2021.1.9
海外営業支援

COVID-19で加速するアメリカのメンタルヘルス関連ビジネスと企業の取組み

1.はじめに
近年、多くの雇用主が従業員のメンタルヘルスに取り組んでいます。また、2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを受けて、メンタルヘルスに関する企業の取り組み需要は更に高まっています。COVID-19により、ウィルスへの感染や不確実な経済への不安、およびリモートワークによる社会孤立などが生じており、人々のメンタルヘルスは脅かされているのです。

このような背景もあり、メンタルヘルス関連のビジネスが好調となっています。ウェルネスビジネスに関するレポート「State Of Wellness H1’20 Report:Investment & Sector Trends To Watch」(https://www.cbinsights.com/research/report/wellness-trends-h1-2020/)によると、ウェルネスビジネス全体の資金調達額や取引額は前年に比較して2020年には減少しています。具体的な数値を見ると、全体の資金調達額は2019年上半期の61億ドルから2020年上半期には、46億ドルと前年比16%減少の推移となりました。しかし、メンタルヘルス関連の企業に限定すれば、2020年上半期の資金調達額は前年よりも好調となっているのです。

これは、COVID-19のパンデミックにより、スポーツジムやヘルスケアカウンセリングなどに直接出向くのではなく、ウェルネス製品やサービスを自宅で実施する傾向が加速したことが要因だと言えます。さらに、現在、ステイホームやソーシャルディスタンスの必要性が増しており、人と人との物理的な距離が離れていることで、精神的な人とのつながりを構築できるウェルネスソリューションや孤立感を相談できるメンタルヘルスソリューションがより大きな牽引力を発揮しているのです。

本稿では、アメリカを中心に、メンタルヘルス関連のサービスを展開するスタートアップ企業や従業員のメンタルヘルス向上に取り組む企業の取り組みについて紹介します。日本においては福利厚生としてのメンタルヘルスサービスはまだ一般的ではないかもしれませんが、米国では人材の確保や維持あるいは勤労意欲の向上など企業にとって大きな利益になるものとして、企業によるメンタルヘルス関連サポートが一般的に普及しています。また、従業員の労働環境を改善することは、ブランドイメージの向上にもつながります。短期的には費用がかかったとしても、長期的なメリットはそれを上回るといえるでしょう。

海外で事業を展開することを検討している企業の皆様には、企業としての従業員のメンタルヘルスの向上について積極的に検討することをおすすめします。海外の新しいソリューションや、海外企業の事例を参考にして、海外進出のヒントにしていただけますと幸いです。

2.メンタルヘルス関連のスタートアップ企業の紹介
2−1 ClarigentHealth
https://clarigenthealth.com/

米国、オハイオ州を拠点とする企業、ClarigentHealthでは、AIと機械学習に基づくプラットフォームを開発しており、メンタルヘルスの状態を早期に検出するツールを生み出しています。

Clarigent Healthの強みは特許取得済みのAIであり、このAIは音声を分析する独自の機械学習アルゴリズムとなっています。これは、10年以上の臨床研究に基づいて確立された潜在的な自殺リスクを示す音声バイオマーカーを識別するもので、臨床上の決定とワークフローの効率をサポートするよう設計されています。このプラットフォームは、医療関係者に患者の自殺の心配やその他の精神的健康問題に関する洞察を提供する臨床意思決定支援ツールとして機能することが期待されています。

2−2 7 Cups
https://www.7cups.com/

米国、カリフォルニア州を拠点とする企業、7 Cupsは、モバイルアプリ「7 Cups」を作成して、ライセンスを受けたメンタルヘルスカウンセラーとコーチによるオンデマンドのリアルタイムサポートサービスを提供しています。カウンセラーとコーチは、瞑想と呼吸法のテクニックなどのバーチャルセラピーなどによって相談者を支援します。相談は匿名で24時間年中無休で利用できます。

7 Cupsの特徴は、30万人を超える「訓練を受けたコーチ」と180人のライセンスを受けたメンタルヘルスカウンセラーからなるオンラインメンタルヘルスサポートネットワークです。相談者はコーチとは無料で話すことができ、プロのメンタルヘルスカウンセラーと話したい場合には150ドルを支払います。

2−3 Sentio Solutions
https://www.myfeel.co/

米国、カリフォルニア州を拠点とする企業、Sentio Solutionsは感情を感知するリストバンド型のデバイス「Feel」を開発しています。これは専用アプリと一緒に使うもので、不安障害やうつ病のある利用者にリアルタイムの監視と個別の介入を提供してくれます。Sentio Solutionsでは科学的に証明された行動療法(認知行動療法、マインドフルネス、ポジティブ心理学)と同社独自の感情認識技術の組み合わせた独自のアプローチを特色としています。

不安障害やうつ病などに苦しむ人々にとって、自分の感情を管理し、日常的に感情的な習慣やパターンの変化を追跡することは非常に重要です。Sentio Solutionsの「Feel」は、個人の感情や行動パターンの継続的な監視およびサポートツールとして機能します。

3.従業員のメンタルヘルス問題への取り組みを強化する企業の事例紹介
在宅勤務が急速に拡大し、新しい働き方へと大きな移行をしている現在、従業員がオフィスに出社する機会が少なくなることで、従業員が十分に休息を取れているのか、ストレスを溜めていないかなどを雇用主側が把握するのが難しくなっています。

企業が従業員のメンタルヘルスをいかに支援するか模索している中で、一部の企業は新しい取組みを始めたり、既存のメンタルヘルスプログラムを強化したりしています。ここでは、アメリカの大手企業のメンタルヘルスへの取組みを紹介します。

3−1 Starbucks

2020年4月、Starbucksは、従業員向けの遠隔メンタルヘルスケアサービスを提供するLyra Healthと提携し、従業員に対するメンタルヘルスの福利厚生を拡大することを発表しました。Lyraは企業の従業員と、セラピストやメンタルヘルスコーチなどをつなぐデジタルプラットフォームを提供しており、提携企業の従業員は、1対1のビデオセッションや、認知行動療法(CBT)をベースとしたチャットエクササイズ、進捗状況の定期的なモニタリング等を遠隔で受けることができます。

