2020.9.8
海外営業支援

海外進出のために現地デジタルマーケティングの最新手法を学ぶ

1.はじめに
今日では、様々なテクノロジーが開発・発展し、状況は急速に変化しています。そして、そのようなテクノロジーに関連があるデジタルマーケティングの変化には特に目を見張るものがあります。新しい手法が日々増えており、デジタルマーケティング担当者は最新情報を入手するために力を注いでいます。なぜなら新たなトレンドを把握しておくことは、ビジネスを継続的に成長させていく上で重要なことだからです。

海外進出を考えている日本企業においては、デジタルマーケティングは特に押さえておきたい部分です。なぜなら、海外市場に展開する際に、現地の消費者に直接自社の商品やサービスを紹介する上で、海外で主流・人気となっているマーケティング手法は非常に効果的であり、それらなしでは海外市場に乗り遅れる可能性があるからです。

海外でトレンドとなってから、少し遅れて日本に入ってくることも多いので、海外進出を考えている場合には、現地で流行しているマーケティングトレンドを把握しておくことが重要でしょう。そこで、本稿では2020年の主なマーケティングトレンドをいくつか紹介します。海外進出の際にマーケティングで遅れを取ることのないように、是非積極的に取り入れてみてください。

2.買い物に直結するSNS投稿
現在では、多くの人がソーシャルメディアを利用しています。ソーシャルメディアには、いつでもどこでも簡単に情報を得ることができるユビキタスな性質があり、これはオンラインマーケティングにおいて不可欠な要素です。実際、SNS上で購買活動を行う人も増えてきています。

例えば、Instagramユーザー2,000人を対象に行なった調査では、Instagramの投稿を見た後にファッション、美容、またはスタイル関連の購入を行った割合は72%にも上りました。また、Pinterestユーザー4000人以上を対象にした調査では、70%がPinterestを使用して新しい製品や興味深い製品を見つけていることがわかりました。これらの数値はビジネスにとってSNSの利用が大きなチャンスになることを示していると言えるでしょう。

定番のSNSプラットフォームの多くでは、企業がソーシャルメディアを通して、顧客に直接そして簡単にアクセスできるようになっています。具体的に紹介すると、Facebook、Pinterest、Instagramでは、SNS投稿自体にeコマースストアで購入可能オプションを作成することができ、このような設定を行えば投稿を見たユーザーがその投稿から直接商品を購入することができるのです。このようなSNSマーケティングでは、新しい顧客にすばやく簡単にリーチできるため、新しいビジネスを立ち上げる際に非常に有効だと言えます。ソーシャルメディアを利用すると、ユーザーに到達するまでの販売プロセスを短縮することができるのです。このように、直接購入可能なSNS投稿を行うことが今後のスタンダードになると予想されます。

3.仮想現実と拡張現実
近年、拡張現実と仮想現実の両者に大きな注目が集まっています。拡張現実(AR)とは、実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を仮想的に拡張することです。仮想現実(VR)とは 、人間の五感を同時に刺激することで人工的に作られた仮想空間をあたかも現実かのように体感させることです。

トレンドとしては、VRの方が先行して注目されていましたが、近年ではARの人気が高まっており、さらにVRとARを融合させた複合現実(MR)というものも出てきています。

実際にARをマーケティングに利用している事例をご紹介します。家具販売の大手企業であるIKEAでは、ARを使ったアプリを使って、同社の製品を自宅で試せるようになっています。消費者は自身のスマホを使って自宅内の好きな場所に、IKEAの商品を置いてみることができ、雰囲気やサイズ感から購入を検討できるのです。さらに、ARで試した家具でウィッシュリストを作成することもできます。この手法によって、購入までのエンゲージメント向上へとつなげているのです。従来IKEAでは、実店舗で顧客自身が商品を確認して購入するスタイルでしたが、近年ではアプリなどを通じて商品購入につなげるマーケティングにも力を入れているようです。

日本企業が海外進出する際には、実店舗ではなく、オンラインショップのみで展開することも多くあるでしょう。その際、消費者から実際の商品を手にとって体感してもらうことができないのが課題となります。しかし、ここにARなどを利用すれば、消費者は自宅にいながら商品を試すことができ、消費者に商品の良さを伝えやすくなることでしょう。

4.インタラクティブでパーソナライズされたコンテンツ
コンテンツマーケティングの重要性が認識されてから暫く立ちますが、現在でもコンテンツを充実させることはマーケティングの基本です。消費者にとって有益で高品質なコンテンツを提供することは、検索上位を狙い、顧客へのエンゲージメントを上げるために必須となります。ビデオコンテンツはその他の形態のコンテンツよりも、消費者の目に止まりやすいと言われていますが、特に近年ではライブビデオに注目が集まっています。

実際に、Facebook LiveとInstagram Liveにおいて、録画ビデオとライブビデオを比較すると、後者の方が約3倍も長い時間の視聴時間となることがわかっています。このようにライブ動画が好まれる背景には、現在多くの消費者がインタラクティブなコンテンツを求めていることがあると考えられます。インタラクティブなコンテンツはそうでないものに比べて、消費者自身の意思で他の人に共有したいという気持ちを高め、そのブランドの認知度を高めるのに役立つのです。

また、今後はよりパーソナライズされたコンテンツの重要性も高まってくるでしょう。世間一般に向けられたマーケティングに対して、消費者は自分に関係ないものと感じる傾向があり、従来のマスマーケティング的な手段では効果が大幅に低下するのです。そこで、パーソナライズ化がプラスに働きます。

実際に1,000人規模の調査では、90%がパーソナライゼーションに魅力を感じていると述べており、80%はパーソナライズされたコンテンツを提供する会社を利用する可能性が高いと言うデータがあるのです。

このパーソナライズされたマーケティングは日本のおもてなし文化に通じるものがあり、その点、日本の企業にとっては有利な面もあります。消費者は多数に向けたメッセージではなく、自分個人に向けたメッセージを望んでいるということを念頭に、マーケティングを展開するとより効果的だと意識すると良いでしょう。

