アメリカ進出・展開を目指す日本企業をサポートするTandemSprint, Inc.

  • Facebook
  • LinkedIn
  • Line
  • Twitter

アメリカ進出・展開を目指す日本企業をサポートするTandemSprint, Inc.

海外企業運営
2023.02.09

米国で官民ともに注目する没入型技術のメリットとは?〜注目のスタートアップ企業事例とともに紹介〜

  • Facebook
  • LinkedIn
  • Line
  • Twitter

1.はじめに

米国では、2021年6月に約2,500億ドル規模の「米国イノベーション・競争法案(USICA、S.1260)」が可決されるなど、没入型技術やAI技術などの重要な新技術の研究開発、投資、教育訓練への期待が高まっています(https://www.congress.gov/bill/117th-congress/senate-bill/1260)。

また、最近の調査では、2023年までに米国人口の20%近く(6600万人)が仮想現実(VR)を体験し、33%(1億1000万人)が少なくとも月に1回は拡張現実(AR)を利用するようになることが示されています。これらの数値は、消費者にとっても没入型技術が日常のものになりつつあるということを示しています。

没頭型技術は、企業が新事業展開や企業規模を拡大する際にも大きなメリットがあります。例えば、企業がプロセスを合理化し、より安全で生産的な環境を整備する際にも、また顧客とのつながりを強める方法を求めている際にも、没入型技術は有効に働きます。

そこで本稿では、没入型技術をビジネス環境に導入するメリットとともに、没入型技術で注目のスタートアップ企業について紹介します。

2.没入型技術のメリット

2−1.顧客とのつながり強化

デジタル時代において、メディアへのアクセス方法や場所、ブランドに対する認識や付き合い方まで様々な消費習慣が変化しています。このような行動の変化は、マーケティングや広告活動に大きな影響を及ぼしており、企業は新しい顧客の獲得や既存顧客層の維持のために新たな方法を模索しているともいえます。

このような背景の中で、没入型技術の採用は、顧客とつながりを強化するための新しく刺激的な方法となるでしょう。具体的には、次のような効果を得られます。

● 顧客体験に重点を置く
体験型マーケティングは、企業が顧客と強い関係を築くための有効な方法です。イマーシブ技術は、顧客と企業を物理的に結びつけ、ブランドのエンゲージメントを最大化させる力を秘めています。

● 感情的な反応を呼び起こす
没入型技術には、感情的な反応を呼び起こす効果があります。この力を活用すれば、潜在顧客の意識をブランドに向けさせ、心地よい体験を提供することが可能となります。

● 実用的なソリューションを提供する
顧客は、購入を決定する前に、製品やサービスを利用する際の実際のイメージを知りたいと思うものです。没入型体験は、「買う前に試す」機会を顧客に提供する迅速かつシンプルな方法となります。

2−2.製品設計・開発のスピードアップ

製品をより速く、より費用対効果の高い方法で設計・開発できるかどうかは、ビジネス革新を左右する原動力となります。没入型技術を採用することで、企業は製品開発プロセスを大幅に加速し、より短期間で製品を市場に投入することができます。

VRのプラットフォームでは、物理的なプロトタイプに時間とお金を投資することなく、コンセプトをテストし、プロトタイプを開発する共同仮想空間を提供します。高価で時間のかかる物理的な設計プロセスから解放されることで、研究開発チームは、これまでとは異なる考え方、新しいアイデアのテスト、革新のためのより多くの自由を得ることができます。 研究開発チームが迅速に失敗し、そこから迅速に学習できる手段となるともいえるでしょう。

2−3.従業員のトレーニング

没入型技術が企業に受け入れられている重要な分野のひとつに、業務関連のトレーニングがあります。具体的には、以下のような利点が挙げられます。

● 安全かつ現実的な空間を提供し、実践的なトレーニング可能にする
多くの企業にとって、安全性の問題から実地訓練は難しいという現状があります。仮想の職場環境を再現することで、従業員は危険を冒さずに新しいスキルを学び、実践することができます。

● 学習プロセスをスピードアップし、知識の定着率を高める。
実際にやってみることで、知識の定着率が向上し、トレーニング時間が短縮されるというデータがあります(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5878950/)。

● コストを下げる
VRトレーニングはインパクトが強いだけでなく、費用対効果の高いオプションでもあります。例えば、従業員の出張の必要性をなくすことで、直接的なコスト削減につながります。

2−4.より効率的な作業

製造、流通、エンジニアリングの各部門において、没入型技術の採用が進んでいます。これは、没入型技術は日々の作業ルーチンに組み込むこともでき、結果として生産性を向上させ、職場をより安全にすることになるためです。

例えば、世界有数のグローバルサプライヤー企業シーメンスが提供する産業機械業界向けデジタル・モックアップ、ARおよびVRソリューションは、現場の保守エンジニアを支援する業務支援ツールとして利用されています。また、米国Amazonのような大手小売企業でも、ARとIoTデバイスを組み合わせて、従業員の在庫管理や倉庫内の移動に役立てています。