Starbucksの新しい福利厚生プログラムは米国のStarbucksの従業員とその家族を対象としたもので、Lyra Healthのプラットフォームを通じて、メンタルヘルスセラピストまたはコーチによるセラピーを年間20回まで無料で受けることができるようになります。また、Starbucksの従業員は、Lyra Healthが提供するセルフケアアプリへの無制限のアクセスを無料で受けることも可能です。

3−2 PwC US

PwCは世界157カ国742拠点に276,000人のスタッフを擁する世界最大級のコンサルティング企業です。同企業では「Be Well, Work Well」をスローガンに掲げ、COVID-19のパンデミック前からメンタルヘルスの維持に積極的に取り組んできました。そして、コンサルティング会社としても、多くの企業に対してメンタルヘルスへの取り組みに関する助言を行い、ALM Intelligence「Health and Wellness Benefits Consulting 2019」に採択されるなど、企業のメンタルヘルス戦略のリーダー的存在であると評価を受けています(https://www.alm.com/press_release/alm-intelligence-identifies-best-health-wellness-consultants/)。

COVID-19による従業員のメンタルヘルスへの影響への対策として、PwC US(PwC米国法人)では、従業員がストレスについてプロのコーチに相談でき、1対1あるいはグループでのウェルビーイングコーチングセッションを受けることができるプログラムを発表しました。また、PwC UK(PwC英国法人)は、COVID-19パンデミック時のストレスに従業員がどのように対処しているかを追跡するために、1,000人の従業員にGarminの活動量計を提供しています。

4.海外進出・海外展開への影響
COVID-19によって引き起こされた突然の在宅勤務などにより、不安やストレスを抱える人が増えています。このようなメンタルヘルスの問題は、従業員のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。実際、Total Brainが集計したメンタルヘルス指数の調査結果(米国版)によると、集中力の持続性は、パンデミック前の2020年2月のレベルと比較して2020年8月には31%低下したことが明らかになりました。また、計画性についても、同期間で15%減少しています(https://www.totalbrain.com/according-to-the-mental-health-index-u-s-workers-show-signs-of-improved-focus-yet-remain-significantly-at-risk-for-depression-and-general-anxiety/)。

アメリカの企業では、日本の企業よりもメンタルヘルス関連の取組みを積極的に行っています。海外進出を考えている日本企業は、現地の具体的な事例を参考にして、自社にもメンタルヘルスへの取組みの導入を検討すると良いでしょう。

もちろん、従業員のメンタルヘルスの問題に対処するための雇用主側の取組みには費用がかかります。しかしながら、メンタルヘルスは業績にも直結する深刻な問題であるだけでなく、従業員に働きやすい環境を提供することは雇用主の義務であるという風潮もあります。このことから、従業員のメンタルヘルスの問題に企業として取り組むことは、一定のコストを掛けてでも行うべき投資と考えることができるのです。特に、アメリカでは働く場所を選択する上での優先事項として、福利厚生や働きやすい環境を挙げる人が多く、企業内の労働環境整備は人材確保の上でも有効といえます。

また、COVID-19による経済的な打撃があった中でも、成長中のメンタルヘルスビジネスは今後も高い需要が継続するものと見込まれます。アメリカへの海外進出を目指す中で、現地のビジネストレンドとしても、この分野の成長には注目しておくと良いでしょう。

タンデムスプリントグループでは、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2021.1.7
海外営業支援

個人情報保護のニーズとGDPR・CCPAが後押しするアメリカのサイバーセキュリティ市場

1.はじめに
世界的にサイバーセキュリティ市場は成長を続けています。2019年の世界のサイバーセキュリティサービスの市場規模は668.6億ドル近くに達し、これは2015年から年平均成長率(CAGR)9.4%で増加していることになります。将来予測においても、市場規模は2019年の668.6億ドルから、2023年には910.9億ドルへとCAGR8.0%で増加すると予想されているのです(「Global Cybersecurity Services Market Report」https://www.globenewswire.com/news-release/2020/11/05/2121251/0/en/Cybersecurity-Industry-Overview-Shows-US-To-Account-For-The-Largest-Share-Among-Countries-In-The-Global-Cyber-Securities-Market-2020.html)。企業においても、サイバーセキュリティ関連の支出は大きく、2022年には1330億ドルを超える見通しで、この13年で30倍以上の増加となっています(「2019 Security Spending Outlook」https://www.ariacybersecurity.com/cyber-security-spending-2019-blog/)。

このようなサイバーセキュリティ需要増加の背景には、世界各国のプライバシー規制の厳格化があります。例えば、EU一般データ保護規則(GDPR)においては、プライバシー保護違反を理由に数百億円レベルの制裁金が企業に課される事例が増えており、企業は対策に力を入れているのです。

また、米国においても様々な個人情報漏えい事件を受けて、州ごとにプライバシー規制が次々と生まれています。例えば、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)は、米国で消費者データとプライバシーに焦点を当てた最初の包括的な法律として、カリフォルニア州内で事業を行っているほとんどの企業にプライバシー対策の見直しを求めています。

本稿では、米国を中心に、サイバーセキュリティ関連のソリューションや具体的なスタートアップ企業について紹介します。デジタルトランスフォーメーションやボーダレス化が進む中、サイバーセキュリティは企業にとって最も重要な課題のひとつです。しかしながら、日本企業と海外企業では、サイバーセキュリティへの意識に大きなギャップがあることがわかっており、海外で事業を展開することを検討している企業にとっては、現地に即したセイバーセキュリティ対策を積極的に検討することが重要になっています。

また、今後も成長が期待されるビジネス分野ですので、海外事業を考えているサイバーセキュリティ関連の企業の方は、海外でのトレンドを把握することで、海外進出の戦略設計にも役立つと思います。

海外の新しいソリューションや、海外企業の事例を参考にして、海外進出のヒントにしていただけますと幸いです。

2.サイバーセキュリティビジネスのカテゴリ
サイバーセキュリティビジネスといっても、その対象や内容は様々です。ここでは、具体的なビジネスカテゴリを紹介します。

評価マネージャー

PIAの運用、リスクギャップの特定、コンプライアンスの実証、スプレッドシート、データ入力、レポート作成を必要とする複雑なタスクのスケーリングを支援するなど、プライバシープログラムのさまざまな機能を自動化する。