5.マーケティングトレンドのキーポイント
誰もが新しい情報を簡単に得ることができる現在、消費者は時代の変化に非常に敏感で、日常的な消費行動の中にもスピード感や、革新が求められる時代となっています。そのため、時代遅れなサービスやで面倒な手順は一気に顧客離れを引き起こすのです。これは企業が販路拡大のために行うマーケティング施策においても当てはまります。

つまり、企業は消費者が目新しく感じるサービスを次々に生み出し、それをトレンドに合った手法で消費者に訴求していく必要があるのです。近年のマーケティングトレンドでは前述の通り、SNSが大きな役割を果たし、デジタルマーケティングが中心となっています。ソーシャルメディアのプラットフォームを離れることなく企業の販売サイト、購入・決済まで行えることが増えています。このような消費者の「気になる」という気持ちが下がらないうちに、わずか数ステップ購入まで到達させることができるのかがマーケティングの鍵となるでしょう。

このようなトレンドの中では、実店舗におけるオフラインの小売とeコマースの垣根はより一層取り払われていくことになります。これまで実店舗とオンラインではそれぞれ別のアプローチとして施策が練られていましたが、今後はタッチポイントが異なるだけという扱いになり、複数のタッチポイントを持つひとつのカスタマージャーニーとなっていくでしょう。そのため、企業側としては、消費者の購買活動を数値化・分析・対策する際に、実店舗とECサイトに対して統合されたマーケティングを行う必要があるのです。

6.最後に
ビジネスを成功させるには、新しいトレンドを把握しそれを取り入れるのはもちろんですが、顧客中心のマーケティング施策を行うことが重要です。つまり、これまで別の分野と考えれられていた、マーケティングとカスタマーサービスを横断する手法が効果的でしょう。

なぜなら、顧客の満足度を上げることでコンバージョンが増加し、口コミが増加し、自然発生的なマーケティングへとつながっていくのです。

デジタルマーケティングの普及とカスタマーファーストへの変化は、日本企業が海外進出する上でプラスに働く可能性があります。なぜなら、新しく市場に参入する企業にとってデジタル媒体のほうが気軽に取り組めるものであり、また日本では平均して高品質なカスタマーサービスが行われており、これらをアメリカの市場で展開できれば消費者の満足度を上げることができる可能性があるのです。

一方で、日本の企業文化としてこれまでのやり方を変えるのに時間がかかるということが言われており、デジタルマーケティングのトレンドについていけないと感じることもあるでしょう。しかしながら、テクノロジーは進歩し続け、誰もが新しいもの、より効率的なものを追求しています。現地で認知されていない日本企業が海外進出をする際には、トレンドに乗ったマーケティングはビジネス成功の鍵を握る重要なものです。

日本のきめ細やかなカスタマーサービスの良さと、最新のトレンドやテクノロジーを取り入れたデジタルマーケティング施策を融合することで、現地企業に負けない強いマーケティングを展開することができるでしょう。

本稿がアメリカなどの外国において、又は日本から海外に向けて、デジタルマーケティングを行う企業様のお役に立てますと幸いです。タンデムスプリントグループでは、日本企業によるデジタルマーケティングを使用した海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2020.8.22
海外営業支援

新型コロナウィルスによって需要が急増、アメリカの主要な食品宅配サービスのビジネスモデルの特徴

1.はじめに
新型コロナウィルス(COVID-19)のパンデミックにより、家にいながらオンラインで食料品を注文したいと考える消費者が世界的に急速に増えています。例えば、アメリカ国内のデータを見てみると、2020年6月のオンライン食料品の売り上げは72億ドルに達しました(Brick Meets Click/Mercatus Grocery Survey:https://www.mercatus.com/press-releases/june-online-grocery-sales-for-delivery-pickup-climb-to-7-2-billion/)。これは2019年の8月に比較すると、6倍の増加です。また、顧客数に対しても、同時期の比較で約3倍に増加しています。

実は、このようにオンラインで食料品を注文し、自宅まで届けてもらうサービスはCOVID-19のパンデミック前から既に成長過程にありました。そして、パンデミックをきっかけとした需要の高まりにより、成長が加速したのです。なお、オンラインでの食品宅配サービスの市場規模は食料品全体の売り上げが年間7,000億ドル以上であることを考慮すると、まだ僅かなものであり、将来的に大きな成長性を秘めています。

本記事では、アメリカの主要な食品宅配サービスのビジネスモデルを紹介しています。サービスの特徴を比較し、成功の鍵を考察することで、今後日本企業が海外で食品宅配サービスに参入、展開する際の参考になれば幸いです。

2.主な食品宅配サービス
2−1.Amazon Fresh(アマゾンフレッシュ)

・アマゾンプライムメンバー向け
・利用料:プライムメンバーは無料
(ただし、プライムメンバーの一般会費は$ 12.99 /月または$ 119 /年)
・送料:35ドル以上の購入で無料(地域によっては$50以上の購入で無料)

アマゾンフレッシュのサービスは、2,000以上の都市で利用でき、食料品チェーンWhole Foods(ホールフーズ)が注文を処理する地域では2時間で配達されます。消費者は、肉や乳製品から果実、野菜、調理された食品、紙製品まで、あらゆる種類の日用品・食料品を、食料品チェーンと同等の価格で購入できます。食品は温度調節された状態で配送されるため、注文品が届いたときに必ずしも在宅しておく必要はありません。注文品は指定の場所に消費者自身が受け取りに行くことも可能で、その場合最低購入金額の制限はありません。

2−2.Amazon Pantry(アマゾンパントリー)

・アマゾンの全顧客向け(アマゾンプライムメンバーでなくとも利用可能)
・利用料:無料
無料
・送料:5.99ドル。 アマゾンプライムメンバーは35ドル以上の購入で無料

