2021.6.21
海外営業支援

アメリカのグリーンテック市場と企業の参入事例

1.はじめに
グリーンテクノロジー(グリーンテック)は、環境に優しい製品やサービスを生み出すための科学テクノロジーを示す用語です。より具体的には、エネルギー消費、廃棄物、または環境への悪影響を削減しながら、運用パフォーマンスを向上させる製品またはサービス分野をグリーンテックということもできるでしょう。現在、グリーンテック市場に参入する新規企業も多く、大きな投資資金を集める急成長産業となっています。

また、グリーンテックの使用は、企業の社会的責任という意味でも注目されています。企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility:CSR)とは、企業は利益を追求するだけでなく、環境問題や人権問題への対応をはじめさまざまな社会的な責任を果たすべきとする考え方やその取り組みのことです。CSRに熱心に取り組んでいる企業では、ステークホルダーとよりよい関係を築くことができます。長期的な視点で事業活動を継続・発展していくために不可欠な要素といえるでしょう。

また、これを受けて社会的責任投資(Socially Responsible Investment:SRI)という言葉も生まれるほど、CSRへの取り組みは企業が資金を調達する上で重要視されるようになっているのです。この傾向は日本に比べるとアメリカでは特に顕著であり、近年はグリーンテックの使用を、企業の環境・社会・ガバナンス(Environment、Social、Governance:ESG)の声明に含める米国企業も多くなっています。今後グリーンテックの需要はますます高まっていくと考えられます。

ここでは、アメリカのグリーンテック市場について概説するとともに、注目のグリーンテック企業について紹介します。話題のビジネスモデルを参考にすれば、日本から海外進出する足がかりへと応用できる可能性があります。また、アメリカへの海外進出を考えている企業にとっては、ここで紹介したグリーンテックを自社にも導入し、CSRへの積極的な取り組みをアピールすることも可能です。日本企業が海外進出・海外展開される際の、参考にしていただけますと幸いです。

2.グリーンテック市場
グリーンテクノロジーをはじめとした持続可能性関連の市場規模は、2020年の98億米ドルから2027年までに564億米ドルに成長し、2021年から2027年までの間に28.4%のCAGRで成長すると推定されています(https://marketdigits.com/green-technology-and-sustainability-market/)。

このようにグリーンテクノロジー市場が成長していく要因のひとつは、技術の革新です。経済的で費用効果が高く、環境への害が少ない新しい技術が次々と生まれています。このような技術は採用する企業にとってもメリットが大きいものです。その結果、開発と採用の好循環が生まれ、市場規模が急成長していると考えられます。

世界におけるグリーンテック市場の最大のプレーヤーとなっているのが、アメリカです。今後も、アメリカが中心となって、世界市場をリードすることが期待されています。

3.グリーンテック市場で注目の新規参入企業の紹介
ここでは米国カリフォルニア州のグリーンテック企業や、大手テック企業の取り組みについて紹介します。

3−1.カーボン・オフセットをサポートするWebアプリを展開するWren
https://www.wren.co/

Wrenは、2019年にカリフォルニア州サンノゼで設立されました。同社では、一人ひとりが気候変動に対して行動したい気持ちをサポートするツールを構築しています。Wrenはサブスクリプション型のサービスです。

具体的には、Wrenのユーザーはまず、住んでいる地域、移動方法、電力とガスの使用量、購買量などの複数の要素を入力し、自分自身の二酸化炭素排出量を把握します。ここで示される二酸化炭素排出量とは、商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算したもので、カーボン・フットプリントと呼ばれています。

その後、ユーザーには二酸化炭素排出量を相殺につながるアクションをワンクリックで選択することができる仕組みです。つまり、カーボン・オフセット(人間の経済活動や生活などを通して「ある場所」で排出された二酸化炭素などの温室効果ガスを、植林・森林保護・クリーンエネルギー事業による削減活動によって「他の場所」で直接的、間接的に吸収しようとする考え方や活動)を容易に実現してくれるツールともいえます。

企業として、Wrenを導入するケースもあり、この場合、導入企業は自社のカーボン・オフセット活動をわかりやすい形でアピールすることが可能です。

3−2.次世代型ソーラーパネルを開発するSunverge Energy
http://www.sunverge.com/

Sunverge Energyは2010年にカリフォルニア州サンフランシスコで設立されました。同社では、自家発電機や、太陽光発電、蓄電池、デマンドレスポンスによるピークカットなどの分散型エネルギーリソースをリアルタイムに制御および集約するプラットフォームを提供しています。

Sunvergeのマルチサービスバーチャルパワープラント(VPP)プラットフォームは、サービスの動的かつ多目的な最適化が特徴です。Sunvergeを導入した顧客は、インフラストラクチャへの投資をより柔軟に管理し、発電コストを削減することができるため、再生可能エネルギー発電とユーティリティをインテリジェントに管理することが可能となるのです。

SunvergeEnergyでは、住宅を所有する個人顧客だけでなく、中小企業、公益事業、および電力関係の規制当局にもサービスを提供しています。

3−3.Googleのカーボンフリーに向けた取り組み
https://sustainability.google/commitments/

Googleの親会社であるAlphabetは、2020年9月、データセンターやオフィスの運営に使用する電力について、2030年までに完全にカーボンフリーにする計画を明らかにしました。

Googleでは、すでに風力や太陽光などの再生可能エネルギーを積極的に取り入れており、2019年度に関して、Googleが使用した電力の61%が再生可能エネルギーによるものだということです。また、Googleでは2007年以降、カーボン・オフセットにより温室効果ガスの排出量を相殺し、実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を達成しています。