同意マネージャー

組織がユーザの同意を収集、追跡、実証、管理するのを支援する。データマッピングソリューションでは、組織が企業全体のデータフローを把握するのに役立つ。

インシデント対応ソリューション

企業内でデータ侵害インシデントが発生した際の、状況把握と調査報告に関するソリューションを提供する。

プライバシー情報マネージャー

世界中の最新のプライバシー法に関する広範囲な情報を企業に提供する。

ウェブサイトスキャン

さまざまなCookieやその他の規制の遵守を確実にするために、主にクライアントのウェブサイトをチェック。CookieやBeacon、その他のトラッカーの埋め込みを調査・適正化するサービスを提供する。
アクティビティ監視 組織内において個人データにアクセスできるユーザの権限を管理しアクセス履歴などのアクティビティを監視する。
データ検出組織が所有する個人データの種類を整理し、プライバシーのリスクとコンプライアンスを管理するのに役立つソリューションを提供する。

匿名化/偽名化ソリューション

データを分析してマーケティングなどに活用する際、データの個人情報を匿名化/偽名化するソリューションを提供する。

エンタープライズコミュニケーション

従業員間のやりとりなどから企業情報や個人情報がリークするのを回避するために、組織が安全な方法で内部コミュニケーションするのを支援する。

3.サイバーセキュリティのスタートアップの紹介
InternationalAssociation of Privacy Professionalsの調査によると、企業向けにサイバーセキュリティを支援するソリューションサービスを提供するスタートアップの数は過去3年間で5倍以上に増加しているとのことです。また、「2019 Tech Vendor Report」(https://iapp.org/media/pdf/resource_center/2019TechVendorReport.pdf)では、サイバーセキュリティやプライバシーサービスを販売している企業を紹介しており、そこにはグローバル企業約300社が掲載されています。

ここでは、米国で事業を展開するサイバーセキュリティ関連のスタートアップ企業を紹介します。

3−1.DataFleets(https://www.datafleets.com/

カリフォルニア州パロアルトで、2018年に設立されたDataFleetsは顧客の個人情報を漏洩させるリスクを最小限に抑えるように設計された高度な機械学習ツールが売りのスタートアップです。組織が顧客データを他の場所に移行したり、外部へ漏洩させることなくプラットフォーム内でデータの集約と分析を可能とするソリューションを提供しています。

DataFleetsでは各種コンプライアンス要件への対応を支援しながら、サイロ化されたデータの共有、アクセス、イノベーションをより迅速かつ効率的にすることを目的としています。 また、データへのアクセスを制御する機能も備わっており、データを安全に保つことができます。

3−2.BigID(https://bigid.com/

BigIDは2016年に創業し、ニューヨークを拠点とする企業です。BigIDではAI主導の自動化を用いたデータプライバシーコンプライアンスソリューションを企業に提供しています。

BigIDでは、組織内の全個人情報を検出・マッピングすることができ、企業の顧客だけでなく自社従業員の個人情報データについても保護を支援します。BigIDでは、高度なデータインテリジェンスを使用して、データをプロファイルに自動的に分類し、カタログ化することが特徴です。

3−3.Privacera(https://privacera.com/

カリフォルニア州サンフランシスコで2016年に設立されたPrivaceraは、企業がシステム内の機密情報を発見、管理、および監視するのに役立ちます。 機械学習と分析モデルを使用して、監視対象のデータを継続的に読み込むことで、アラートを生成したり、データ流動を軽減するためのアクションを実行できます。

データの検出とマッピングだけでなく、データフローについても可視化できることが特徴となっています。

3−4.DataGrail(https://www.datagrail.io/

2018年にカリフォルニア州サンフランシスコに設立されたDataGrailは、企業がEU一般データ保護規則(GDPR)、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)、ブラジル個人情報保護法に準拠するのを支援するために構築されたプライバシープラットフォームです。

DataGrailでは150以上の事前構築されたアプリケーションがあり、顧客自身がコードオンボーディングをする必要がないことが特徴です。導入企業自身が手動で設定することなしに必要なプライバシーコンプライアンスが実行されるため、企業側の負担を最小限にすることができます。

4.海外進出・海外展開への影響
世界的に個人情報保護の重要性が叫ばれており、企業のコンプライアンスや各種規制の要求レベルはますます厳しくなっています。そして、サイバーセキュリティ関連ビジネスにとってこの流れは追い風となっており、市場参入するスタートアップ企業が続々と誕生しているのです。

セキュリティに対する意識が高まる中で、機械学習やAIなどの新しいテクノロジーを活用したイノベーションも生まれています。サイバー攻撃が広範かつ高度になるにつれて、セキュリティ対策ソリューションも変化を続けているといえるでしょう。

成長中のセイバーセキュリティ関連ビジネスは今後も高い需要が継続するものと見込まれます。米国への海外進出を目指す中で、現地のビジネストレンドとしても、この分野の成長には注目です。

一方で、日本と各国間ではサイバーセキュリティの認識に大きなギャップがあることが「第23回世界CEO意識調査」(https://www.pwc.com/gx/en/ceo-survey/2020/reports/pwc-23rd-global-ceo-survey.pdf)から分かっています。日本ではインターネット空間における政府の規制は民間の自由な活動を妨げないと予想するCEOが多数を占めますが、世界全体では3分の2を超えるCEOが、政府は規制を強化すると考えているのです。

このような意識の違いは、企業のセキュリティ対策にも影響を与えます。セキュリティ関連のトラブルは、違反金も高額となる傾向もあり、企業のブランドイメージも大きく損ないます。海外進出を考えている日本企業は、現地の厳格な規制にも対応したソリューションを上手く活用して、強固なセキュリティを構築することをお勧めします。

タンデムスプリントグループでは、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2020.12.7
海外営業支援

カスタマーサービスとしての機能が進むアメリカ企業のソーシャルメディア事情

1.はじめに
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(social networking service、SNS)は上手く使えば企業にとって大きな武器になる存在です。カスタマーサービス、マーケティング、販売など活用場面は様々で、SNSを通してブランド力を高めている事例は多くあります。特に、近年ではSNS上でカスタマーサービスも行うことが一般的になってきており、企業のSNS運用のあり方は大きく変わっているのです。