非生鮮品、特に洗濯洗剤など重いものを必要とする消費者から人気のサービスです。アマゾンパントリーでは、5.99ドルの送料で、ダンボール1箱分の日用品・食料品を配達してもらうことができます。5個以上の商品注文で、全額から5%割引、10個以上の商品注文で10%の割引となります。アマゾンパントリーの強みは品揃えが豊富なことで、肉や乳製品から果実、野菜などの生鮮食品以外であれば、ほとんどすべてのものを購入することができます。消費者は注文の過程で、カートに商品を追加すると、箱がどれだけいっぱいになったかを確認できます。

2−3.Instacart(インスタカート)

・インスタカートに登録で利用可能
・利用料:購入総額の5%の手数料。Expressメンバーの場合は手数料が引き下げられる(Expressメンバーの一会費は月額$ 9.99または年額$99)
・送料:3.99ドル〜7.99ドル。Expressメンバーは35ドル以上の購入で無料

ニューヨーク、ボストン、サンフランシスコ、シカゴなどの大都市圏から始まったサービスですが、現在ではより広範囲で利用できるようになりました。インスタカートは、買い物代行プラットホームのような形をとっており、地元スーパーと提携して顧客に代わって店頭で買い物、配達をしてくれます。Safeway、Kroger、Acme、Albertsonsなどのスーパーマーケットチェーン、地元の高級食料品店、Petco(ペット用品店)やCVS(ドラッグストア)などの小売業者に加えて、CostcoやSam’s Club(会員制倉庫型店舗)とも提携しており、消費者のさまざまな日用品・食料品のニーズを満たしてくれると人気が高まっています。消費者がオンラインで注文を入れると、数時間以内に、代行者が買い物を行い、代替品が必要な場合は消費者とやり取りをし、消費者の自宅まで届けてくれるのです。

なお、インスタカートでの販売価格は必ずしも店頭価格と同じとは限りません。それぞれの小売業者はインスタカートの顧客に請求する金額を決定できるので、店頭販売価格にいくらか上乗されることもあるのです。ただし、メーカーのクーポンやプロモーションによる割引も積極的に展開されています。

2−4.Walmart Grocery(ウォルマートグロッサリー)

・ウォルマートグロッサリーに登録で利用可能
・利用料:30ドル以上の購入で無料
・送料:7.95ドル〜9.95ドル。Delivery Unlimitedメンバーは無料(Delivery Unlimitedメンバーの一会費は月額$ 12.95または年額$ 98)

ウォルマートグロッサリーでは消費者がオンラインまたはアプリを介して食料品を注文すれば、手数料無料で店頭に受け取りに行く、あるいは送料を負担して自宅に配送することができます。ウォルマートでは日用品から、食料品、玩具類など幅広い商品を取り揃えており、それを店頭と同じ低価格で買い物ができることが特徴です。

店舗では、注文された商品を買い物袋に詰め、準備が整ったら消費者に連絡を行い、消費者は受け取り場所で購入商品を受け取る仕組みです。受け取りは指定場所で待機するとそこに荷物を持ってくれる仕組みが一般的で、車から降りて店内に入る必要がないので便利です。ウォルマートグロッサリーのサービスは、店舗での受け取りオプションは約3,100店舗、自宅への配送オプションは約1,600店舗で利用できます。

2−5.FreshDirect(フレッシュダイレクト)

・フレッシュダイレクトに登録で利用可能
・利用料:30ドル以上の購入で無料
・送料:$5.99〜、DeliveryPassメンバーは無料($79/6か月またはAnytime DeliveryPassの場合は$129/年、週半ばのDeliveryPassは$39/6か月)

ニューヨークの都市部でのみ展開しているフレッシュダイレクトは、地元の農場や職人の生産者を中心に商品を調達・販売しています。また、ミールキットやジビエ肉やチーズを注文できるオプションもあります。価格は決して安くありませんが、頻繁な販売とクーポンがあります。食品にこだわりをもつ消費者層からの人気が高いサービスです。

3.新規参入の新しいビジネス形態
3−1.仮想コンビニエンスストアチェーン「DashMart(ダッシュマート)」

フードデリバリーサービスの大手、DoorDash(ドアダッシュ)は、最近「ダッシュマート」と呼んでいる仮想コンビニエンスストアチェーンの立ち上げを発表しました(https://blog.doordash.com/introducing-dashmart-1891ecc0257d?gi=dd7655eecbdc)。この仮想コンビニエンスストアチェーンは実店舗を持たず、ドアダッシュアプリ内にのみ存在するものです。同社は米国の8つの都市(オハイオ州コロンバス、オハイオ州シンシナティ、テキサス州ダラス、ミネソタ州ミネアポリス、アリゾナ州フェニックス、ユタ州ソルトレイクシティ、カリフォルニア州レッドウッドシティ)で同サービスを展開し、その後全米に拡大していくと計画しています。

ドアダッシュではこれまでレストランからのフードデリバリーサービスに特化していましたが、近年の日用品・食料品デリバリー市場拡大を受け、新しい分野に挑戦しようとしています。

3−2.Uber(ウーバー)も食料品の配達事業に参入

ウーバーは2020年7月、ラテンアメリカとカナダの一部の都市で食料品の配達事業を開始することを発表しました(https://www.uber.com/newsroom/introducing-grocery-delivery/)。この背景には、2019年後半に行われたCornershopの買収があります。Cornershopはチリのサンティアゴに拠点を置くスタートアップで、ラテンアメリカ市場に食料品のデリバリーサービスを広めた実績がありました。ウーバーではまず、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、ペルーの19都市でサービスを開始し、その後米国市場にもサービスを拡大する予定です。

4.競争力を上げる鍵
前述の既存サービスの中では、インスタカートがオンライン食料品市場の過半数のシェア(57%)に到達する順調な成長を見せています(https://www.foodnavigator-usa.com/Article/2020/08/07/Online-grocery-usership-settles-into-new-normal-finds-Chicory-survey)。これまでは、実店舗の巨大なネットワークを武器にウォルマートが大きなシェアを占めていましたが、インスタカートがここに来て急成長を遂げたのです。例えば、既存第2四半期から第3四半期にかけてでは、インスタカートは+14.22%の成長を見せています。この市場調査を行ったレポートでは、インスタカートの成功は、1つのブランドに限定することなく、さまざまな小売業者を利用できるというビジネスモデルに起因していると考察しています。