2030年までの完全カーボンフリーを達成するには技術的・政治的な打開が必要であり、Googleは太陽光エネルギーを夜間に蓄積するバッテリーや、新たな資源として注目される地熱エネルギー、電力需要の管理改善などに取り組む考えです。

2020年7月、Appleは2030年までに製造サプライチェーンと企業全体で100%カーボンニュートラルを目指すことを発表しました。実は、Apple自体の企業活動においてはすでにカーボンニュートラルを実現しています。今回の声明では、サプライチェーンも含め、全てのApple製品を100%クリーンエネルギーで作ることを目指すとしています。

この新しい目標に向けて、Appleでは具体的に以下の施策を発表しています。
① 低炭素の製品デザイン:
Apple製品に低炭素の再生材料を使用し、革新的な方法で製品のリサイクルに取り組み、可能なかぎりエネルギー効率が高くなるような製品デザインとする

② エネルギー効率の拡大:
エネルギー使用を削減する新たな手法を確立するとともにし、Apple社だけでなくサプライチェーンでも同じ手法を採用するように働きかける

③再生可能エネルギー:
すでに達成している自社内での100%再生可能エネルギーによる企業運営を継続するとともに、新規の電力プロジェクトを実行。サプライチェーン全体をクリーンエネルギーに移行させる
 

4.海外進出・海外展開への影響
現在、グリーンテック市場は、規模の大小を問わず盛況です。将来的にも市場拡大が継続する見込みであるため、様々なスタートアップ企業が誕生しています。更に、GoogleやAppleなどの大手テック企業は、グリーンテック産業のリーダーとして業界を牽引、自社だけでなくサプライチェーンに対してもカーボンフリーを約束するなど、一歩踏み込んだ取り組みをしているのです。

このようなトレンドの中で、海外進出を考えている企業にとって、グリーンテック業界は注目すべきエリアです。ニッチを上手く捉え、新しいテクノロジーなどを用いた製品・サービスがあれば、一気に海外市場へ展開できる可能性もあります。

また、グリーンテックとは関係ない業界・企業にとっても、このトレンドには注意が必要です。なぜなら、カーボン・オフセットなどの達成目標がサプライチェーン選定の条件とされるなど、この視点はグローバルビジネスにおいて不可欠な要素となっているからです。海外進出の幅を広げるためにも、各社でできるところからグリーンテクノロジーを導入してみると良いでしょう。

タンデムスプリントグループでは、グリーンテック対応を含め、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2021.6.21
海外営業支援

ECビジネスモデルと注目されるオンデマンド型の印刷サービス:米国におけるオンデマンド印刷の主要サプライヤーを紹介

1.はじめに
オンデマンド印刷(Print On Demand: POD)とは、ECビジネスモデルの一つであり、サプライヤーと協力して、シャツ、帽子、マグカップ、カレンダーなどをカスタマイズされた製品として販売するビジネスです。オンデマンド印刷のビジネスでは、デザインを考案して受注するだけで、サプライヤー側が印刷から梱包、配送までの残りのプロセスを処理してくれます。大手ECサイトと提携しているサプライヤーを利用できれば、自社サイトを作る手間などもなく、すぐにビジネスをスタートできるのです。

オンデマンド印刷はドロップシッピングビジネスの一種とも考えることができます。つまり、オンデマンド印刷ビジネスにおいては、在庫を購入または保管する必要がなく、間接費を低く抑えられるのです。

ここでは、オンデマンド印刷について概説するとともに、オンデマンド印刷ビジネスを始める方法や、米国におけるオンデマンド印刷の主要サプライヤーについても紹介していきます。EC業界は海外進出しやすいタイプのビジネスであり、本業界で成功しているビジネスを参考にすることは、日本から海外進出する足がかりともなるでしょう。

本稿の内容を参考に、日本企業の方が海外進出・海外展開される際の、参考にしていただけますと幸いです。

2.オンデマンド印刷のビジネスモデル誕生の背景
1990年代まで、パーソナライズされた製品は主に企業のビジネスプロモーションに使用される販促品として存在していました。つまり、企業が自社の宣伝のためにブランドロゴの入った様々な商品(メモ帳やキーホルダー、栓抜き、ペンナイフ、ペンスタンド、ペン、コーヒーマグなど)を制作し、ノベルティグッズとして配布していたのです。

しかし、2000年代以降、パーソナライゼーションサービスのあり方は大きく変わっていきます。いつでもどこからでも買い物ができるという利便性により、EC業界が急成長。巨大マーケットとなったEC業界内での競争が激しくなり、企業は顧客を引き付けるために他との差別化を図ることを余儀なくされました。その中で、大きく注目されたのが製品のパーソナライズ化です。自分たちのために特別にデザインされた製品は、消費者心理を刺激します。衣料品からジュエリー、家具、ギフトアイテムに至るまで、独自性を追求する人々が、パーソナライズやカスタマイズの商品を好んで購入するようになっていったのです。

こうして、パーソナライズの重要性が増すにつれて、ECビジネスにも新しいモデル「オンデマンド印刷」が生まれました。事前にデザイン、印刷された製品を販売するという従来のビジネスモデルではなく、顧客の要求に応じて印刷した製品を1枚から販売するというビジネスモデルがヒットしたのです。