SNSカスタマーサービスの重要性は多くのリサーチによっても裏付けされています。例えば、企業アカウント宛にメッセージを送った中の76%は、カスタマーサービスを目的としたものです(https://www.facebook.com/iq/insights-to-go/among-people-surveyed-across-4-markets-who-message-businesses-over-76-message-businesses-to-get-customer-service-support-for-a-product-or-service/?q=support)。また2018年のホリデーシーズンに企業のSNSアカウント宛にメッセージを送った顧客は全体の3分の2(67%)にも上りました(https://www.facebook.com/business/news/insights/conversational-commerce)。

顧客の64%は、企業に問い合わせを行う際に、電話するよりもメッセージを好むこともわかっています(https://www.facebook.com/business/news/insights/5-reasons-messaging-is-taking-flight-with-travelers)。
特に、25歳未満の世代ではSNSを通したカスタマーサービスを好む傾向にあり、同世代の32.3%はSNSがカスタマーサービスの最善の方法だと考えているのです(https://www.consumerreports.org/customer-service/got-bad-customer-service-how-to-complain-well-and-get-results/)。顧客側はSNSを介した問い合わせに迅速さを求めており、83%は1日以内の回答を、半数近くは1時間以内の回答を期待してます(https://www.statista.com/statistics/808477/expected-response-time-for-social-media-questions-or-complaints/)。

しかし、SNSの運用が上手く行っているブランドばかりではありません。企業のフェイスブックページの45%は、メッセージに応答するのに5日以上かかっており(https://spectrm.io/insights/whitepapers/facebook-messenger-performance-report/)、顧客の49%はソーシャルメディアで苦情を行っても返事がなかったと応えているのです(https://research.wpcarey.asu.edu/services-leadership/research/research-initiatives/customer-rage/)。

本稿では、アメリカを中心に、SNSと連携可能なカスタマーサービスプラットフォームを紹介するとともに、SNS上でのカスタマーサービスを運用する上で企業が気をつけておきたいことについて提案します。日本においてはSNSを利用したカスタマーサービスはまだ広く普及している状況ではありませんが、米国では企業への問合せ窓口としてのSNSへの期待が高まっています。上手く運用することで顧客からのブランドイメージを向上させ、売上の貢献も期待できるのです。また、ボットによる自動対応など従来はなかったツールも生まれており、カスタマーサービスの業務軽減というメリットもあります。

海外で事業を展開することを検討しているビジネス関係者の方は、ぜひSNSを利用したカスタマーサービスについ研究し、導入を積極的に検討することをお勧めします。多言語対応のツールなどを利用すれば、海外展開の間口を広げる助けにもなります。また、日本国内でチャットボットなどのツール開発を行っている事業者の方には、海外で話題のソリューションサービスを参考にして、海外進出のヒントにしていただけますと幸いです。

2.SNSと連携可能なカスタマーサービスプラットフォームの紹介
2−1 Zendesk
https://www.zendesk.com/
Zendeskは 2007年にデンマークで創業され、現在は米国カリフォルニア州サンフランシスコに本社拠点をおくソフトウェア開発会社です。カスタマーサービス及びサービス管理を効率的に行えるシステム・ソフトウェアを開発・提供しており、全世界で20万社を超える企業での導入実績があります。日本へは2013年に上陸しており、クラウド型カスタマーサービスツールでは、草分け的存在です。

Zendeskの特徴は、各問合せに「チケット」を発行し、進捗状況を適切に管理できる機能です。このチケット化によって、メール・チャット・ソーシャルメディアなどのさまざまなチャネルからの問い合わせを一元管理可能することが可能となっています。

2−2 Freshdesk
https://freshdesk.com/

Freshdeskは2010年にインドで創業され、現在は米国カリフォルニア州サンフランシスコに本社拠点をおくソフトウェア開発会社で、問い合わせ管理システムを展開しています。世界で15万社超の導入実績を誇り、電話やメール、チャットなど様々なチャネルからの問い合わせを一元管理することが可能です。Zendesk同様、各案件をチケットという概念で管理し、自動化や合理化を実現できる仕組みが特徴的です。

Helpsystems社は1982年に米国ミネソタ州で創業されたITソフトウェア会社で、世界最大の独立系IBMiソフトウェアベンダーです。このHelpsystems社が開発するロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)「Automat」は、会話型人工知能を使用して、ソーシャルダイレクトメッセージング用のインテリジェントボットを作成します。Automatのボットは顧客からの自由形式のテキストを理解し、必要に応じて人間のオペレーターに会話を引き継ぐことができます。

2−4 ClickDesk
https://www.clickdesk.com/

ClickDeskは2011年創業の自己資金で運営されている非上場企業です。ClickDeskではFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアプラットフォームと統合できるライブチャットアプリを提供しています。プライベートインターフェイスを使用して、テキストだけでなく音声やビデオを介して顧客とやり取りできることが特徴です。
ClickDeskは120か国以上の185,000以上のWebサイトへの導入実績を持っており、カスタマーサービスの課題をリアルタイムで解決できます。

2−5 Reply.ai
https://www.reply.ai/

2015年に米国ニューヨークで創業し、 2020年5月にオムニチャネル型SaaSCRMプラットフォームを展開するKustomer社(https://www.kustomer.com/)から買収されたReply.aiは法人向けにカスタマーとやりとりするためのチャットボットの制作と運用を提供しています。会話型人工知能を使用して、複数の言語で顧客とコミュニケーションを取ることが可能です。

ボットだけでは顧客からの問い合わせに対応できない場合、同じチャットのスレッド内で人間のオペレーターに会話を引き継ぐことができます。それまでのやり取りを確認できるので、オペレーターがスムーズに対応することができるのが長所です。カスタマーの課題が解決したらオペレーターは再度スレッドから抜け、チャットボットの機能へと戻ります。

3.カスタマーサービスにSNSを使用する際のポイント
ここでは企業がSNSを介してカスタマーサービスを行う際に気をつけておきたいポイントを紹介します。
3−1 カスタマーサービス専用のアカウントを作成

