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海外企業運営
2023.02.02

米国で高まるスモールビジネスへの意識

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1.はじめに

米国労働統計局によると、中小企業のおよそ20%が最初の1年以内に倒産するという厳しい統計があり、長年にわたり中小企業の起業は苦しいとされる実態が明らかにされてきました。

しかし、最近の消費者動向は、スモールビジネス経済を後押しする傾向にあります。例えば、マーケティングリサーチ企業eMarketer(https://www.emarketer.com/)のデータによると、2018年時点で米国Eコマース市場全体の売上の約50%を占めていたAmazonは、2022年現在、米国のEコマース市場の39.5%獲得と数値を落としていることが明らかになりました。もちろん、米国のEコマース売上高は約1兆ドルにも及び、その40%近くを依然として確保しているAmazonの存在は大きいままですが、5年足らずで10%以上も後退したことは着目すべきポイントといえます。

Amazonのような大手小売業者が低迷している要因のひとつに、消費者からの持続可能なショッピング手法への関心が高まっていることが考えられます。特に、ミレニアル世代とZ世代の消費者を中心に、環境配慮への意識が高まりつつあり、自分たちの消費行動が環境にどのような影響を与えるかをよく考えるようになりました。

夜間配送やEコマースブームが環境に影響を与え、トラックの走行量やガス排出量の増加につながっていることを一般消費者自身が懸念しており、持続可能な買い物をするために、地元のスモールビジネスを意識的に選ぶ傾向にあります。特に、環境にやさしい製品や地元で作られた製品に力を入れている企業、堆肥化可能なパッケージやバッグを選ぶ企業などが人気を集めています。

さらに、米国では「ショップスモール」「ショップローカル」を合言葉に、スモールビジネスやローカルビジネスの利用を働きかける動きも活発です。

そこで本稿では、スモールビジネスが地域経済に与える影響や米国でスモールビジネスを応援する取り組みなどについて紹介をします。海外進出・海外展開する事業者にとって、地域経済との繋がりを構築する際にお役立ていただけましたら幸いです。

2.スモールビジネスが地域経済に与える利点

スモールビジネスは、大企業とは異なる形で地域社会に大きな影響を及ぼしています。ここでは、スモールビジネスが地域経済に与える利点をいくつか紹介します。

2−1.地元の雇用

スモールビジネスの中でも、地域に根差したローカルビジネスは、地元の雇用の数を直接的に創出します。地元での雇用は、従業員の通勤や移動の手間を省くことができるため、雇用する側、雇用される側、両者にとって理想的です。地元での雇用が増えることで、地域の失業率も下がり、経済的にも良い結果をもたらします。

また、地域社会が活性化し、ローカルビジネスが増えることで、消費者は大手百貨店で買い物をしなくても、地元企業内で買いまわる形で必要なものを揃えることもできます。ローカルビジネスが注目されればされるほど、その地域の生産性や利便性が高まるといえるでしょう。

2−2.税収の増加

ローカルビジネスが収益を上げると、それが地方税となって地域経済を支えます。すなわち、学校、警察、その他の地域支援システムの充実に繋がります。

2−3.少ないインフラと低いメンテナンス

スモールビジネス立ち上げの際には、新しい建物を建てるのではなく、既存の建物を利用することが一般的です。そのため、新しいショッピングモールやデパートを建設するよりも、労力や初期コストが少なくて済みます。また、地域のインフラを有効活用することで、都市計画への負担が少なくなるでしょう。

2−4.製品の多様性

スモールビジネスは、革新的で多様性に富み、大規模な小売業者では手に入らないようなユニークな製品を扱っています。
また、スモールビジネスでは、地元の他の企業と協力することもよく行われます。地元の他の企業の製品やサービスによって作られた製品であれば、サプライチェーン全体の利益が地域経済に還元されます。

2−5.コミュニティのアイデンティティ

地域社会のアイデンティティを形成することも、スモールビジネスの大きな役割です。地域社会へ参加し大きな存在感を示すことは、その地域の観光に直接的な影響を与えるだけでなく、日常的に行き交う人々とのつながりを持つことにもつながります。
スモールビジネスでは、初めて来た顧客を歓迎する一方で、馴染みの顧客を増やし、地域社会との繋がりを深めていけます。誰もが知り合いのようなコミュニティの温かさを感じることができます。

3.スモールビジネスを経営する利点

スモールビジネスのオーナーには、大企業で働くのとは異なる独特の利点があります。そこで今回は、スモールビジネスを運営することで得られる7つのメリットを紹介します。

3−1.柔軟性があり、チャンスに素早く対応できる

スモールビジネスには、大企業では得難い柔軟性があり、その時必要な変化をすぐに実行に移すことができます。新しいトレンドに乗れる、面白い企画があると思ったときに、自分自身で決断し、試してみることができます。

3−2.専門知識を顧客に評価してもらえる

スモールビジネスのスキルセットは、基本的にかなりコンパクトに集中しています。逆に考えると、スモールビジネスのサービスを選ぶ人は、そのニッチな専門分野を求めているということになります。
スモールビジネスでは、業務の幅を広げるのではなく、自社の専門性や知識を深めることでビジネス機会を増やすことができます。