3.オンデマンド印刷ビジネスのメリット
オンデマンド印刷において、最小の注文単位というものは基本的にありません。つまり、非常に低コストでビジネスを開始して運営することができます。また、売れ残りが在庫に残ることを心配する必要もないのです。

ここではオンデマンド印刷ビジネスのメリットについて4つの観点からより詳しく解説します。

3−1.既存のECサイトとの統合することですぐにビジネスを始めることが可能

オンデマンド印刷では、独自のオンラインストアを最初から制作する必要はありません。Amazon、eBay、Shopify、EtsyなどのECプラットフォームと統合することで、巨大なECビジネス市場に自由に参入することができるのです。このようなパートナープラットフォームを利用すれば、注文を処理する技術的な側面だけでなく、ビジネスの立ち上げや成長に役立つリソース享受することも可能となります。すでに用意されているテンプレートやノウハウを用いて、ECビジネスをすぐにスタートできるので、ビジネス参入への障壁は非常に低いといえるでしょう。

3−2.自動化ツールで省力化が可能

最初の製品登録さえしてしまえば、あとはサプライヤーとECサイトの連携により自動的に利益を生み出す可能性があるのがオンデマンド印刷ビジネスの特徴です。 注文〜配送までの一連の流れを自動化することで、自分たちの負担が減り、その分マーケティングなどに十分な時間をかけることができるでしょう。

3−3.パートナーシップによって初期投資を削減可能

オンデマンド印刷ビジネスでは、印刷機器を購入する必要も、印刷方法を学ぶ必要もありません。そのため初期投資を限りなく小さくしながら、独自商品を展開することが可能です。

必要なのは信頼できるサプライヤーを見つけることだけです。オンデマンド印刷サービスはホワイトラベル型のビジネスであり、実際にはサプライヤーが受注・生産しているとしても、顧客側には当該ブランドの製品として販売しているように見えるのです。

3−4.新デザイン、新製品開発が容易

オンデマンド印刷では、新しいデザインを簡単に試すことができます。様々なデザインを用意すれば、顧客から人気があるデザインを分析することも容易でしょう。各製品はオンデマンドで印刷されるため、売れない可能性が高いとしても、そのリスクは大きくありません。人気のないデザインは、ECサイトから簡単に削除することができます。

デザインだけでなく、商品も試すことができます。売れ行きのいいデザインを他のアイテムに転用することも簡単です。例えば、ステッカーで人気の出たデザインがあれば、それをTシャツや、バッグや帽子などへと、種類を拡大するのも良いでしょう。

4.主要サプライヤー
人気のあるオンデマンド印刷のサプライヤー企業として、PrintfulとPrintifyが挙げられます。この2社は米国のオンデマンド印刷サプライヤー企業の2強ともいえ、市場シェア獲得のため多額の投資を行っています。ここではPrintfulとPrintifyの2社とともに、大手ECサイトAmazonが提供しているオンデマンド印刷「Merch by Amazon」について紹介します。

4−1.Printful(https://www.printful.com/)

Printfulは、オンデマンド印刷の直送およびフルフィルメントをしている会社です。 同社は、オンラインビジネス向けにカスタマイズされた衣料品、アクセサリー、家庭用品、生活用品に対するオンデマンド印刷を提供しています。

Printfulは、2013年にノースカロライナ州で設立されました。それ以降、3,200万以上のアイテム総数提供実績を持っており、2020年には、収益2億ドル超えのマイルストーンを達成しました。 Printfulでは、米国、カナダ、ヨーロッパ、メキシコに9つのフルフィルメントセンターを備えており、日本とオーストラリアにもパートナー施設を有しています。

さらに、Shopify、Etsy、WooCommerce、Wix、Squarespaceなどの人気ECプラットフォームやマーケットプレイスとも統合しています。価格帯としては類似企業に比べてやや割高ですが、ここまでの実績に裏付けられた信頼感の後押しもあり、米国内の主要プレーヤーの座にあるのです。

4−2.Printify(https://printify.com/)

Printifyはオンデマンド印刷のドロップシッピングプラットフォームです。Printifyを使用すると、ユーザーはアパレル、アクセサリー、インテリア雑貨など、何百もの製品を選択、カスタマイズ、製造し、eBay、Etsy、Shopifyなどの主要なECプラットフォームでそれらの製品を販売できます。

Printfulは、2015年にカリフォルニア州サンフランシスコで設立されました。Bling Capitalの投資先企業でもあります。

Printifyではオンラインマーチャントがシンプルかつ簡単な方法で売上につなげることをミッションに掲げており、スピード感と柔軟性に定評があります。

4−3.Merch by Amazon(https://merch.amazon.com/landing)

Merch by Amazonは、大手ECサイトAmazonが提供しているオンデマンドのTシャツ印刷サービスです。 このサービスを利用すると、出品者はTシャツのデザインを無料で作成して一覧表示できます。 前払い費用はなく、顧客がシャツを購入するとロイヤルティが支払われる仕組みです。 デザインをアップロードし、色を選択して価格を設定するだけで、あとはAmazonに一任する形となります。

出品者のダッシュボードでは、デザインをアップロードしたり、Tシャツを宣伝したり、売り上げを分析したりできます。 初期設定では、作成できるデザインは25までに制限されていますが、シャツを25枚販売すると、最大100種類のデザインを作成できるTier2にアップグレードされます。このような階層型システムは、高品質のデザインを作成した人に報酬を与え、スパム行為を防ぐのに役立ちます。