2−5.人材の確保

没入型技術は、企業が優秀な人材を確保し、維持するのにも役立ちます。多くの企業が優秀な人材の確保に苦労している中、グローバルな採用活動や遠隔地でのチームワークがますます重要となっています。地理的な要件を問わないことで、適切なスキルを持つ人材を確保しやすくなります。

また、VRやARのようなテクノロジーは、地理的に離れたチームメンバーが効果的に出会い、一緒に働くための実用的な手助けとして働きます。

3.没入型技術応用で注目のスタートアップ企業

3−1.イマーシブ・トレーニングを提供するARSOME Technology

https://www.arsome.com/

ARSOME Technologyは、米国コネチカット州に拠点を置くスタートアップ企業で、没入型技術および戦略的パートナーシップに特化したソフトウェア開発を手掛けています。同社が提供するシミュレーションを利用したトレーニングは、医療や教育など、さまざまな業界で人気を集めています。

ARSOMEが力を入れているのが、カスタムメイドの没入型シミュレーション・ソリューションの開発です。同社は、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、複合現実(MR)を使って、さまざまな企業向けソリューションを提供しており、さらに、ストーリーボード作成から開発、テスト、展開までの包括的なソリューションセットも利用可能です。

3−2.不動産マーケティングにAR/VRを導入するJuJu Immersive

https://jujuimsv.com/technology

イギリスのスタートアップ企業JuJu Immersiveは、没入型技術を使って、不動産マーケティング・プラットフォームを開発しています。このスタートアップは、不動産販売向けに、写真のようにリアルでインタラクティブなウォークスルーツアーを提供しています。

3D技術とコンピュータゲームのレンダリングエンジンを組み合わせることで、写真のようにリアルなレンダリング、正確な照明、リアルな質感とサウンドを実現しています。また、このソリューションでは、視聴者がリアルタイムで周囲の環境をカスタマイズすることで、よりパーソナライズされた体験をすることができます。

3−3.没入型ヘルスケア・トラッキングを提供するSoftcare Studios

https://www.softcarestudios.com/en/

イタリアのスタートアップ企業、Softcare Studiosは、ヘルスケア向けの没入型トラッキング・ソリューションを提供しています。同社の特徴は、バーチャルリアリティとトラッキングの手法を活用して、リアルなデジタルシナリオを作成することにあります。

このシナリオは、患者のストレスレベルや精神運動能力に応じて、個々の患者に適応させることが可能です。Softcare Studiosのソリューションによって、生活の質を向上させ、ヘルスケアへの介入を最適化します。

3−4.デジタルツインを開発するInvelon

https://www.invelon.com/industria/

デジタルツインは、インダストリー4.0におけるリアルタイムかつ正確な資産情報を提供します。これにより、管理者はボトルネックの特定やプロセスの改善が可能になり、予知保全が実現します。

Invelonは、インダストリー4.0のための没入型技術ソリューションを開発するスペインのスタートアップ企業です。同社では、VRを利用してリアルなデジタルツインを作成し、ダイナミックな3Dデータの視覚化を可能にしています。このソリューションにより、リアルタイムのデータ分析、製造ワークフローの可視化、粒度レベルでのメンテナンスが可能になります。

3−5.モーション&ジェスチャートラッキングを進化させるVicara

https://vicara.co/vicara-motion-engine

インドのスタートアップ企業であるVicaraは、没入型技術デバイスのためのハードウェアソリューションを提供しています。

同社のVicara Motion Engineは、プラットフォームに依存しないモーション&ジェスチャー認識エンジンで、AR/VRアプリケーションに高いメモリ効率を提供します。このプラットフォームは、手や指の動きの正確な再現を可能にし、真に没入感のある体験の創出を可能にします。さらに、このソリューションには、没入型ジェスチャーコントロールが組み込まれており、超リアルな双方向性を実現します。

4.海外進出・海外展開への影響

没入型技術は、業務の効率化だけでなく、従業員や顧客との革新的な関係構築をする可能性を秘めています。没入型技術を有効に導入するために、自社ではどのようなビジネスケースが可能であるか検討してみると良いでしょう。

その際には、本稿で紹介した没入型技術の利点やスタートアップ企業の活用事例を参考にしてみてください。新しいテクノロジーに対しては、正しい知識と明確なビジョンを持って自社にとって適切な導入様式を考えることが成功への近道になります。

また、本稿の最初で紹介したように、現在米国では、国を挙げて没入型技術などの新技術を後押ししています。関連分野にとっては、海外進出・海外展開を検討する上でチャンスをつかみやすい状況ともいえます。米国既存企業とのコラボレーションや未開発のニッチ進出など、自社の技術や事業形態に適した戦略を練ると良いでしょう。

  • Facebook
  • LinkedIn
  • Line
  • Twitter

Contact

    TandemSprint, Inc.は、
    日本の素晴らしい商品・サービスを届け、
    豊かな社会を実現する企業様のアメリカ進出を、
    オンライン・オフライン様々な形で
    バックアップするサービスを提供しています。
    • Facebook
    • LinkedIn
    • LINE
    • X