ブランドの公式アカウントとは別に、カスタマーサービス用のSNSアカウントを作成することで、メインの公式アカウント内にカスタマーサービスの案件が埋もれることを防ぐことができます。ブランドのメインアカウントではPR目的の投稿をすることが一般的です。マーケティングとカスタマーサービスとのアカウントを分けることで、顧客からの問い合わせに迅速かつ詳細に対応できる可能性があります。

カスタマーサービス専用のアカウントを作成した際は、その情報を同ブランドのメインアカウントのプロフィール欄に掲載しましょう。こうすることで、顧客もサポート関連のリクエストについてどこに連絡すればよいかが把握できます。

3−2 自社ブランド関連の投稿をパトロール

SNSではブランドにタグ付けしてメッセージを送ることが多いですが、一部はで、タグ付けなしで、企業の商品やサービスに関する質問、不満を投稿している場合もあります。そこで、このような隠れたメッセージを見逃さないように、キーワードモニタリングを使用するのです。こうすれば、タグが付けられていない場合でも、自社ブランドに関連した投稿をモニターすることが可能になります。

3−3 ソーシャルメディアガイドラインを作成

SNSカスタマーサービスを運用する際には、ガイドラインを整備することを忘れてはなりません。このガイドラインでは会社の価値観とソーシャルマーケティングチームの方向性を考慮したものである必要があります。例えば、カジュアルでありながら親しみやすい声のトーンを使用するなどSNSカスタマーサービスチャネルのスタイルガイドを定めることで、ブランドにふさわしいSNSカスタマーサービスを運営できるようになります。

3−4 顧客の質問を予測して予防策を取る

顧客から似たような質問を何度も受け取った場合、同じような質問を持っている顧客が多くいることを意味します。そこで、顧客がカスタマーサービスに連絡しなくても自己解決できるような情報リソースをSNS上で提供すると良いでしょう。

具体的にはSNSに、注文のハウツービデオや類似商品比較などのコンテンツを投稿します。これらのリソースを提供することで、カスタマーサービスへの問い合わせ数を減らすことにつながり、業務の円滑化も期待できます。

3−5 カスタマーサービスのパーソナライゼーション

カスタマーサービスでは顧客の不満や苦情に対処する場所というわけではありません。カスタマーサービスには、顧客がブランドとのつながりを深め、製品の購入、使用、推奨をより快適に行えるようにするものなら何でも含めることができます。例えば、顧客の好意的なコメントに反応したり、商品の個別アドバイスを提供したりすることも有効です。

3−6 必ず返信

当然のことではありますが、SNS上の顧客からの問合せに応えることは、応答性の高いカスタマーサービスを運用していることの証明になります。

例えば商品に不良が生じて、顧客に返金対応をしたとします。その件で、再度顧客からSNS上でコメントを受けた時に、企業側としてはすでに払戻しはしたので問題は解決済みと感じるかもしれません。しかし、顧客からのコメントに何も反応しなければ、企業側が商品の不良問題を真剣に受け止めておらず、顧客を大切にしていないというマイナスのイメージを持たれてしまうことでしょう。

顧客とのSNS上の会話は不特定多数から見ることができます。問合せの大小に関わらず、一つ一つの問い合わせに漏れなく応答することが大切で、そのような真摯な態度はカスタマーサービスへの信頼向上につながります。

3−7 迅速な対応

顧客の多くは、SNSカスタマーサービスにスピード感を求めています。そのため、顧客のメッセージには可能な限りすばやく応答する必要があるのです。もちろん24時間営業のカスタマーサービスをSNS上で運営する必要はありません。しかしながら、SNSカスタマーサービスの利用可能時間を明確にし、オフラインになるときに顧客に知らせることは重要です。

そして、すぐの反応ができない場合には、セルフヘルプソリューションへのリンクを提供したり、メールやウェブフォームなど、他の連絡先を提示したりすると良いでしょう。SNSのメッセージには、即時返信できない時間帯には定型文を返信する機能もありますので、上手く活用することが大切です。

3−8 チャットボットを利用

チャットボットを利用することで、24時間年中無休でカスタマーサービスを提供することも可能です。この仕組みは顧客からのよくある問合せに特に有効で、チャットボットで問合せを解決できれば、顧客のストレスも企業側の業務量も減らすことができます。

4.海外進出・海外展開への影響
従来SNSは個人によるものというイメージでしたが、現在では企業側が積極的に活用しています。日本でも大手企業はSNSアカウントを運用していることが多くなってきましたが、中小企業ではまだ一般的とまではいえず、また、一方向性の広報アカウント化していることもよくあります。

しかし、米国を始めとした海外では、SNSは顧客と積極的に交流するための場所となっていることが多く、顧客自身もSNSを企業に直接連絡できる便利な窓口と認識しています。このような中、SNSを介したカスタマーサービスの重要性はますます大きくなってきており、企業は顧客の期待に添えるようなSNS運用を模索しているのです。

日本から海外展開を考える場合には、SNS運用、そしてSNS上でのカスタマーサービスについて導入を検討すると良いでしょう。AIボットや多言語化ツールを上手く利用すれば、時差や言葉の壁を解決する強力な武器となり得ます。

タンデムスプリントグループでは、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2020.11.20
海外営業支援

新型コロナウィルスによる働き方改革で注目されるビジネスプロセス管理ツールについて、アメリカの市場動向と注目のスタートアップを紹介

1.はじめに
ビジネスプロセス管理サービス関連の市場規模は年々成長しており、その傾向は新型コロナウィルス(COVID-19)のパンデミックにより更に加速しています。ビジネスプロセス管理ツールを導入し、プロセスを自動化することで、人の手の介入を減らすことができるため、プロセスの自動化に対する企業の関心・需要が高まっているのです。また、自動化によって、ビジネスプロセスを加速し、精度を高めることも期待できます。

このようなメリットにより、企業は自動化にますます注目しており、特に近年では、機械学習などのテクノロジーなどを活用した、より高度なビジネスプロセス管理ツールも続々と生まれています。このような従来のビジネス管理ツールに、新しいテクノロジーを採用したものを特にインテリジェントビジネス管理ツール(Intelligent Business Process Management:iBPM)と読んでおり、スタートアップ企業を中心に新しいソリューションサービスが活発に開発されています。