5.海外進出・海外展開への影響
カスタマイズできる商品を販売する動きが、EC業界で急速に広がっています。実際、世界のカスタムTシャツ印刷市場規模は2020年に36.4億米ドルと評価されており、2021年から2028年まで年平均成長率(CAGR)9.7%で拡大すると予想されています。

カスタムデザインは、企業のブランディング戦略の一つとして、企業がブランドの認知度を高め、見込み客の注目を集めるために使用されることもよくあるものです。さらに、最近では個人がサイドビジネスとしてオリジナルのカスタマイズ製品を制作、販売することも増えてきました。

この背景には、消費者のトレンドとして特定のロゴやスローガンが印刷されたカスタマイズTシャツを着ることを好むようになったことがあると考えられます。特に、社会的意識を高め、声を上げ、支持を示すために、消費者一人ひとりの意思でカスタムプリントを使用することも増えています。

このようなカスタマイズ製品を支えているのがオンデマンド型の印刷サービスです。オンデマンド印刷のサプライヤーは米国を中心として複数あります。サプライヤーを介することですぐにビジネス参入することができるのは大きなメリットです。現地の情報やコネクションなどは全く必要なく、デザインだけ決めさえすれば簡単に発注できるため、海外進出を考えている日本企業にとってもハードルは低いといえるでしょう。

タンデムスプリントグループでは、ECにおける製品のカスタマイズ戦略をはじめ、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2021.5.26
海外営業支援

在庫リスクが少ないオンラインビジネス「ドロップシッピング」の多様化と成功の秘訣

1.はじめに
ドロップシッピングとは、ネット上にショップを開設し、顧客から注文を受けますが、商品はメーカーや卸売業者から直接、顧客へ発送されるビジネスモデルです。ビジネスオーナーは、自ら在庫を保管したり、アイテムを直接出荷したりする必要がないため、マーケティング、広告、およびオンラインプレゼンスの管理に注力することができます。

アメリカにおいて、ドロップシッピングは巨大市場です。さらに、世界のドロップシッピング市場規模は2018年に1,022億米ドルと評価されており、2019年から2025年にかけて28.8%の年平均成長率を記録すると予想されています。オンラインショッピングへの嗜好の高まりと上昇により、市場は大幅な成長を遂げると見込まれています。

通販・EC事業は海外進出しやすいタイプのビジネスであり、本業界で成功しているビジネスを参考にすることは、日本から海外進出する足がかりともなるでしょう。

本稿が日本企業の海外進出・海外展開の参考になれば幸いです。

2.ドロップシッピングのビジネスの始め方
まずは、市場調査を行ないます。どの製品が自身のビジネス戦略、市場、顧客基盤にうまく適合するかを調べ、どんなECショップとするのかアイディアを固めます。この際、競合他社の有無や、すでに競合店があればそこが製品をどのように販売しているかを調査します。

次に、最適なサプライヤーを見つけます。製造元に直接交渉することも可能ですが、アメリカには様々なドロップシッピング専門のサプライヤー企業もあります。以下の観点からサプライヤーを選定すると良いでしょう。

● 返品や破損した製品をの処理方法
● 販売から配送まで、注文を処理するのにかかる時間
● カスタマーサポート
● 注文に保険を掛けているか
● オンラインでレビューなどが見つかるか

信頼できるサプライヤーを見つけた後は、フルフィルメントプロセスを完成させて、オンラインショップのシステムにそれを組み込みます。新製品をサイトに掲載し、広告を立ててビジネスをスタートしていきます。

3.ドロップシッピングのメリット
ECビジネスにおいて、ドロップシッピング形式を採用することには、主に以下5つの利点があります。

● スタートアップのリスクを最小限に抑える
● 製品コストの削減
● ストレージとロジスティクスのコストの削減
● 幅広い製品の提供
● 柔軟性

ドロップシッピングは、卸売業者のように莫大なランニングコストをかけることなく、顧客に製品を販売できる低リスクのビジネスモデルです。 このおかげで、他のビジネスモデルよりも早い段階から収益化できる可能性が高いといえます。

4.ドロップシッピングに適した商品
ドロップシッピングのビジネスモデルは、在庫と出荷にコストがかかる商品に特に適しています。例えば、次のような商品は自社で在庫を保有するには費用がかかるので、サプライヤーに在庫と発送を一任できるドロップシッピングではメリットが大きいのです。

大型製品:保管に多くのスペースを占有するため、保管に大きな費用が発生します。
重たい商品:商品の重量が原因で発送に費用がかかりすぎる場合は、メーカーまたは卸売業者から直送するメリットがあります。
壊れやすい製品:壊れやすい製品は、出荷時に特別な注意が必要です。商品の発送・輸送のノウハウの整ったサプライヤーに依頼すれば、出荷の際のトラブルを最小限に抑えられる可能性があります。
貴重品:宝石や、骨董品などの高価な商品を保管する際には、厳重なセキュリティが必要となり、その分保管コストが増加します。
特別な条件:温度管理が必要な場合や光に敏感な素材である場合など、保管に特別な要件がある際には、自社で保管するよりもドロップシッピングの方が適している可能性があります。

特に、スタートアップ企業などでは、会社立ち上げの初期の段階で高額な保管・発送料を必要とする場合のコストは大きな負担となります。ドロップシッピングを通じてこれらの製品を提供することで、コストを抑えながら、ビジネスを発展させていくことが可能になります。

