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海外企業運営
2025.05.31

アメリカ向け越境ECで失敗する企業の共通点6つ【2025年版】

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はじめに

近年、日本企業の海外展開において「越境EC(Cross-border E-commerce:国際越境電子商取引)」は、ますます重要な戦略手段として注目されています。中でも購買力が高く、かつトレンドの発信地であるアメリカ市場は、多くの会社にとって「魅力的で挑戦しがいのあるターゲット」です。しかし同時に、表面的なチャンスの裏には、深く複雑な市場構造と高い参入障壁が潜んでいます。

そして2025年現在、アメリカ向け越境ECは新たなステージに突入しました。
円安や国際情勢の変動、グローバルな物流網の再構築、そして消費者の購買行動や決済手段の変化など、ここ数年で越境ビジネスを取り巻く環境は大きく変わりました。Amazon、Shopify、WalmartなどのECプラットフォームを活用するだけでなく、現地文化・法制度・マーケティングトレンド・サステナビリティ対応といった多角的な視点での設計が求められる時代です。
これらの変化を受けて、かつて通用していた「なんとなくの越境EC戦略」では通用しなくなっています。実際に、ECサイトを立ち上げてアメリカ市場に進出したものの、

・「思ったより売れなかった」
・「想定外のコストがかかり、赤字になった」
・「顧客対応や物流面の壁を超えられず撤退した」

といったケースは後を絶ちません。特に2025年は、越境ECの「勝ちパターン」が再定義されつつある転換点でもあります。

本記事では、2025年の最新状況に即して、アメリカ向け越境ECで失敗してしまった企業に共通する6つの「落とし穴」を整理し、それぞれに対する具体的な対策と実行のヒントをわかりやすく解説します。これからアメリカ市場に挑戦しようとしている企業だけでなく、すでに参入しているが思うように成果が出ていない企業にも、役立つ内容となっています。
2025年の今だからこそ見直すべきポイントを押さえ、変化に対応できる越境EC戦略を一緒に考えていきましょう。

1.ローカライズ不足:英語に訳しただけでは売れない

最も多い失敗のひとつが「ローカライズが不十分」なケースです。
自社の製品やサービスを単に英語に翻訳して「英語のECサイトを作ったからOK」と考えてしまうと、アメリカの消費者には響きません。アメリカの消費者は単なる翻訳には反応しません。たとえば、日本人が好む”やさしい表現”や曖昧な表現は、アメリカでは「回りくどい」「信用できない」と見なされることもあります。
さらに、製品情報における説明文の表現、サイズ表記、価格表示(税抜・税込)、単位(cm vs inch)、さらにはレビュー文化への対応まで、細かく「現地仕様」設定し直す必要があります。ここを軽視すると、どんなに魅力的な商品でも売れ行きは伸びません。

ポイントは、現地文化に即した表現と信頼構築。これはビジネスの基本とも言えます。

失敗の典型例:
・曖昧な表現(例:「なんとなく優しい」「どこか懐かしい」)→ “何がどう良いのか分からない”と見なされる
・サイズ表記がcmのまま → アメリカではinchやfeetが一般的で、コンバージョンが発生し離脱要因に
・商品レビューが少なく、購入後のイメージが湧かない → 購入ハードルが上がる
成功のポイント:
・現地ユーザーが違和感なく理解できるコンテンツを制作する
・文化的トーンに合ったライティング(曖昧よりも明快、主観よりも証拠重視)
・ユーザー視点のカスタマーサポートとUI設計

対策:
・ネイティブライターや現地スタッフによるコンテンツ制作・監修
・アメリカ人ユーザーによるユーザーテストの実施
・商品ページに寸法の両表記(cm/inch)や使用シーンを明記し、疑問点を事前に潰す

2.配送と返品の甘さ:物流トラブルで信頼を失う

アメリカは国土が広く、物流インフラは整っているものの、配送と返品の期待値が非常に高い国でもあります。Amazon Prime文化の影響により、「2日以内の配達は当たり前」「返品無料が当然」はもはや前提条件となっています。配送スピードと返品の柔軟さがユーザー体験に直結します。これを軽視した自社の対応はブランドイメージに大きく影響します。
よくある失敗として、この点を無視したり、日本からの製品発送に1〜2週間かかりキャンセルが多発したり、返品に応じない方針を打ち出すと、レビューで酷評されてブランドイメージが一気に崩れます。また、配送中のトラブルや遅延、返品不可の方針は信頼性を損なう要因になります。これを防ぐ方法としては、アメリカ国内にフルフィルメント倉庫を持つプラットフォーム(例:ShipBob, Amazon FBA)を活用するのが有効です。