本稿では、アメリカを中心に、ビジネスプロセス管理業界の動向と、iBPMのような新しいソリューションを展開する具体的なスタートアップ企業を紹介します。ビジネスプロセス管理と言っても、メッセージングやミーティングなど、使用場面は様々です。また、新しい働き方が進む中で、従来はなかったツールも生まれています。

海外で事業を展開することを検討しているビジネス関係者の方は、ぜひビジネスプロセス管理の新しい波を把握し、導入を積極的に検討することをお勧めします。ツールを介してプロセスを自動化することで、日本との勝手の違いや考え方の違いによるすれ違いを減らし、スムーズな海外進出に役立つことが期待できます。

また、ビジネスツール開発を行っている事業者の方には、新しいサービスを参考にして現在のトレンドを把握していただき、海外進出のヒントにしていただけますと幸いです。

2.ビジネスプロセス市場の動向
米国ダラスに本社を構えている世界の有力調査・コンサルティング会社、MarketsandMarkets (http://www.marketsandmarkets.com/) 社のレポート (https://www.marketsandmarkets.com/Market-Reports/business-process-management-market-157890056.html) によると、ビジネスプロセス管理のグローバル市場規模は、2020年の88億米ドルから、2025年までに144億米ドルに成長すると予測されており、この期間中の年平均成長率(CAGR)は10.5%に上ります。このような安定的な成長を後押しする要因としては、人工知能(AI)や機械学習(ML)テクノロジーとビジネスプロセス管理ソフトウェアの統合(iBPM)、自動化されたビジネスプロセスに対する需要の高まり、そしてこれらを可能にするITシステムの改善が挙げられます。業界別に見ると、製造業、金融サービス、および保険業界での成長が特に期待されています。

また、コンサルティング、デジタルトランスフォーメーション、テクノロジー&エンジニアリングサービスのグローバルリーダーであるCapgemini社の2017年のレポート(https://www.capgemini.com/wp-content/uploads/2017/07/Global_Business_Process_Management_Report.pdf)によると、組織の約68%がビジネスプロセス管理がマネジメントにおいて重要な課題であると示し、組織の約56%が今後1年間でビジネス効率を高めるための投資を増加させることを検討中だと報告されています。

3.ビジネスプロセス管理やリモートワークをサポートする現在注目のスタートアップ企業の紹介

ここでは、新しい業務円滑化ツールを提供している具体的なスタートアップ企業を紹介します。ビジネストレンド把握の役に立てていただけますと幸いです。

3−1.メッセージング、チャット、メール

これまでのメッセージングサービスではリアルタイムであることが重要視されていましたが、現在では、あえて非同期作業を可能にするツールへの需要が高まっています。なぜなら、世界各地の人々を繋げるコミュニケーションサービスでは、時差の問題などもあり、リアルタイムであることの価値が見直されつつあるのです。そこで、即座の返信を求めるものではなく、議題に対しチーム全員でしっかりと共有・消化するコンセプトのツールが脚光を浴びつつあります。

■ノイズ避け、重要なものに集中できるよう通信を一元化するツール
Quill(https://quill.chat/
‘nuffsaid(https://www.nuffsaid.com/
Involve(https://www.involvesoft.com/
Compose(https://compose.im/

■チームや個人のメールエクスペリエンス改善するツール
Front(https://frontapp.com/
Superhuman(https://superhuman.com/

■リモートチームのために個人に対してあえて非同期通信を行うツール
Threads(https://threads.com/
Yac(https://www.yac.com/
/talk(https://slashtalk.com/

3−2.バーチャルオフィス

在宅勤務やリモート勤務を行う人口が増えるにつれて、「バーチャルオフィス」の概念が出現、それを実現するためのツールが誕生しています。ここで鍵となるのは、チームと協力しつつも、自分自身が集中できる環境を提供できるかということです。リモート勤務が増えている現在、新しい課題として挙げられているのが孤独感への対応です。一人で集中したい際にはチームと一定の距離があることがプラスに働くかもしれませんが、それは時として孤独感を助長することもあります。そのため、孤立を解消するためにゲーム中のオープンマイクのように、各個人がそこにいる感覚を保つコミュニケーションツールが脚光を浴びているのです。

■仮想オフィスを作るツール
Spatial(https://spatial.io/

■異なる場所で作業するチームメンバーであっても、一緒にオフィスに居る感覚を保ち、リアルタイムでの会話を可能にするツール
Teemly(https://teemly.net/
Remotion(https://www.remotion.com/
Pragli(https://pragli.com/

■集中力を高めるためのツール
Motion(https://www.inmotion.app/
Focusmate(https://www.focusmate.com/

3−3.音声・ビデオ

ZoomやSkypeなど、音声・ビデオ通話で圧倒的なシェアを誇るツールもありますが、このような市場シェアの大きいツールが万能というわけではありません。全社プレゼンのように多数に向けたもの、一対一での会話、小規模チームでの会議など、音声ビデオ通話ツールが使われる状況は様々であり、用途によっては、既存のツールに使いづらさを感じている消費者も多いのです。また、最近では単なる通話機能だけでなく、録音、文字起こし、注釈、翻訳などの追加ソリューションなど、かゆいところに手が届く新しいツールへの期待感が高まっているともいえます。

■スクリーン動画をブラウザ上で共有できるビデオメッセージングツール。会議にリアルタイムで参加できない場面などで重宝する。
Loom(https://www.loom.com/
Standups(https://standups.io/

■高度な画面共有などシームレスなリアルタイムコラボレーションによって、ビデオ通話エクスペリエンスを強化するツール
Fuze(https://www.fuze.com/
Coscreen(https://www.coscreen.co/
RemoteHQ(https://www.remotehq.com/

■音声・ビデオ通話のデータを取得・分析し、そのデータを検索・共有・転記できるようにするツール
Chorus(https://www.chorus.ai/
Otter.ai(http://otter.ai/
Fireflies.ai(https://fireflies.ai/
Grain(https://www.grain.co/