5.ドロップシッピングビジネスモデルを採用した成功事例
ここでは、ドロップシッピングモデルで大きな成功を収めているECサイト事例を紹介します。

5−1.BlueCrate(https://bluecrate.com/

BlueCrateは、日常生活に必要ないものを集めて販売している直送ショップです。 Shopifyストアのトップ10に入っており、1日あたりの訪問者数は21,000人を超え、月間売上高は100万ドルを超えると推定されています。話題となるような(SNSに投稿したくなるような)普通とは違う面白い製品の販売、Facebook SHOWページの使用、アイテムを宣伝するための社内ビデオの作成、45日間の手厚い保証期間などが成功の秘訣と考えられています。

5−2.Dark Horse Marine(https://darkhorsemarine.com/

Dark Horse Marineは、アンカー(錨)というニッチ商品を販売する直送ショップです。ウォータースポーツ、地図作成、およびボートでのレジャーのためのツールなど、関連商品も一緒に扱うことで「トータルボートソリューション」として顧客満足度を高めています。

5−3.PuppyLove(https://puppielove.com/

PuppyLoveは、犬向けの商品販売を専門とする直送ECショップです。ペット市場という成長中のニッチを選んだこと、ペット事情に精通していたこと、サプライヤーから高品質の製品を精査して販売したことが功を奏して、約5000ドルの初期投資から、6か月で、店舗の売り上げは178,000ドルを超え、利益は85,000ドルを超える結果を残しています。

6.アメリカ拠点のドロップシッピング専門サプライヤーの紹介
現在、価格の安さから中国のサプライヤーが勢いを増していますが、アメリカで事業展開を考えている場合は、アメリカを拠点とするドロップシッピングサプライヤーの利用も検討すると良いでしょう。アメリカのドロップシッピングサプライヤーから調達するアイテムは、中国のサプライヤーよりも価格は高いかもしれませんが、配送コスト、速度、サービスの点で優れている場合が多いのです。

6−1.あらゆる商品を扱う総合サプライヤー

このタイプのサプライヤーでは、ゲーム、おもちゃ、美容製品、パーティー用品、スポーツ用品、台所用品、ゲーム用品、ペット用品など様々なジャンルを扱っています。

具体的には、Sunrise WholesaleやBryBelly、National Dropshippersなどが大手総合サプライヤーとして挙げられます。

6−2.IT機器や電子機器に強いサプライヤー

ASI PartnerはITハードウェアおよびソフトウェア製品を卸売で販売しています。本社はカリフォルニア州ですが、米国とカナダの13の倉庫に500人以上の従業員を擁する大手で、現在20,000以上の製品を扱っています。

TeleDynamicsは、世界中の事業用・家庭用電化製品を扱っており、そのカタログには8,000以上の製品があります。

6−3.宝飾品や美容グッズ専門のサプライヤー

最近は、宝飾品や美容グッズなどに限定したサプライヤーも出てきています。2007年ニューヨークで創業のFashion Storiesは女性向けの金と銀メッキのジュエリーを設計および製造しています。 イヤリング、ネックレス、指輪、ブローチ、ブレスレットなど様々なアイテムを展開しており、世界中のドロップシッピングビジネスとの取引があります。

2010年カリフォルニア州で創業のBeauty Jointでは、ドロップシッパー向けに化粧品、ヘアケア、スキンケア、アクセサリーを提供しています。 ただし、よりスタイリッシュな製品ラインの提供を受けるには、初期費用19.95ドルと、月額45ドルがかかります。

7.海外進出・海外展開への影響

ドロップシッピングでは、AmazonやEbayなどのECサイトや自社サイトに商品を出品し、注文が入ったら、商品の仕入先(サプライヤー)から直接購入者へ送ってもらうビジネスモデルです。ベンダー自身で在庫を抱えることなく、顧客に製品を販売する事が可能になります。そのため、サプライヤーさえ見つけることができれば、誰でも参入できるため、現在、アメリカでは競争が非常に激しくなっているのが現状です。また、販売利益から第三者に支払わなければならない支払いが発生する点にも注意が必要です。

そこで、重要なのは市場のニッチに狙いに定めることです。本稿で挙げた事例では、どれも他とは差別化を図った商品展開をして成功を収めています。競合相手の少ないニッチを見つけ先駆的なショップを展開できれば、大きな海外市場でも成功することが可能でしょう。

現地の情報やコネクションの少ない企業にとって、在庫や配送などは海外進出においてハードルとなる要素ですが、ドロップシッピングでは信頼できるサプライヤーさえいればこの点の心配は不要となります。海外進出を考えている日本企業にとって、ドロップシッピング方式での事業展開は有力な選択肢となり得ます。

タンデムスプリントグループでは、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2021.5.26
海外営業支援

アメリカのHVAC(空調システム)市場の新たなトレンドとは?注目のHVAC関連スタートアップ企業をご紹介

1.はじめに
HVACとは、Heating、 Ventilation、Air Conditioningの頭文字を取ったもので、暖房、換気、および空調の総称として、日本語では空調システムと呼ばれています。HVACは歴史のある技術、業界であり、新しいビジネストレンドとしてのイメージは少ないかもしれません。しかしながら、オフィスやその他の商業施設の建物において使用される総エネルギー使用量の3分の1以上を占めており、これは照明やインターネットなどの情報技術に使用されるエネルギー量の合計を上回るものです。つまり、HVACシステムは省エネルギー施策にとって、無視できない存在であり、近年ではグリーンビルディング業界においても、HVACをターゲットにした多くのスタートアップ企業が出現しています。