現在、多くの企業が食品や日用品のオンライン宅配市場に参入していますが、その中で競合企業に打ち勝てるかどうかは、以下に消費者のニーズに寄り添えるかというところが大きいでしょう。中には急激に発生したニーズに応えきれず、顧客満足度の低下、消費者離れにつながることもあり得ます。注文が急増するなかでも安定的に商品を届けられる事業者は消費者の信頼を得て、パンデミック収束後も事業を継続・成長させられると言えるのです。

5.今後の展望と日本企業の参入について
COVID-19の猛威により、従来の店頭での買い物を避け、オンラインでの注文、自宅への配送サービスを利用する人が増えています。これまでは、便利な新しいサービスという位置づけにあったものが、生活に欠かせないサービスへと立ち位置を変えてきたとも言えます。いまもなお世界はCOVID-19と戦っており、今後もこのようなサービスへの需要の高さは続くことでしょう。

そして、一旦オンライン宅配サービスに馴染み、利便性を実感した消費者は、COVID-19のパンデミックが終焉した後も利用を続けることが予想されます。つまり、本サービスは長期的なビジネス市場として捉えることができます。一方で、成長が見込める市場として、参入企業が続々と登場していることも事実です。今後は、他の競合企業との差別化を図るためのオリジナルの商品展開や、きめ細かいカスタマーサービスなどを提供することが成功の鍵と言えるでしょう。

日本企業が本サービス関連で海外進出を考える場合、アメリカではWalmartやAmazonなどの大手企業が既に参入していることを考慮する必要があります。日本の企業が海外展開として全く新しいサービスをゼロから構築するのはなかなか難しいものでしょう。そこで、既存の大手企業と提携し、プラットフォームの構築や、カスタマーサービスなどのソフト面で海外進出を始めることも一つのアイデアです。まずは、提携という形で海外進出の基盤を作り、その後独自のサービスとして差別化、独立化していくという基本的な手法は、この分野にも当てはまるように思います。

本稿がアメリカでのオンライン宅配市場に参入しようとする企業様のお役に立てますと幸いです。タンデムスプリントグループでは、日本企業によるオンラインサービスへの参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2020.8.22
海外営業支援

アメリカ企業のリモートワーク継続の傾向:現地人材確保のためにワークスタイル変更の事例を学ぶ

1.はじめに
新型コロナウィルス拡大による自宅待機令などを受けて、アメリカでは大手企業を中心にリモートワークの継続を続々と発表しています。また、世界有数のリサーチ&アドバイザリ企業Gartnerが317社のCFOを対象に行った調査では、その74%が、少なくとも5%の従業員を通勤から在宅勤務にシフトさせ、永続的にリモートワークを続けていくと返答しています。また、全体の約1/4が20%の従業員を永続的なリモートワークへと移行させると答えているのです(https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2020-04-03-gartner-cfo-surey-reveals-74-percent-of-organizations-to-shift-some-employees-to-remote-work-permanently2)。

このことは、企業自身がリモートワークを行うことのメリットを自覚しているということでしょう。今後の成り行きが不確実な中、アメリカにおける基本的なワークスタイルが急激に変わってくるとことが予測されます。日本企業が海外展開・海外進出する場合には、現地の企業とのやり取りや、現地採用が不可欠です。その際、現地のワークスタイルを考慮したやり方をしなければ、スムーズな取引や、良い人材の雇用は難しくなります。

そこで、本稿ではアメリカで急激に変化しているワークスタイルについて、具体的な企業の事例とともに紹介します。アメリカのトレンドを把握し、日本企業が海外展開・海外進出する際の参考にしていただければ幸いです。

2.各企業のリモートワークポリシー

ここでは、大手テック企業のリモートワークポリシーについて紹介します。なお、ここで紹介する内容は2020年5月28日時点のものであり、現在は変更・延長されている可能性があります。

2−1.Facebook

Facebookは7月6日にオフィスを再開する予定ですが、2020年末までリモートワークを継続することを認めています(永続的にリモートワークを認める可能性も示唆されています)。また、5月21日にCEOのマーク・ザッカーバーグ氏が従業員に向けたライブストリームの中では、リモート勤務を前提とした雇用をアメリカ国内で開始することを発表しました。また2020年後半には世界中の従業員について、希望者がリモートワークに切り替えられるように進めていくことも語っています。将来的には、リモートワーク率50%を目指していくとのことです。

2−2.Google

Googleでは、一部の従業員については6月よりオフィス勤務を再開するものの、多くの従業員は2020年末までリモートワークを継続するとしています。Googleでは、段階的なオフィス再開スケジュールを計画しており、そこでは10%から20%の従業員をオフィスに戻すことから始め、年内に20%から30%の従業員がオフィス勤務に戻れることを目標にしています。そして、その計画では従業員は毎日オフィスに来るのではなく、週に1度という低頻度を想定しています。

2−3.Twitter

Twitterでは、新型コロナウィルスによるシャットダウンが解除された後でも、無期限に在宅勤務を許可するとしています。Twitterのオフィスは早くても9月までは再開されませんが、これにはサーバーメンテナンスを担当する従業員のように、オフィスに戻ることを義務付けられている従業員には適用されません。Twitterは大手企業としては先手を切って3月に在宅勤務への切り替えを指示しました。この背景には、新型コロナウィルスの問題が生じる前から、本社のあるカリフォルニア州サンフランシスコではなく、別の地域からリモート勤務する従業員を増やす「分散型労働力」を奨励する計画を表明していたこともあり、リモートワークへの準備がある程度整っていたことが考えられます。