失敗の典型例:
・日本から発送→1〜2週間かかりキャンセル続出
・破損・遅延時の対応が遅く、低評価レビューが増加
・「返品不可」と掲げて炎上、SNSで悪評が拡散

成功のポイント:
・スピード・透明性・柔軟性の3要素を満たす物流体制
・返品ポリシーをわかりやすく英語で明記し、安心感を提供
・現地の倉庫・フルフィルメント活用で配送コスト・時間を最適化

対策:
・アメリカ現地の倉庫(Amazon FBA、ShipBobなど)との提携
・追跡機能付きの配送ステータス管理と通知体制
・無料返品・初回割引など、初期障壁を下げる施策の実施

3.マーケティングの現地最適化ができていない

日本国内で通用したSNS広告やSEO戦略が、アメリカ市場では通用しないことが多々あります。アメリカ市場では、SNS広告、インフルエンサー活用、価格比較など、マーケティング方法が日本と異なるためです。特に、アメリカでECを利用する人は、価格に敏感で、「価格比較サイト」「クーポン」「レビュー」を参考にしながら製品ごとに検討を進めます。
また、価格競争だけでなく、”共感”や”ストーリー性”を打ち出すブランド戦略が必要です。そのため、Instagramでのインフルエンサー起用や、TikTokでの短尺動画マーケティングは、もはや「基本戦略」です。上手に”ストーリー”を届ける力も必要で、これがブランディングに直結します。可能な限り、現地のニーズやプラットフォームに対応した施策を展開しましょう。

よくある失敗例:
・日本のように広告を打てば売れると思っていたが、反応が薄い
・英語広告を回したが、クリック率・CVRともに低迷
・価格を下げたが競合との違いが伝わらず、値下げ競争に陥った

成功のポイント:
・ブランドの”ストーリー”や”価値観”を丁寧に伝えるマーケティング
・UGC(ユーザー生成コンテンツ)やインフルエンサーとの連携で信頼構築
・レビュー・口コミ文化を最大限に活用し、第三者視点での安心感を提供

対策:
・現地のSNSインフルエンサー(TikTok・Instagram)との提携
・クーポン・レビュー・比較サイトとの連携戦略
・ブランドストーリー動画を使った広告(例:YouTube Shorts、Reels)

4.法制度・関税・消費者保護への理解不足

越境ECにおける販売は、単なる商品提供にとどまらず「輸出入行為」に該当します。つまり、輸出や輸入に関する法制度・関税・消費者保護といった制度面にも精通していなければなりません。
アメリカ市場における規制や法制度を理解せずに販売を始めてしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。アメリカでは、FDAの規制や消費者保護法、Sales Taxなど、多くの対応が求められます。製品によってはラベル登録や安全性の証明も必要となることがあります。これらを怠ると、際どいところでトラブルを招き、製品が差し止めとなるリスクさえあります。
徴収すべき消費税(Sales Tax)の対応や、一定金額を超える場合の追加関税、食品・健康食品・化粧品などは、FDA(米国食品医薬品局)の認可が必要な場合があります。ラベル表示の義務や安全性データの提出が必要になるケースもあります。

よくある落とし穴:
・HSコードの誤設定で追加関税が発生
・顧客に課税負担が発生し、「だまされた」とレビューに記載
・FDA規制対象商品(食品・健康商品・化粧品)で販売停止

成功のポイント:
・販売前に法制度・規制・関税を事前に調査・整理
・販売価格に関税・消費税を含んだDDP表示で顧客安心
・製品ジャンルごとの規制(FDA・CPSCなど)への対応

対策:
・通関士・輸出入アドバイザーとの事前相談
・DDP(Delivery Duty Paid)での販売体制構築
・FDA認可対応、ラベル表示、成分の英語明記などの対応徹底

5.継続的な運用体制が整っていない

多くの企業が初期段階で全力を出しすぎて、「その先」にある運用体制が弱くなる傾向があります。しかし、本当の勝負は運用フェーズからです。「越境ECの立ち上げ」だけで力尽きてしまい、継続的な運用体制を構築できていない企業も少なくありません。越境ECは「立ち上げて終わり」ではありません。その後の運用(カスタマーサポート、在庫管理、マーケ施策)も重要です。製品ごとの評価やリピート購入を促す仕組みも必要です。むしろ、本当の勝負は運用フェーズにあります。
現地のユーザー対応(CS)、広告運用、在庫管理、レビュー対応、販促キャンペーンの実施など、日々のPDCAが欠かせません。内部体制を整え、継続的な改善と顧客対応を行うことが成功のカギです。相談できるパートナーを確保する、支援ツールを導入するなど、長期戦に備えた構築が求められます。