なお、HVACの分野では、画期的な新しいテクノロジーの誕生という側面は少ないことが特徴的です。なぜなら、冷暖房技術はすでに成熟した研究分野であり、全く新しい技術は簡単に生まれるものではないからです。そのため、HVACの分野では既存のシステムの効率を改善する観点から開発を進めている企業が多くなっています。その中で、近年のトレンドの中心となっているのが、ITを使用して、建物内の主要なシステムを統合するシステムといえるでしょう。例えば、HVACシステムを照明システムと通信させることで、それぞれが互いにエネルギー使用量を調整し、全体としてエネルギーを節約することができます。

ここでは、アメリカのHVAC市場について概説するとともに、注目のHVAC関連スタートアップ企業について紹介します。日本企業の方が海外進出・海外展開される際の、参考にしていただけますと幸いです。

2.HVAC市場の将来予測
専門性の高い産業調査レポートを発行しているグローバル市場調査会社である、Grand View Research社のレポートによると、世界のHVACシステムの市場規模は2020年に1,274億米ドルと評価されており、2021年から2028年にかけては5.9%の複合年間成長率(CAGR)で拡大すると予想されています(https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/hvac-equipment-industry)。このようなHVACシステム需要の高まりは、エネルギー効率が高く、リモートアクセスできる新しい技術的に高度な製品の出現によって主に牽引されているものです。CO2などの自然冷媒の使用と、エネルギー効率の高い製品を促進するための世界中のさまざまな政府による取り組みの増加が相まって、HVAC市場はますます盛り上がりを見せることでしょう。 さらに、コストと電力の浪費を削減するエネルギー効率の高いエアコンの採用に向けたパラダイムシフトにより、予測期間中のHVAC需要は現状レベルに維持されると予想されています。

消費者は空間に一層の快適さを求める傾向にあり、高性能なHVACシステムの需要はますます高まっています。 それを受けて、企業は顧客の快適さの要求に対応することはもちろん、競合他社との差別化をすすめるために追加機能を備えた製品を開発しています。 たとえば、IoT対応の冷暖房システムは、システムの機能と状態をリアルタイムで監視します。 このようなHVACシステムは、システム障害、異常な動作、およびメンテナンスサイクルについて顧客または管理者に警告し、早い段階で対処することで、修理コストを削減してくれるメリットもあるでしょう。

気候変動は、冷暖房設備の採用の増加に影響を与える主要因の1つです。 気候変動はこれまで以上に予測できないものとなっており、不安定な気候に対処できる高性能なHVACシステムを求める動きもあります。さらに、HVACユニットは、住宅および商業施設の美的価値も高めます。 企業は、見た目に美しい製品を提供することで、デザイン性にこだわりたい消費者に対応しています。

HVACユニットの需要は、快適さの必要性、地球温暖化の増加、可処分所得の増加などの要因により、商業、不動産、サービス産業など広い業界で成長していますが、その中でも特に 不動産業界は、HVACシステムの主要な消費者の1つです。 不動産業界におけるHVAC需要の成長は、オフィススペース、郊外および都市部の宿泊施設に対する需要の高まりや企業部門の成長によって後押しされています。

2020年以降の新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延は、HVACにも一時的な経済打撃をもたらしましたが、長期的には市場にプラスの刺激を与えると予想されてます。なぜなら、人々はこれまで以上に空気のクリーンさを意識するようになっており、衛生的な屋内環境を作り出すためのHVACシステムへの注目が高まっているのです。パンデミックはHVAC市場に新しい機会をもたらしたともいえるでしょう。

3.HVAC市場で注目の新規参入企業の紹介
ここではアメリカのHVAC分野のスタートアップ企業について紹介します。

3−1.地下熱利用のHVACシステム「Dandelion Energy」(https://dandelionenergy.com/)

Dandelion Energyは、カリフォルニアに本社を置き、2017年に設立された企業です。Dandelion Energyでは、地中熱を利用した家庭向けHVACシステムを主力商品としています。従来の冷暖房設備を、家庭と地下の間に熱を移動させる強力なヒートポンプを用いた設備に置き換え、手頃な価格の地熱暖房および冷房設備を提供しています。

3−2.AIベースのHVACシステム「75F」
(https://www.75f.io/)

75Fは、ミネソタ州を拠点とする2012年に設立されたスタートアップ企業で、AIを活用したビル管理技術を提供しています。同社のビル管理技術では、外気を利用してフリークーリングを提供しており、天候や部屋の占有率などの要素を追跡して建物の居住者の行動を学習することにより、エネルギーコストを削減することが可能です。ワイヤレスセンサー、機器コントローラー、分析と予測的でプロアクティブなビルディングオートメーションを提供するクラウドベースのモバイルアプリとウェブアプリの形をとっています。

75Fのように、ユーティリティを最適化するAIは急成長しているビジネス分野です。類似企業として、BrainBox(https://www.brainboxai.com/) やAquicore(https://aquicore.com/)などがあり、これらの企業もAIのアルゴリズムを利用してHVACシステムをきめ細かく調整するシステムを展開しています。 他にも、空調設備からデータを記録し、クラウドで分析するセンサーを開発しているスタートアップのAugury(https://www.augury.com/)では、サービス会社と協力して、産業用HVACなどのシステムを診断および最適化しています。

3−3.最適化ソリューション「Optimum Energy」
(https://optimumenergyco.com/)

2005年にシアトルで設立されたOptimum Energyは、キャンパスや大規模施設向けのデータ駆動型の冷暖房システム最適化ソリューションを展開しています。 データサイエンスとエンジニアリングの専門知識を組み合わせることで、施設のサポート担当者の生産性を向上させながら、運用コストを最大50%削減するとのことです。