■コードにリンクされた動画を作成する開発者向けのコード共有およびスクリーン録画ソフトウェア
GitDuck(https://gitduck.com/

3−4.タスク管理

個人およびチームの生産性は、組織全体の生産性に直接影響を与えるものであり、効果的なタスク管理ツールの開発は数年前から続くトレンドとなっています。

■タスク管理を無理なく直感的に行うツール
Monday(https://monday.com/
Asana(https://asana.com/
Sunsama(https://sunsama.com/
Todoist(https://todoist.com/home

■製品開発チームを想定したツールタスク管理
Linear(https://linear.app/
Cycle(https://cycle.app/
productboard(http://www.productboard.com/

3−5.バックオフィス

企業にとって「生産性向上」は最大の課題であり、そのためにはフロントオフィスの業務に力を入れる必要があります。しかし、現実には、日々の事務作業に追われ、事業の根幹に関わる活動に取り組めないということが頻繁に発生しているのです。特に中小企業では、慢性的な人材不足に直面していることがよくあり、この問題を解決するためにもバックオフィス業務の負担を軽減する自動化ツールの需要が高まっています。

■給与計算の自動化
Payfit(https://payfit.com/
Gusto(https://gusto.com/
Rippling(https://www.rippling.com/

■財務と簿記の自動化
Digits(https://digits.com/
Pilot(https://pilot.com/

■HRプロセスの自動化
Factorial(https://factorialhr.com/

■キャップテーブル管理と資金調達管理の簡素化
Carta(https://carta.com/
Seedlegals(https://seedlegals.com/

■従業員からの要求を整理し、自動応対する
Back(https://backhq.com/

3−6.オンラインイベント

オンラインイベントや会議は近年の新しい概念であり、関連ツールの開発を手掛けるスタートアップ企業が現在注目されています。特に、皆で食事の席に集まり、隣同士であるいはグループ全体で会話をすることのメリットが再評価され、それを仮想空間で再現するツールが生まれているのです。日本では飲みニケーションという言葉も生まれましたが、社内でのコミュニケーションが活性化されることで、業務効率の向上も期待できるでしょう。実際には参加者皆が別々の場所にいながらも、仮想空間上で隣の席の人を持つことで、近くの人と気軽に話をすることができる雰囲気を生み出します。

■プラグインを使用して、オンラインイベントを簡単かつ楽しく主催できるツール
Hopin(https://hopin.to/
Run the World(https://www.runtheworld.today/
Airmeet(https://www.airmeet.com/
vFAIRS(https://www.vfairs.com/
HeySummit(https://heysummit.com/

4.海外進出・海外展開への影響
アメリカの企業では日本よりも自動化ツールを始めとしたビジネスプロセス管理ツールの導入が進んでいます。現地での事業運営を円滑に進める上で、海外進出を考えている日本企業は事業運営の上でこのようなツールを積極的に検討していく必要があるのです。従来の人力に依存したビジネス運営に慣れている企業では、新しいツールの導入は負担に感じることがあると思われますが、中長期的な目線で見ると、業務の効率化につながるものであり、大きなメリットが期待できます。

また、COVID-19の影響を考えると、企業側は、ここで紹介したようなツールを活用して、リモートワークのような新しい働き方を進めていく必要があります。米国では企業の従業員保護への姿勢に対し、日本よりも厳しく見られている面があります。従業員の安全を確保しつつ、円滑な事業運営を進める上で、適切なツールをしっかりと利用していきましょう。

さらに、開発者側の視点で近年の新ツールのトレンドを考えると、クラウドベースのツールは、海外進出しやすい事業とも言えます。他にはない新しいアイディアを具現化し、うまくPRすれば、海外市場でのシェアを一気に拡大することも不可能ではありません。ソフト分野の事業は、ハード分野のように生産や物流などが不要なため、海外進出のハードルが低い分野でもあります。海外市場でのトレンドを把握し、新しい需要に合わせた商品を開発する上で、本稿で紹介した注目のスタートアップ事業なども参考にしていただければと思います。

タンデムスプリントグループでは、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。オンラインやクラウドを使用したビジネスについては、その利用規約やプライバシーポリシー等も準備する必要があります。当グループではビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2020.11.12
海外営業支援

アメリカでは企業アピールや節税の観点からCSRを活用するのが主流〜企業によるチャリティ活動の概要とコツを紹介〜

1.はじめに
従来、企業は利益の追求が一番の目的だと考えられてきました。しかし、現在では、企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility:CSR)がより重視されるようになってきています。アメリカには、チャリティやボランティアといった意識が浸透している文化が伝統的にあり、企業のCSR活動における投資額やその力の入れ方からCSR先進国と呼ばれることもあります。

最近では、 消費者の購買活動を左右する企業レピュテーション(評判)にCSRが大きな影響を与えることがわかってきました。つまり、マーケティングの観点からも、CSRはこれまで以上に重要となっているのです。

本稿では、CSR先進国であるアメリカの企業がどのように消費者の企業への期待に応えているのかについて、実例とともに紹介します。日本では、大企業が中心となってCSRを実施しているイメージがありますが、実はスタートアップ企業が自社ブランドの認知を向上させるためにCSRを積極的に行うのが最近のトレンドです。海外進出を考えているビジネス関係者の方に関心に持っていただき、アメリカをはじめとした海外でのCSR事例を海外進出のヒントにしていただけますと幸いです。

2.CSRとは
CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略語で、日本語では「企業の社会的責任」と呼ばれています。一般的には、企業として、収益を求めるだけでなく、社会貢献の活動を行うことを意味します。

CSRにはさまざまな形があります。たとえば、金銭的な寄付、製品、時間、スタッフなどのリソースの寄付、慈善団体や社会の弱者のためのボランティア活動への参加、慈善活動を促進するための共同マーケティング、そして、企業として具体的に明確な倫理観(LGBTQに優しい、ビーガン、薬物や武器への投資なし、カーボンゼロなど)を示すことなどが挙げられます。

現在「ミレニアル世代」や「Z世代」を中心に、社会課題への関心が高まっていることがわかっています。それゆえ、これらの世代の根底にある問題意識にフォーカスしたマーケティング戦略が今後より重要となってくるのです。自社のCSRを上手くアピールすることで、自身のブランド力を高め、競合他社との差別化を図ることが期待できます。