2−4.Amazon

新型コロナウィルスにより、自宅で過ごす人が増える中、Amazonのような配達サービスの需要は急速に高まっています。そのため、Amazonでは4月に倉庫内で作業する従業員を175,000人追加雇用しています。このようにAmazon倉庫は需要に応答するため稼働していますが、オフィスは3月より閉鎖され、そこで働いていた従業員は在宅勤務に切り替えています。Amazonの発表によると、オフィス勤務の従業員に対して、再開の具体的な日付は設定していないものの、在宅勤務は少なくとも10月まで継続するとのことです。

3.リモートワークが従業員の健康に与える影響と企業の対策
新型コロナウィルスのパンデミックが2020年3月に発表されて以来、リモートワークへの切り替えが進んでおり、多くの企業がリモートワークを長期間継続することを決めています。

そのような中、リモートワークが従業員の身体的・精神的健康にどのような影響を与えているのかについて注目が集まっています。B2Bの研究や評価を行っている企業、Clutchが2020年6月に行った調査では、従業員の39%が新型コロナウィルスのパンデミックによる影響で仕事の生産性が低下していると感じていることが明らかになりました(https://clutch.co/hr/resources/employee-health-affected-by-covid-19)。

また、同調査によると、企業の半数以上(57%)が従業員の心と体の健康を考慮してサポートを行っており、その具体的な内訳は以下のとおりです。

● 柔軟なスケジュールで仕事を行える(28%)
● リモートワークに関する定期的なアドバイスを受ける(23%)
● 専門的なカウンセリングまたはセラピーの機会を提供する(21%)
● 有給休暇または病気休暇を増やす(14%)
● 従業員の目標値または評価基準を変更する(13%)
● バーチャルソーシャルイベントまたはコミュニティイベントを開催する(11%)

企業が行っている具体的なサポート例をいくつが紹介します。

ソフトウェア開発会社のSmart IT(https://smart-it.io/)では、新型コロナウィルスのパンデミック以降、以下のようなサポートを従業員に提供しています。

● スケジュールの変更:部署や職務の要件に応じてではありますが、従業員には「wiggle room」と呼ばれる柔軟な勤務スケジュールが提供されています。
● 病欠の拡大:従業員は診断書なしに、最大3日連続で疾病休暇を取得することができます。
● 仮想イベントの実施:従業員はさまざまな仮想イベントに参加できます。例えば、オンラインでのお茶休憩 (「SmartITea」)と金曜日のハッピーアワー(「Smart IT Bar」)を主催しています。 さらに、同社では定期的なオンラインゲームトーナメントやInstagramチャレンジというイベントも開始しています。
● 専任の人事相談員を派遣:従業員は、人事部と職場での課題と成功、会社への提案について話し合うことができます。

Googleでは、帰宅勤務の環境を整えるために購入した機器やオフィス家具に対して、最大1,000ドルまで補填すると明らかにしています。

この他にも、インターネット費用などの在宅勤務で増える負担の軽減やオンラインフィットネスプログラム、オンライン学習などの手当てを提供している企業も増えています。

4.おわりに
新型コロナウイルスの影響により、リモートワークへの圧力が世界中で一気に高まっています。特にアメリカでは倉庫勤務で従業員を危険にさらしているとAmazonに批判が集まるなど、企業のコロナ対策の一挙一動に注目が集まっています。

革新的な声明を先んじて出したのがFacebook社です。Facebook社のCEO、マーク・ザッカーバーグ氏は次のように語り、今後リモートワークを一層拡大するとしています。

“When you limit hiring to people who live in a small number of big cities, or are willing to move there, that cuts out a lot of people who live in different communities, have different backgrounds, have different perspectives“

「大都市に住んでいる、あるいはそこに移住してもよいと考えているごく一部の人々だけを採用の対象と考えていると、多様なコミュニティに属し多様な背景、多様な視点を持つ多くの人々を排除することになる(和訳)」

このように、本社はアメリカ都市部にありながら、雇用はアメリカ地方、あるいは世界中から採用するという動きは、海外進出を考える日本企業にとって歓迎できるものとなるでしょう。なぜなら、海外展開した日本企業が、現地で雇用を確保するのは簡単ではなく、遠隔地雇用はこの問題解決の糸口となりえます。

新型コロナウィルスの行方は不確定であり、在宅勤務のトレンドはしばらく続くことが予測されます。このような情勢の中で、企業としては在宅勤務へのサポートを充実させることが、従業員の満足度や生産性を高め、また優秀な人材を確保するためにも重要です。

さらに、在宅勤務の拡大を受けて、コミュニケーションやコラボレーションツール、また従業員の心と体の健康を維持するためのオンラインフィットネスやカウンセルングプログラムの需要も高まってきています。これらのジャンルは大きな成長を期待できるマーケットとなる可能性が大きいといえます。今後海外展開を考えている日本企業は、新しいビジネストレンドに注目することも、チャンスを広げるうえで重要になるでしょう。

本稿が北米に進出し、現地で人材を採用して活動しようとする企業様のお役に立てますと幸いです。タンデムスプリントグループでは、日本企業による北米進出・日本からのマネジメントについてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2020.7.31
海外営業支援

アメリカの不動産市場のトレンド「PropTech」オンライン化が進むアメリカの不動産ポータルとは?