3−4.フラットパネル太陽熱集熱器「Chromasun」
(http://chromasun.com/)

2008年設立のカリフォルニア州サンノゼを拠点とするHVACスタートアップ「Chromasun」は、光学系を使用して最大25倍の太陽放射を集中させるフラットパネル太陽熱集熱器を開発しました。 同社の太陽熱集熱器からのエネルギーは、熱を使用して冷却を提供する確立された技術である吸収式冷凍機を駆動するために使用されます。同社の技術は、華氏350度を超える熱を発生させることで、2段吸収式冷凍機に電力を供給することができるのです。

4.海外進出・海外展開への影響
本稿では、アメリカのスタートアップ企業の実例とともに、HVAC市場のトレンドについて紹介しました。今後も需要増が見込まれるビジネス分野ではありますが、日本企業がHVAC事業で海外進出を考えている場合には、日本のシステムと海外のシステムとの違いに注意が必要です。

実は、欧米では、セントラルヒーティングと呼ばれる暖房・冷房・換気を一括で行う仕組みが主流となっています。日本でもビルや商業施設ではセントラルヒーティング方式が取り入れられていますが、家庭向けとしては、暖房、冷房、そして換気にはそれぞれ別個の機器を各部屋ごとに使用するのが主流でしょう。そのため、HVAC分野において、海外向けにHVACシステムを展開していた日本企業は大手企業ばかりでした。例えば、日立製作所や東芝、三菱電機、ダイキン工業などは、海外の現地大手企業と連携しながら、海外市場への販路を広げています。

大手企業との差別化を図りながら海外進出を検討している日本の中小企業においては、ビルオートメーションシステムの導入や、地球温暖化対策、スマートハウス化など、新しいトレンドを上手く捉え、新しいテクノロジーなどを用いた製品・サービスなどを現地に売り込むことで、海外市場への道を展開しやすくなるでしょう。

タンデムスプリントグループでは、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2021.3.30
海外営業支援

アメリカでは一般的なバックグラウンドチェック -注目のスタートアップ企業や業界のトレンドを紹介-

1.はじめに
アメリカでは採用の際に「バックグラウンドチェック(Background Check)」というプロセスを企業側が行なうことが一般的です。バックグラウンドチェックは身元調査ということもでき、基本的には個人に関する情報をまとめたものであり、仕事の適格性を判断する際に考慮されます。

National Association of Professional Background Screenersによる2019年の調査(https://pubs.thepbsa.org/pub.cfm?id=2E440D2A-E020-605B-1A29-F3FFBDDEEA21)では、米国内の雇用主の96%が、何らかのバックグラウンドチェックを実施していることが示されました。リモートでの採用やグローバル人材の採用など、ますます多様化する労働力を背景に、安心して人材を確保するために重要性が増しているプロセスとも考えられるでしょう。

本稿では、このようなバックグラウンドチェックの概要と、アメリカで注目されているバックグラウンドチェックサービス企業を紹介していきます。バックグラウンドチェックはあらゆる業種で採用されており、ビジネス全体のトレンドを反映しているともいえます。バックグラウンドチェック自体のトレンドや、注目の新サービスについて知り、日本企業の方が海外進出・海外展開される際の参考にしていただけますと幸いです。

2.バックグラウンドチェックの概要
2−1.バックグラウンドチェックとは

バックグラウンドチェックとは、職歴や学歴、犯罪歴やファイナンシャルヒストリーなどを、専門の調査会社を通して調べるもので、選考過程で用いられます。ただし、企業がバックグラウンドチェックを行なう際には、例えば下記のようなコンプライアンスを遵守していることが必要です。

まず、公正信用報告法(Fair Credit Reporting Act:FCRA)では、企業側はバックグラウンドチェックをする前、実施の旨を採用候補者に通知し、書面による同意をとる必要があります。また、雇用機会均等委員会(the Equal Employment Opportunity Commission :EEOC)では、バックグラウンドチェックについての具体的なルールを定めています。この中では、前科があれば一律に採用禁止というような選別をするのではなく、業務の内容と照らし合わせて、それに不適格だと合理的に考えられる前科に限定して採用の検討材料にすべきとされています。

このため、バックグラウンドチェックの実施は、企業の危機管理上非常に重要ではありますが、ルールに沿って実施することに留意しましょう。そして、身元調査の代行会社を利用する際には、コンプライアンスを遵守した信頼できるビジネスとなっているか確認することが大切です。

バックグラウンド調査では、サービス提供企業によって調査項目が異なります。雇用前のスクリーニング項目としては下記のものが一般的です。

・社会保障番号
・住所履歴
・犯罪歴
・市民記録
・性犯罪者登録検索
・国内ウォッチリスト検索
・グローバルウォッチリスト検索
・雇用確認
・教育履歴の検証
・プロフェッショナルライセンスの検証
・ソーシャルメディア検索
・自動車レポート
・信用報告書
・労働者災害補償履歴検索
・薬物検査
・本人確認