つまり、積極的なCSR活動は消費者にとっても、企業にとってもプラスに働くのです。

3.CSRのカテゴリ別紹介
3−1.金銭的寄付

CSRを実践するための最も基本的な方法は、取引額の一定割合を慈善団体などに寄付することです。AmericanExpressとThe Chronicle of Philanthropyが実施した調査(https://www.philanthropy.com/article/most-small-companies-make-charitable-donations-survey-finds/)によると、中小企業では利益の平均6%を慈善団体に寄付しています。

また、米国では金銭的寄付を行うことで、税制上の優遇措置を受けることも可能です。ただし、税制上の優遇措置の規則は頻繁に変更されるため、IRSからの最新情報を常に確認する必要があることに注意してください(https://www.irs.gov/charities-non-profits/charitable-organizations/charitable-contribution-deductions)。

特に現在では、世界的驚異となっている新型コロナウィルス(COVID-19)に対する寄付を行う企業が増えてきています。米アップル社では早々に1500万ドル(2020年3月時点)をCOVID-19対応に向けて寄付することを明らかにしました。また、米ツイッタ社ーではジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)がCOVID-19対策に個人資産を10億ドル提供すると発表して話題となりました。

3−2.自社ブランド製品の寄付

金銭ではなく、製品やサービスを寄付することでもCSR活動とすることが可能です。その中でも特に、商品を一つ購入したら、同じ商品を一つ寄付するという社会貢献型のビジネスモデルが米国で拡大しています。このモデルの草分け的存在となっているのが、カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点とするシューズメーカー「TOMS(https://www.toms.com/)」です。2006年に設立されたTOMSは、一足の靴を購入してもらうたびに、靴一足を寄付するという「ビジネス×チャリティ」のモデルを確立しました。

TOMSのビジネスモデル成功の裏には、消費者の社会問題への意識の高まりに合致し、ミレニアル世代を中心に人気を得たことにあります。TOMSの成功をきっかけに、同ビジネスモデルは「Buy One, Give One(バイワン、ギブワン」という名称で、米国全土に広がっていきました。

例えば、医療スクラブを販売する「Figs(https://www.wearfigs.com/)」では、10万セット以上の医療用スクラブを発展途上国に寄付しています。その他にも、メガネブランドの「Warby Parker(https://www.warbyparker.com/)」や、石鹸ブランド「Soapbox(https://www.soapboxsoaps.com/」なども同様の取り組みを行っています。

3−3.ボランティア

金銭や製品の寄付が難しい場合には、従業員の時間をボランティアに割くことで社会貢献することが可能です。アメリカの大手企業の多くでは、ボランティアのための有給(Volunteer Time Off :VTO)が従業員に与えられています。

たとえば、米国カリフォルニア州に本社を置く、顧客関係管理ソリューションを中心としたクラウドコンピューティング・サービスの提供企業「セールスフォース」では、従業員に年間 7日(56 時間)の有給ボランティア休暇を提供しています。また、同社でボランティア活動上位100選に選出された従業員は、自分が選ぶ非営利団体に 1 万ドルを寄付できます。

その他、一定額まで、従業員の慈善寄付と同額を企業側も寄付する仕組みを取り入れている米国企業もあります。

3−4.グリーンイニシアチブ
グリーンイニシアチブとは、事業活動による環境負荷を低減するための様々な企業の取り組みのことを指します。それらは企業のCSR活動の宣伝となるとともに、収益にも貢献することがあります。

例えば、パッケージの削減は、原材料費を減少させると同時に、より環境に優しいパッケージデザインであると消費者にアピールできるのです。オフィスの設備をエネルギー効率の高いものにアップデートすることで、環境に配慮した企業というイメージを押し出せるととともに、冷暖房費を削減できます。

実際に、米国大手小売企業のWalmartでは、低燃費トラックを導入し、数千トンのCO2排出量削減を達成するとともに、同社の燃料費削減にもつなげました。つまり、グリーンイニシアチブは一時的な先行投資を必要としますが、長期的な視点で考えるとその投資を回収し、収益増加につながるのです。

4.CSR実施のポイント

ここではCSR活動を効果的に行うためのポイントを紹介します。

●自社の事業内容に関連する活動を行うと自社のPRに繋げやすくなります。
●無理に大きなことをする必要はありません。小さな活動であっても、何もしないよりは良いのです。自社の企業規模に即した無理のない活動からスタートし、徐々に拡大していくと良いでしょう。
●自社のCSR活動は積極的に公開します。ソーシャルメディア、ウェブサイト、製品ラベルなどを通して、必ず消費者に告知するようにしましょう。
●助けを必要としているグループや慈善団体は多種多様なので、多くの選択肢の中から、自社に合うものを探しましょう。例えば、ビッグネームの団体とチームを組むことで、自社の認知を高めることが期待できますし、地元に根ざした事業を展開している場合には、地元の慈善団体を支援することは理にかなっています。また、小さな慈善団体に対して、自社が主体となったサポートを行うことも効果的です。

5.海外進出・海外展開への影響
企業にとって自社ブランドの認知やイメージを高めることは必須ですが、多額の広告費を投じたとしても、それがどの程度効果的に働くのかは未知数です。そこで、ブランドイメージを向上させつつ、地域社会にも還元できる手法として、CSRの積極的な取り組みをお勧めします。多額の金銭的寄付を行うことだけがCSRではありません。社会の中で助けを必要としている人々に手を差し伸べる方法は様々です。

ただし、企業として声明を出す際には、ある特定のグループをサポートすることで、反感を買ったり、不快感を持たれたりするおそれもあります。近年は、企業の不適切なメッセージが炎上し、企業にブランドイメージが大きく損なわれる事案も発生しています。特に、日本企業がアメリカでCSRを行う際には、文化的な違いや社会の風潮をしっかり理解した上で、十分配慮する必要があります。

本稿で紹介した事例を参考に、企業のパブリックイメージを高めるための方法として慈善活動もご検討いただくと良いと思います。消費者感情に刺さる独自のCSRを上手く展開することで、CSRとPRの両立が可能になることでしょう。

タンデムスプリントグループでは、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

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