1.はじめに
現在、米国の住宅市場は上昇傾向にあり、2018年には前年比1.9兆ドル増の、合計市場規模33.3兆ドルを達成しました。その年の年間売上高は1.7兆ドルに達しますが、そのうち約10%に当たる1,700億ドルは、不動産取引関連の手数料が占めています。この手数料の部分には、不動産業者や証券会社、銀行とタイトル会社などが関与しており、この部分の利益に注目してビジネスを行うことが近年のトレンドとなっています。

本稿では、次世代の住宅市場ビジネスとして注目を浴びている「Proptech」について紹介します。アメリカで成長を拡大している二大PropTech企業、ZillowとRedfinの取り組み実例とともに、アメリカのPropTech市場のトレンドを概説しますので、日本企業が不動産業界で海外進出する際のヒントになれば幸いです。

2.Proptechとは?
PropTech(プロパティテクノロジー)は、個人や企業が不動産の調査、購入、販売、管理を行う際に情報技術(IT)を使用することを意味します。例えば、FinTechが金融におけるテクノロジーの活用に焦点を当てているのと同様に、PropTechは不動産業界のニーズにデジタルイノベーションを活用することといえます。

PropTechでは、買い手、売り手、ブローカー、貸し手、家主を含む、不動産市場に関わるあらゆる参加者に対して、手続きや業務のプロセスを合理化することを目指しています。具体的なPropTechテクノロジーの事例としては、不動産の内見を仮想空間で行えるVRソフトウェア、不動産の修理やメンテナンスを報告・依頼するソフトウェアなどがあります。

PropTechについて、市場セグメント別に詳しく見ていきましょう。

①スマートホーム
スマートホーム内の特定の不動産資産を監視、管理、または操作するデジタルプラットフォーム。例えば、不動産所有者に脅威情報を警告するセキュリティ監視システム、無人の部屋の温度を調整するスマートサーモスタット、またはAmazon EchoのAlexaなどのデジタルアシスタントで電源をオン・オフできるスマート電球などがあります。

②不動産の共有
土地、オフィス、倉庫、アパートなどの不動産資産の共有またはレンタルに関連する手続きを促進するテクノロジー。例えば、不動産管理会社が所有する建物に占有されている小売スペースの自動オンライン支払いがあります。

③不動産FinTech
不動産資産の売買を伴うアプリケーション。例えば、購入の承認に関わる事務処理の量を削減するプラットフォームがあります。

現在、PropTechの新しい波が高まっています。従来のPropTech企業は、ソフトウェアのみをベースとするものが多かったのですが、現在では「取引手数料」による利益を期待できる以下のような立場から、PropTechを活用することが注目されています。
●住宅ローンプロバイダー
●証券会社
●エスクロー/タイトル会社

3.アメリカのPropTech企業の紹介
3−1.Zillowの事例
Zillowは、2006年に設立のシアトルに本社を置く企業で、大手不動産情報サイト「Zillow」を運営しています。1億1千万を超える米国の住宅のデータベースを要する売買・賃貸のプラットフォームとして、多くの消費者から利用されています。また2014年には、同業者のTruliaを買収、集約化が進むアメリカの不動産情報業界の中でも力を強めている企業です。

Zillowは、多彩な情報をワンストップ収集、提供できることが強みであり、物件の概要、過去の価格推移、ローン計算機能や価格査定、売買事例などの情報を一気に得ることができます。特に、Zestimateという不動産の想定価格を算出・公開するツールではアメリカの不動産取引の参考になれるほど強い信頼と影響力を有しています。

Zillowの主な収益源は広告掲載料で、大手不動産会社や独立系不動産会社に所属する個人エージェントが支払う広告掲載費でこれまで収益を上げてきました。しかしながら、近年では積極的な提携や事業展開により、不動産情報以外にも、仲介・ローン業者とのマッチング、契約書類サポートなど不動産総合サービスへと事業を拡大しています。

3−2.Redfinの事例
Redfinは、2004年に設立で、Zillowと同じくシアトルを本社とする企業で、大手不動産情報サイト「Redfin」を運営しています。Redfinは不動産情報サイトの運営だけではなく、2006年という初期から物件の購入・販売サービスを展開しているのが特徴です。これによって情報サイトからの広告費と不動産売買からの仲介手数料の両方を収益にできるビジネスモデルを展開しています。

Redfinでは、テクノロジーと不動産のプロのあわせ技によって、非常に高精度な不動産推定価格の算出ができることを売りにしています。Redfinでは、まずAIを活用して不動産価格を査定した後、最終的には地域のエージェントに繋ぎ、推定価格を最終調整します。

3−3.ZillowとRedfinの違い
ZillowとRedfin、どちらの会社も不動産に焦点を当てていますが、スタート地点は大きく異なる分野にありました。Redfinは証券会社から、そしてZillowはメディアと情報会社としてビジネスを始めていたのです。その際、Zillowはブローカーの広告費から収益の大部分を受け取っていました。Redfinは、他の仲介業者よりも少ない手数料を武器にした住宅販売を始め、さまざまな不動産サービスを通じて収益を得ていました。

近年、両社は住宅販売における市場シェアの拡大を目指す中で、ともにビジネスの分野を拡大しており、距離が縮まっています。ただし、Zillowの年間収益が13億ドル、時価総額86億ドルに対して、Redfinは年間収益の4億8,700万ドル、時価総額16億ドルと、Zillowの方がはるかに大きな企業です。

Redfinは不動産業界で長年習慣とされてきた不動産業者やエージェント優位なコミッション割合を、ユーザー優位に変えたゲームチェンジャーとして評価を受けています。

3−4.ZillowとRedfinの目指す未来
競合大手であるZillowとRedfinですが、両者ともにインスタントオファープログラムのサービス拡充を近年狙っていると言われています。実はアメリカでは、所有の不動産を売り、別の家を買うことを、何度も繰り返すことが一般的です。しかし、所有の不動産が売れないままに、新しい不動産を購入した場合には、一度に2つの不動産分の支払い行う、あるいは購入を保留せざるを得ないなど、不動産売買のタイミングには困難がつきものです。

そこで、注目されているのがインスタントオファープログラムです。これは、現在所有の不動産をすばやく売却し、そのお金を次の不動産を購入するために必要な資金に充てることができることを意味します。インスタントオファープログラムが普及すると、不動産市場が活性化され、売り上げを拡大できる可能性があるため、 Zillow、Redfinともにインスタントオファープログラムの普及を目指していると考えられています。

4.新型コロナウィルスによる影響

世界で猛威を振るう、新型コロナウィルスですが、新型コロナウィルスによってアメリカの不動産業界も大きな影響を受けています。具体的には以下のような変化が見られています。