3−3.独自性

現在の消費者は、大量生産された同じような商品とは一線を画す商品やサービスを渇望しています。しかし、大企業では、画一的で安全なものを作らざるを得ないことも多いでしょう。その点、スモールビジネスであれば、独特な製品やサービスに挑戦することができます。

3−4.良い仕事ができたという喜び、満足感を得られる

スモールビジネスでは、顧客からのフィードバックを直接受け取ることが多くあります。初めから最後まで自身で作り上げ、成功したときの喜びは格別でしょう。これは、大企業ではほとんど得られない経験です。
また、顧客からのフィードバックは、自社の問題点に気づき、どうすれば解決できるのかを理解する上でも有用です。

3−5.顧客とより密接な関係を築くことができる

ターゲットとする顧客について良く理解することは、ビジネス成功にとって非常に大きなアドバンテージとなります。顧客が何を求めているかを理解し、顧客の興味の変化を察知することで、それに合わせて商品・サービスを調整することができます。顧客との距離が近いからこそ、真の顧客ロイヤルティを生み出し、リピーターとなるような永続的な関係を築くことができるでしょう。

3−6.その分野で何が本当に注目されているのか、チャンスを見つけやすい

スモールビジネスの事業範囲は、比較的狭い範囲に集中しています。その結果、大企業が広範囲にチャンスを探さなければならないのに対して、スモールビジネスはどこに自分のチャンスがあるのかを正確に把握できる傾向があります。
ひとつのビジネスに集中して取り組めるため、無駄のないビジネスにもつながります。

3−7.さまざまな階層の管理職を介さずに決断を下すことができる

スモールビジネスのオーナーは、自分自身が上司であり従業員でもあります。
大企業では、何か決断を下す前に、多くの関係部署との相談・調整が必要となります。スモールビジネスでは、自分自身で即座に決断を下すことができます。

4.スモールビジネスを応援する特別な日

米国では、普及したスモールビジネス応援キャンペーンとして、「スモールビジネスサタデー」があります。これは、アメリカン・エキスプレスが大不況のあおりを受けて、スモールビジネスの振興を図るために2010年に開始したイベントです。もともとは、マーケティング施策として生まれたイベントですが、現在は米国全土で定着し、一企業のキャンペーンにとどまらない、全国的なムーブメントとなっています。

スモールビジネスサタデーは、顧客が直接個人店にて、またはオンラインにて、地元の買い物をすることを奨励するためのイベントです。このイベントは毎年11月に開催され、年末商戦におけるスモールビジネスの売上を底上げする重要な機会となっています。

その他にも、National Small Business WeekやNational Women’s Small Business Monthなど、スモールビジネスを活性化させるキャンペーンは様々あります。

● National Women’s Small Business Month
2012年以来、米国中小企業庁(SBA)は、イベントやウェビナーを推進し、女性経営者の声を伝えることで、全米女性小規模企業月間(10月)を支援しています。毎年、中小企業で働く女性を表彰するさまざまなイベントを開催しています。

● National Small Business Week
米国中小企業庁(SBA)は、50年以上にわたり、米国の起業家と中小企業経営者の重要な貢献を称える全米中小企業週間の記念行事を開催しています。次の開催期間は2023年4月30日~5月6日です。

5.海外進出・海外展開への影響

現在、スモールビジネスに対する新たな支援の波が押し寄せる中、起業家にとっては、地元の小さな会社であることをアピールすることは重要なポイントとなります。特に、海外進出や海外展開などで、顧客との関係構築を模索しているビジネスにとっては有効な手段となります。

実店舗を運営している場合は、窓の前に「Shop Small」「Shop Local」のサインを掲げたり、屋内に看板を設置したりして、地域に根ざしたビジネスオーナーであることを表明するとよいでしょう。

また、ビジネスのウェブサイトも、スモールビジネスであることをアピールするため、例えば、以下のような内容を対外的にアピールするとより効果的です。

● 地元で製造されている商品であることを明記する
● 製品の原産地を明確にする
● ビジネスを立ち上げるに至ったストーリーや、地元でビジネスを始めることになったきっかけを紹介する
● ビジネスを展開する地域との繋がりを紹介する
● 従業員を紹介し、地元の雇用を創出していることをアピールする
● 地元の非営利団体を支援したり、近隣の募金活動に参加したりしている場合は、ブログやイベントページでそのことについて触れる

ただし、スモールビジネスに関するマーケティング施策は、実際に小さな規模で店舗を持つ企業にしか通用しないという意味ではありません。自社がすでに大きな基盤を持っているのであれば、スモールビジネスやローカルとのコラボレーションで応援する姿勢を見せたり、日本の特産品を海外にアピールしたりする手段も考えられます。地域社会、一人ひとりの顧客との繋がりを大切にすることで、ユニークな体験を求める消費者に訴求することができるでしょう。

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