや流通コストを削減する上でも役に立ちます。展開製品を一つひとつ販売する代わりに、補完的な製品をグループ化し、一つの製品として販売することで、包装や在庫管理の工数、売上あたりの送料を節約できるでしょう。
また、製品バンドルとしてマーケティングすることで、同じマーケティングコストでより多くの製品を顧客に売り込むことができます。
例えば、10個の製品がある場合、10個の製品を個々に販売するよりも、それらをバンドルし一つのユニットとして販売する方が、マーケティングと流通コストを削減し、効率が高まるということです。
2−3.在庫の無駄を省く
売れなかった製品はデッドストックとして在庫に残り、保有コストがかさみ、最終的には廃棄物として処理されます。このデッドストックを、問題になる前に一掃するためにも、製品バンドルは有効です。
売れ行きの悪い製品と、売れ行きの良い製品を一緒にすれば、顧客は「お得だ」と思い、より積極的に購入してくれます。これにより、在庫の無駄を省き、倉庫のスペースを確保し、在庫保有コストを削減することができます。
3.製品バンドルの種類

3−1.ピュア・バンドル
ピュアバンドルでは、バンドルを構成する個々の製品は、単体の製品としてではなく、バンドルとしてのみ購入することができます。この手法では、顧客に提供される選択肢が制限されます。
例えば、世界でミールキットビジネスを展開するHelloFresh (ハローフレッシュ)(https://www.hellofresh.com/) は、ピュアバンドルで成功した企業の代表格でしょう。
HelloFresh (ハローフレッシュ) では、サブスクリプション型ミールキット宅配サービスを展開しており、レシピとともに食材が入ったセットを顧客に配送します。毎週必要な人数の分量とレシピに基づいて献立を提案しますが、食材を単品で購入することはできないようになっています。
3−2.ミックス・アンド・マッチ・バンドル
ミックス・アンド・マッチ・バンドルは、顧客が複数の類似製品の中から選択することを可能にする手法です。これは、主に実店舗で生鮮品やバラ売りなどの動きの速い消費財に対して行われています。
具体的には、顧客が自由に組み合わせられるよう、いくつかの製品を指定し、顧客はその中から自分だけのオリジナルバンドルを作ることができます。この方法は、顧客自身が買いたいものを直接コントロールしていると感じることができるため、製品の価値を高めることができます。興味のない製品を無理に買わせることなく、まとめ買いを促すには最適な方法でしょう。
例えば、米国の大手ファストフードチェーンであるマクドナルドやバーガーキングなどでは、メニューから2つの商品を選んで5ドルなどのお得なキャンペーンを頻繁に実施しています。
3−3.クロスセル・バンドル
クロスセル・バンドルでは、小売業者はメイン製品に追加する形で補完的な製品を販売します。このタイプのバンドルでは、低価格の製品、または高価格な製品に付随する付属品や部品が効果的となります。
例えば、iPhoneを購入した場合、ケースも一緒に購入したいと考えるのではないのでしょうか。そこで、iPhoneとケースをセットで販売するわけです。実際、AppleのオンラインサイトでiPhoneの購入を進めていくと、Appleの製品保証サービス「AppleCare+」への加入やメッセージ刻印サービス、ケースなどの同時購入を案内されます。
3−4.バイ・ワン・ゲット・ワン・バンドル
バイ・ワン・ゲット・ワン・バンドルは、顧客が一つのメイン製品を購入すると、同一の製品をもうひとつ無料でもらえたり、何らかの割引やクーポン、プレゼントを手に入れることができるものとなっています。
例えば、米国の大手小売企業であるターゲットでは「Buy one get one 50% off Toy (おもちゃを1点購入すると、もう1点が50% OFFになる)」セールを、定期的に行い、顧客のまとめ買い行動を促進しています。
3−5.在庫一掃バンドル
在庫一掃バンドルでは、在庫の中で動きの速い製品と、停滞または動きの遅い製品を組み合わせることで、在庫スペースを確保し、在庫保有コストを削減することができます。
具体的には、売れ筋製品に興味がある買い物客が、バンドル全体をお買い得と見て、より購入したくなるように、バンドルに割引を適用します。例えば、サンフランシスコを拠点とする紅茶の専門店であるT-We Tea(https://www.t-wetea.com/)は、お茶の付属品が茶葉よりも早く売れていることに気づきました。そこで、お茶と付属品をセットにすることで、よりお得に見えるようにし、成功しています。
4.製品バンドルのベストプラクティス
4−1. 新製品をバンドルして宣伝する
製品バンドルは、新製品のプロモーションにも利用できます。例えば、人気のある既存製品の購入とセットで新製品を大幅な割引価格で提供することで、顧客に新製品を効果的に訴求することへとつながります。ゼロから新製品を売り込むよりも、マーケティングや販売コストを削減することができます。
4−2.バンドルの選択権を顧客に残す
バンドルの製品を固定するのではなく、顧客側で選択できる要素を残しておくようにします。例えば、複数製品の中から顧客自身が3つのアイテムを選び、カスタマイズされた「バスケット」を作り上げることもできるでしょう。
顧客に主導権を付与することで、顧客自身が製品バンドルを作るというアイデアに納得し、より満足する可能性が高くなります。
4−3.様々なバンドル製品を提供する
前項で紹介したとおり、顧客は選択肢を好む傾向にあります。そのため、複数のバンドル製品を提供して、その中から選んでもらうと良いでしょう。複数のバンドル製品を提供することで、様々な顧客の需要を満たすことができます。
4−4.お得感を打ち出す
製品バンドルの大きな魅力は、顧客がどれだけお金を節約できるかということになります。それぞれの製品を別々に注文するよりも、バンドルで注文した方がどれだけ節約できるかをアピール表示することで、顧客にお得な気分を味わってもらいましょう。「お得感」を感じた顧客は、満足し、リピーターとして継続的に購入してもらえる可能性が高くなります。
4−5.商談成立テクニックとして使う
顧客が製品を購入するかどうか、契約を締結するかどうか悩んでいるタイミングで、最後の一声として製品バンドルのテクニックが使われることがよくあります。
例えば、eコマースサイトで顧客が購入をためらったときに自動的にバンドルサービスを提供するなど、近年このテクニックはよく見られます。
4−6.データを検証する
製品バンドルを導入した後は、その効果について検証するまでが重要となります。どのようなバンドルが最も顧客に人気があるのかを分析し、詳細な顧客データを収集することで、将来的により利益をもたらす製品バンドルを見極めることができます。
5.海外進出・海外展開への影響

バンドルは、既存の製品に付加価値を与えることができます。顧客の好みに合わせて製品をカスタマイズし、顧客の要望に沿うようにすることは、顧客の満足度向上にもつながるでしょう。
ユニークで厳選されたバンドル製品を提供することで、競合他社の差別化も図りやすくなります。倉庫にある在庫を一掃し、顧客の目から見た製品の価値を高め、売上を向上させることができます。
米国企業では、製品バンドルをマーケティングの一環として導入することが一般的です。製品バンドル自体には大きなコストは掛からず、むしろ発送や在庫保管の費用を抑えることも期待できますので、予算の限られた中小ビジネスでも採用しやすいアプローチと言えます。日本企業が海外市場で製品・サービスを展開する場合には、バンドルビジネスの効果を検証して、うまく活用できると良いでしょう。