●通常不動産購入前には、オープンハウスと呼ばれる内見を実施しますが、現在、売り手の方が不特定多数の人を家に入れることを避ける傾向にあります。同様に、買い手自身も、オープンハウスに出向くことを控える傾向にあるでしょう。
●エージェントは、オープンハウスの訪問者名簿の情報を元に、不動産購入に強い興味がある人への勧誘・類似不動産の案内などを送ることができません。
●不動産売買に興味がある消費者を集めた地域のイベントの開催が見送られており、そのイベントを介した新しい契約の獲得が落ち込んでいます。
●ビデオなどによるバーチャルツアーの需要が急速に高まっています。
●インターネットやモバイルに対応していない不動産取引に対して不便に感じる人が多くなり、自宅にいながら契約まで行えるサービスの需要が高まっていくでしょう。

これまで不動産業界では、主要なマーケティング媒体として紙媒体の広告が多く利用されてきました。しかし、時代の移り変わりに、新型コロナウィルスの影響が重なり、新しいモードのビジネスへと急速に変化しています。自宅にいながら、不動産情報を検索、見学でき、オンラインで契約を進められるようなインターネットマーケティングが重要になっているのです。

5.おわりに
アメリカにおいて巨大な市場規模である不動産業界ですが、この業界を今後リードしていくのはPropTechだと予想されています。そのような中で、海外のPropTech市場に新しく参入する日本企業が、大手に競合するサービスをいきなり立ち上げ、ビジネスを成功させるのは簡単ではないでしょう。ただ、そのようなサービスに使ってもらえるようなツールやプラットフォームのエリアでは、成功の可能性が高いと考えられます。

実際、日本のPropTechはアメリカに比べると市場規模はまだまだ小さいですが、不動産特化型チャットアプリ「Atlicu」や不動産売買業者向けの業務支援システム「キマール」など、不動産取引にテクノロジーを導入するサービスが増えてきています。日本のサービスは、パーソナライズされたきめ細やかなものが多く、ユーザーに寄り添ったサービスを強化したい海外市場で重宝される可能性があるのです。

今後求められる需要や、まだ発展していないニッチに注目して、海外進出をすることが日本企業にとっては成功の鍵となると考えられます。そして、海外進出で成功を収めた際には、既に日本より進んだ状態にある海外のPropTech市場のノウハウを日本に逆輸入することで、日本国内で大きな新しいビジネスを展開できる可能性も十分にあると考えられます。

本稿がPropTechで不動産業界に参入したり、不動産業においてデジタルイノベーションを活用しようとする企業様のお役に立てますと幸いです。タンデムスプリントグループでは、日本企業によるPropTechの活用や不動産IT事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2020.7.1
海外営業支援

越境ECや海外でウェブ通販ビジネスを始める際にトレンドの製品とニッチを見つける方法(米国の成功事例を参考に)

1.はじめに
インターネットの発達とスマートフォンの普及、新型コロナウィルスによるオンライン販売への重要の高まりにより、ECビジネスの市場規模は今後も拡大していく見込みです。ある調査では、世界のB2CのECビジネスの市場規模は2019年には3.35兆米ドルに達し、2020年から2027年までの年平均成長率(CAGR)は7.9%の高い値を示すという予測データもあります(https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/b2c-e-commerce-market)。

ECビジネスは、消費需要をリサーチし、何を販売するか決めることから始まります。日本の企業がECビジネスで海外進出する際には、現地の流行や文化などを十分にリサーチする必要があります。ECビジネス立ち上げにはブランド名、ウェブサイトデザイン、マーケティング、 配送など、様々な項目を準備しなければなりません。しかし、まず第一に決めなければならないのは、何を売るかということです。

オンラインビジネスの立ち上げがこれまで以上に容易になっている現代、ECビジネスの競争は激しく、市場は飽和しており、消費者はこれまで以上の消費体験を求めています。つまり、現地の市場で受け入れられ、現地の競合に負けない人気商品を見つけるのは簡単ではないといえます。

本記事では、海外のEC市場で成功を収めている企業の実例とともに、ECビジネスで何をどのように販売すべきかについて考えていきます。

2.販売商品のタイプ:コモディティ化製品とニッチ製品の選択
コモディティ化された製品とは、人々の生活に必要不可欠で大きな需要があるものです。現在のオンライン販売の大部分はこのコモディティ化製品が占めているともいえます。例えば、大手ブランドによって販売されている汎用的で似通った食品、衣服、玩具などがコモディティ化された製品です。

一方で、ニッチ製品とは、ターゲットを絞った特定の顧客に向けた商品またはサービスといえます。多くの場合、これらのニッチ製品は他に類を見ないユニークさを持っており、新しいECビジネスではこのようなニッチ製品を発掘し、販売することが成功の鍵であるといえます。

ニッチ製品は、多くの場合、小ロット、またはオンデマンドで製造されます。具体的には、受注発注型の手作りのネックレス、旬の食材を使った小ロットのフローズンヨーグルト、オーダーメイドの革製品などが例として挙げられます。しかし、ニッチ商品はコモディティ化製品に比べ、収益性が劣る側面があります。そこで、現在ビジネスとして注目されているのがコモディティ化製品とニッチ製品を組み合わせて販売をし、利益率を高める手法です。

コモディティ化商品のみを販売するのでは、競争力で大手ブランドに負けてしまいます。なぜなら、大規模なオンライン小売業者やマーケットプレイスでは、商品を大量に仕入れ、コストを削減、収益性を確保できます。しかし、新規参入企業が大手と同じ土俵で競争するのはコスト面で非常に難しいのです。

その代わりとして、独自の製品やサービスで他との差別化を図り、顧客を獲得しつつ、コモディティ化製品も同時に販売していくのです。

Tyler’s(タイラーズ)の事例
https://www.tylerstx.com/

タイラーズでは、Billabong、Simply Southern、Yetiなどの人気ブランドアパレル製品に加えて、独自の服やアクセサリーを販売しています。一つのオンラインストア内で、ニッチ製品とコモディティ化製品の両者を提供することで、消費者に利便性という付加価値を提供し、顧客の獲得を行っているのです。