2−2.バックグラウンドチェックのメリット

企業にとって、採用候補者にあらかじめバックグラウンドチェックを行なうことの一番の利点は、安全性の向上といえるでしょう。他の従業員や顧客を危険から守ったり、会社の損失や名誉を傷つける行為を事前に事前や防ぐために、採用過程では欠かせないものです。
例えば、医療系など専門的な知識や資格が必要な業種で、不適切な人を採用してしまうと、後々トラブルとなったり、顧客を危険に晒してしまったりする可能性があります。また、最近では学歴詐称も問題となっています。ある調査では雇用主の23%がバックグラウンドチェックの過程で、採用候補者の教育資格に不正確な申告が見つかったというデータもあります。(https://img.en25.com/Web/HireRightInc/%7B4e41d88e-c1d8-4112-9cfb-431461d4018b%7D_2018_HireRight-Employment-Screening-Benchmark-Report_12-FINAL.pdf)。

2−3.トレンド

バックグラウンドチェックで重視される項目は、世論やビジネストレンドを反映します。具体的には、独立請負業者、デジタル統合、薬物とアルコールのテスト、継続的な従業員の監視などの傾向が予想されています。

特に、Uberなどの配達サービスなどのギグエコノミーの仕事が増えるにつれ、オンデマンド型のバックグラウンドチェックの必要性が高まっています。雇用主はフリーランスの労働者についても、正社員の採用と同じように、バックグラウンドチェックサービスを使用して候補者を選別しています。これは、フリーランスの労働者であっても、ブランドの看板を掲げている限りは、ブランドの評価を左右する重要な要素となるためです。

また、2020年には新型コロナウイルスの影響もあり、デジタル化されたサービスに注目が集まっています。2020年の春以降、従業員の多くが突然リモート作業環境への切り替えを余儀なくされ、その影響は2021年になっても継続しています。その結果、電子署名機能など、ペーパーレス機能を備えたデジタルのバックグラウンドチェックフォームが必要になりました。さらに、バックグラウンドチェックサービスを採用管理システム(ATS)と統合するなど、採用プロセスに自動的に組み込むパッケージ型のサービスが人気となっているのです。

その他、2021年には、薬物とアルコールの検査の増加、および継続的な従業員の監視需要の増加が予想されています。リモート勤務が継続する中で、雇用主は、自宅から離れた場所にいる労働者の行動を管理する必要があり、在宅勤務の従業員の薬物およびアルコール検査を実施しているところも増えているのです。継続的な従業員の監視では、雇用前の最初のスクリーニング後、就業後の最新情報を入手することにより、雇用主がリスクを軽減するのに役立ちます。

3.注目のスタートアップや公共プロジェクト事例
ここではバックグラウンドチェックサービスを展開している注目のスタートアップ企業を紹介します。

3−1.AIを利用した身元調査プラットフォーム「Checkr」
https://checkr.com/

2014年にカリフォルニア州サンフランシスコで創立されたCheckrは自動化された身元調査を企業に提供し、既存のオンボーディングワークフローに簡単に統合できるようにするサービスを提供しています。Checkrのプラットフォームを使用すると、企業はオンラインフォームを介して、またはAPIを採用システムと統合することにより、採用候補者を精査できます。 同社は、社会保障番号の検証、住所履歴、性犯罪者の検索、テロリストの監視リストや国家犯罪データベースに対するチェックなど、一連の項目に対応しています。

3−2.候補者の身元調査ソリューション「Truework」
https://www.truework.com/

2017年にカリフォルニア州サンフランシスコで創立されたTrueworkは、候補者の身元調査ソリューションを企業に提供しています。Trueworkのユーザーは検証プロセスを自動化し、雇用や収入などの情報を簡単に検証できるようになるのです。採用時のバックグラウンドチェックだけでなく、ローンの申し込みや住宅購入の際の身元調査として導入している金融機関もあります。

3−3.ソーシャルメディアとデジタルフットプリントのチェックを行なう「Fama」
(https://fama.io/)

2015年にカリフォルニア州ロサンゼルスで創立されたFamaはクラウドベースのSaaSプラットフォームです。候補者のソーシャルメディアやデジタルフットプリントに関する洞察を雇用主に提供します。 人工知能、機械学習、人間ベースの組み合わせにより、偏見、違法薬物、差別的行動、または企業に悪影響を与える「カスタマイズされたリスク」に関する示唆を自動的に表示してくれます。

4.海外進出・海外展開への影響
従業員を採用する際に重視すべき点は、時代によっても業界によっても変化します。そのため、各企業のニーズに合わせて包括的なバックグラウンドチェックのオプションを提供してくれるサービスが必要とされているのです。企業が自分たちでスクリーニングを行なうことも可能ですが、それぞれのオンラインデータベースをひとつひとつ検索する必要があり、これは非常に手間も時間もかかる作業となります。そこで、現在では、必要な項目を一括でスクリーニングしてくれる包括的なバックグラウンドチェックビジネスの導入が一般的となっているのです。

適切なバックグラウンドチェックを行なうことで、法令遵守に従い、優良な従業員を雇用し、会社の評判を高めるのに役立ちます。また、最新のソリューションでは、機械学習などを活用して採用に関する的確なアドバイスまで提供してくれるものもあります。このようなサービスを使えば、専門知識がなくても従業員の選考を効果的に行なうことができるでしょう。

海外展開・海外進出を考えている日本企業の方は、バックグラウンドチェックビジネスについて馴染みがないかもしれません。しかし、アメリカでは欠かせない採用プロセスのひとつです。海外進出をし、現地で採用する際には、手軽に優秀な人材を確保するために不可欠なプロセスとなるでしょう。

また、AIや機械学習などのソフトウェアをバックグラウンドチェックに応用して、新しいサービスとして海外展開を行うことも考えられます。今後も需要が高いと考えられるビジネス分野であり、ビジネスチャンスとしても注目されています。

タンデムスプリントグループでは、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

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