失敗の典型例:
・顧客からの問い合わせに英語で即応できず、低評価に
・在庫切れや配送遅延が頻発し、信頼失墜
・広告も更新せず、リピーター施策もなく売上が減少

成功のポイント:
・現地視点のCS体制・物流連携・データ分析の継続
・改善PDCAをまわすためのチーム体制や外部パートナーの活用
・CRM戦略(レビュー返信・リピート促進)の実施

対策:
・Shopify PlusやGlobal-eなどの運用支援プラットフォーム導入
・英語対応CSチーム or チャットボット導入
・売上データや広告分析レポートの定期チェックと施策更新

6.決済手段の最適化を怠っている

越境ECで見落とされがちなポイントのひとつが「決済手段の最適化」です。日本国内では主にクレジットカード決済が主流ですが、アメリカ市場ではPayPalやApple Pay、Google Pay、さらには「後払い(Buy Now, Pay Later)」サービス(例:Klarna, Afterpay)など、多様な決済ニーズに対応することが求められます。
アメリカの消費者は「見慣れた支払い手段」が表示されていないと、購入途中で離脱してしまう傾向があります。また、通貨表示が「日本円」のままでは、金額感覚が掴めず離脱の原因になることも。さらに、クレジットカード情報の入力画面における「セキュリティの見え方」も非常に重要で、「このサイトは安全だ」と思わせるUI/UXの工夫も必要です。

よくある失敗例
・「ドル建て決済」に未対応で、カート離脱が多発
・米国で主流の決済手段(PayPalや後払い)を導入せず、利便性が低下
・決済エラー時の対応が不十分で、機会損失
・サイトがSSL非対応、または見た目に不安があり信頼を得られない

対策例
・複数通貨・複数決済手段に対応した決済プラットフォーム(Shopify Payments, Stripe, PayPal)を導入
・カート画面でのUX設計(安全性・簡便性)を最適化
・決済に関するFAQ整備とリアルタイムチャット対応
・モバイルファーストでの決済体験設計(特に若年層のユーザー向け)

まとめ:失敗要因を「予防」することが成功の鍵

アメリカ向けの越境ECで失敗してしまう企業には、「準備不足」「現地視点の欠如」「継続体制の弱さ」といった共通の課題があります。これらは事前の対策や設計によって予防可能です。

越境ECで成功するためには、以下のような要素を包括的に押さえておくことが重要です:
・ローカル消費者の期待に沿ったUX・カスタマーサポート・物流体制の最適化
・現地法制度、関税、輸出入ルールの理解と適切な対応
・文化的背景に即したマーケティング戦略や販売戦術
・中長期的な運用方法・改善に対応できる社内体制やプロセスの整備
・ローカライズされた多言語対応・マルチチャネルでの販売施策
・継続的なPDCA運用とデータ分析に基づく改善施策の実行
・安全で使いやすい「国際決済手段」の導入と運用体制の整備
・信頼できるパートナー企業や専門家との連携

特に国際決済は、アメリカ市場における購買のハードルを下げ、コンバージョン率を大きく左右する重要な要素です。為替手数料や決済スピード、返金対応などの設計を誤ると、購入機会を失うだけでなく、ブランドの信頼も損なう可能性があります。日本とは異なる消費者の期待に応える決済手段の選定と実装は、売上の安定と拡大に直結します。

「商品力さえあれば売れる時代」はすでに終わり、いま求められるのは現地視点で顧客を深く理解し、継続的に信頼を築く仕組みづくりです。「立ち上げて終わり」ではなく、そこから先の継続的な運用と改善が成功のカギを握ります。
いま越境ECを始めるなら、まずは自社の準備状況を見直し、必要な設定と登録、法制度の確認から始めましょう。越境ECは、簡単ではない分、しっかりと準備して臨めば確かな成長のチャンスを提供してくれます。失敗から学び、次の一手を戦略的に打っていきましょう。

まずは、専門家に相談するところから始めよう

越境ECは、単なるECサイトの立ち上げや翻訳作業では成功しません。物流、マーケティング、法規制、カスタマーサポートなど、複数の専門領域が複雑に絡み合い、どこか一つが欠けるだけで全体のパフォーマンスに大きな影響を与えます。

すべてを自社だけで完璧に行うのは現実的ではなく、無理に進めてしまうことで逆にリスクを増大させるケースも少なくありません。だからこそ、経験豊富な専門家や、越境EC支援の実績があるパートナー企業の力を借りることは、時間やコストを最小限に抑え、成功確率を高める賢明な選択です。結果として最短距離での成功に繋がります。

初期段階の戦略設計から運用支援、継続的な改善提案まで伴走してくれる信頼できるパートナーと出会うことで、越境ECはチャレンジではなく「未来の成長戦略の柱」となります。まずは、小さな一歩として、信頼できる専門家に相談してみましょう。

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