3.販売する製品を選択する方法
製品やサービスのアイデアを考える中では、消費者の抱える問題を解決してくれる製品、 競合他社が実現していない新しい市場、ユニークな製品の位置付けとマーケティングを考慮に入れる必要があります。

Bliss(ブリス)の事例
https://www.blissworld.com/

具体的な成功事例として美容およびスキンケアブランド「 Bliss 」を紹介します。ブリスは1996年に設立され、ニューヨークにおいて新しいスタイルのスパとして事業を開始しました。スパ品質のスキンケア製品を提供しています。

2018年2月に若年層の消費者にターゲットを定めたリブランディングを行い、同年9月には、消費者が簡単なスキンケアクイズに答えると、パーソナライズされたスキンケアアドバイスを提供するサービスを始めています(「消費者の抱える問題を解決してくれる製品」)。このスキンケアアドバイスでは、肌のタイプ、年齢、居住地などの顧客情報を収集すると同時に、ブランドと顧客との間に共同体意識を育むこともできます。

また、Blissでは最先端の技術や有効成分をスキンケア商品に取り入れ、他ブランドとの差別化を図っています(「競合他社が実現していない新しい市場」)。さらに、PETA認定や、商品開発段階における動物実験の不使用いうブランドイメージを全面に押し出し、顧客に訴えかけています(「ユニークな製品の位置付けとマーケティング」)。

4.ブランディングの重要性

「ブランディング」とは、企業のブランドの価値を高め、消費者にとってのメリットを大きくすることで消費者から選ばれるブランドづくりをすることです。つまり、ブランディングの目的は「企業価値を向上させること」とも言うことができます。

しかし、この企業価値というものは、消費者のイメージとして蓄積されているもので、お金として視覚化するのは容易ではありません。しかし、目には見えにくいこの価値こそが、企業の差別化要因であり、ECビジネスで優位に立ち、長期的に成功するためには不可欠なのです。

ブランディングには複数ありますが、例えば以下のものが挙げられます。
●ロイヤルティ(例:動画視聴といえばNetflix)
●認知(例:ディオールから新しい香水が出ている)
●品質の知覚(例:ル・クルーゼなら品質に間違いない)
●ブランド連想(例:テスラ=環境に優しい)

消費者が普段の生活の中で無意識に感じていること、そして無意識のイメージに基づく行動は非常に大切なのです。新しいブランドを立ち上げる際には、どのようなブランドメッセージを作るかが重要であり、消費者の共感を集める強力なブランドメッセージは、競争相手との差別化に役立ちます。

ブランドメッセージを作成する過程では以下の項目を検討する必要があります。

●ターゲットにする消費者層
●製品のタイプ(コモディティ化製品/ニッチ製品)
●ブランドメッセージをとなるキャッチコピー
●ブランドメッセージを伝えるための商品設計、ウェブサイトデザイン

Solo Stoveの事例
https://www.solostove.com/

Solo Stoveでは消費者に共鳴するブランドエクスペリエンスを作り上げることに注力しています。具体的には、家族や恋人など大切な人との思い出を作り、絆の再構築というブランドメッセージを掲げ、それがビジネスの成功につながっています。このブランドメッセージの軸への集中こそが、同ブランドを愛用してくれる消費者を通したオーガニックマーケティングへつながり、飛躍的な成長を遂げたのです。

なお、オーガニックマーケティングとは、広告を使わずに、検索エンジンやSNSの自然流入を利用した集客手法のことを意味します。既存のユーザーや訪問ユーザーの行動やフィードバックを分析し、ターゲット層に合った質の良い情報を公開し情報量を増やし続けることで、広告展開なしに潜在顧客に見つけてもらいます。

消費者に刺さるブランドメッセージを設け、それを活用して消費者の自発的なコミュニティを作成することが、オンラインストアを成長させるための重要な要素です。

5.トレンドの把握

新しくECビジネスを始める際には、既存市場をリサーチして、新興市場を発掘することが有効です。競争相手の少ないニッチ市場を活用すれば、自社ブランドの展開のハードルは下がることでしょう。 なぜなら、競合の少ない市場では、一気に顧客を獲得、後続の同業者に対しての優位性を獲得できるからです。

具体的なトレンドとして、以下のカテゴリが近年注目を集めています。

●外出時に便利な健康補助食品
●クラフト飲料(モクテルなど)
●サブスクリプション型のボックス(化粧品、食品、飲料など)
●CBD製品
●日記帳のようなパーソナルプランナー
●ペットフード
●製品開発に動物実験を行っていない美容製品
●カメラと写真関連製品
●シェイプウェア

6.おわりに
このように、ECビジネスの普及が進んだ現在では、いかに他のECビジネスとの差別化を図るかが重要です。時代の移り変わりとともに、消費者の需要も変わりますので、ニッチ市場にうまく参入することができれば、ECビジネスで成功するチャンスは十分あります。

ECビジネスに関して、日本に比べてアメリカのほうが市場規模が大きい状況にあります。ここにまだ市場が開拓されていない製品やサービスを投入することができれば、国内のみで展開するよりも、非常に大きな成功を収めることも可能でしょう。

ただし、メッセージ性の高い製品が、必ずしも収益性が高いわけではないことには注意が必要です。この場合、ブランド力を高めるための製品と、収益を出すための製品を織り交ぜて展開していくことも一つの方法として検討しましょう。

これから海外でECビジネスに参入する日本企業では、日本では一般的な製品・サービスであっても、海外では目新しいものもあります。一方で、日本で受け入れられていた形そのままでは、海外の文化や流行にそぐわないこともあります。新しいビジネスを展開する際には、事前のリサーチを十分に行い、現地の消費者に受け入れてもらいやすいブランディングとマーケティングを展開していくことが成功の鍵といえるでしょう。。

本稿が越境ECや海外でのウェブ通販への参入や経営を行う企業様のお役に立てますと幸いです。タンデムスプリントグループでは、日本企業による越境ECや海外でのウェブ通販への参入や経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

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