2021.11.22
海外営業支援

グッド、ベター、ベストの段階的値段設定がビジネス成功の鍵 米国企業の実例とともに紹介

1.はじめに
現在、米国では様々なサービスで「グッド、ベター、ベストプライシング」と呼ばれる段階的な価格設定が設けられています。これは、顧客に対して3つ以上のサービスレベルを提示し、それぞれのサービスレベルに応じて価値と価格を増加させる価格戦略のことです。例えば、「ブロンズ→シルバー→ゴールド」あるいは「ベーシック→アドバンス→デラックス」などのパッケージを設けます。パッケージの価格は段階的に高く設定されていますが、その分、追加サービスやアップセルなどが含まれるのです。

「グッド、ベター、ベストプライシング」により、企業側はさまざまな顧客のニーズと予算に最適なパッケージまたはサービスを提供することができます。幅広いターゲットオーディエンスにアピールすることにもつながり、現在、サブスクリプションサービスやオンラインサービスを提供する業界を中心に、「グッド、ベター、ベストプライシング」モデルの活用が広がっています。

本稿では「グッド、ベター、ベストプライシング」メリットを詳しく説明するとともに、本価格戦略によって成功している米国企業の事例も紹介します。

商品やサービスの価格戦略はビジネスにおいて非常に重要な要素となります。そのため、海外展開の際には、現地の競合他社の価格設定を参考にすることも多いと思います。今回紹介する「グッド、ベター、ベストプライシング」は、海外市場で適切な価格設定とする上でも、有効となります。海外企業の実際のサクセス事例を参考にして、海外進出の成功へとつなげていただけますと幸いです。

2.「グッド、ベター、ベストプライシング」のメリット
2−1.製品をより手の届きやすいものにする
グッド、ベター、ベストの段階的な価格設定により、製品・サービスは顧客にとってより手の届きやすいものとなります。手頃感のある価格を最低モデル「グッド」として使用して、まずは新規顧客を呼び込むのです。新規顧客を獲得した後は、顧客に良い商品体験を感じてもらい、「グッド」から「ベター」や「ベスト」という高次元のプランにリピーターとして戻ってきてもらうことも期待できます。

手頃な価格プランを用意しておくことで、新規顧客が製品・サービスを試してみようと考えるまでのハードルを下げることにつながります。海外市場に新規参入を考えている日本企業にとって、このメリットは非常に有益になるのです。

2−2.利益率とブランド価値の向上
「グッド、ベター、ベストプライシング」では、段階的な価格設定のハイエンドプランで利益率を上げることもできます。「グッド」で新規顧客を獲得しつつ、「ベスト」の顧客層を増やしていくことで、利益率を高めるのです。また、ハイエンドのプランで提供するプレミアムな体験は、顧客に特別感を感じさせ、ポジティブなハロー効果によってブランドの価値を引き上げることにもなります。
2−3.さまざまなタイプの顧客にアピール
潜在顧客の中には様々な感度の顧客がいます。企業側がある程度のターゲット層を定めているとしても、それぞれの潜在顧客が求めている機能性や価格設定は異なるのです。複数の選択肢を提供することで、顧客自身で自分にとって最適なものを選択できるようになります。
2−4.消費者心理を企業にとって都合の良い方向に動かす
「グッド、ベター、ベストプライシング」では、以下3つの理由から、企業にとってプラスとなる方向へ消費者心理を動かすことが可能と考えられています。

1つ目は、製品・サービスラインを理解しやすくなる点です。つまり、段階的な価格設定を使用することで、製品の様々な機能が分解した状態で可視化されます。潜在的な顧客が製品・サービスを正確に理解し、自分にとって必要な機能を判断することが容易になります。

2つ目は、より高い価格そのものが顧客の購買意欲の高める可能性があるという点です。様々な書籍を執筆しているウィリアム・パウンドストーン氏による一冊 『プライスレス 必ず得する行動経済学の法則(原題Priceless:The Mith of Fair Value And How to Take Advantage of It)』の中で紹介された興味深い実験を紹介しましょう。

実験で「高価格のプレミアムビールA」と「低価格のバーゲンビールB」を提示したところ、約80%の人が高価なプレミアムビールAを選びました。次に「より低価格のスーパーバーゲンビールC」を加えると(A>B>C)、今度は約80%がビールBを買い、残りの人がビールAを買い、最低価格のビールCを買う人はいませんでした。追加するビールを安いものではなく、最高額のスーパープレミアムビールD(D>A>B)にすると、ほとんどの人がビールAを選び、少数の人がビールBを選び、約10%の人がビールDを選んだそうです。

この実験からは、常に最も高価な商品を選ぶ割合が一定数あること、そして選択肢が3つに増えると、真ん中の価格のオプションを選択する割合が高くなることが示されています。そのため、単一の価格設定にするよりは、「グッド、ベター、ベストプライシング」の方が利益が大きくなるといえます。そして、最も売りたい商品やサービスプランは3つの価格帯の中で中間のもの「ベター」にすると良いと考えられます。

3つ目は、複数の価格帯を提案することで、潜在顧客に「買う」と「買わない」ことを考えさせるのではなく、売っている中からどれを買うかという気持ちへと変化しやすいという点です。つまり、購入を前提として、3プランの中でどれが一番お得かという消費者心理になるので、購入に至る割合が高くなると期待できます。

3.米国企業の「グッド、ベター、ベストプライシング」事例
3−1.米アマゾンのオーディオブックサービス「Audible(オーディブル)」
https://www.audible.com

通販サイトAmazonが運営するオーディオブックサービス、Audible(オーディブル)では、米国エリアで以下3段階の価格設定を展開しています。

グッド:Audible Plus
月額7.9ドルで11,000を超える無料タイトルカタログへの無限アクセス

ベター:Audible PremiumPlus
月額14.95ドルで、無料タイトルへの無限アクセスに無料タイトル以外のコンテンツをダウンロードするためのクレジットを毎月1つ取得

ベスト:Audible Premium Plus – 2 credits
月額22.95ドルで、無料タイトルへの無限アクセスに無料タイトル以外のコンテンツをダウンロードするためのクレジットを毎月2つ取得
 

3−2.SNS用の管理プラットフォームを提供する「Sprout Social(スプラウト・ソーシャル)」
http://sproutsocial.com/

2010年に設立され、イリノイ州シカゴに本社を置くSprout Social(スプラウト・ソーシャル)は、ソーシャルメディア(SNS)管理プラットフォーム企業です。現在、企業にとってSNSはマーケティング効果の大きいプラットフォームであり、SNSマーケティングの重要性が増しています。一方で、複数のSNSを活用するのは簡単ではありません。

スプラウト・ソーシャルが提供する管理プラットフォームでは複数のSNSを統合するとともに、自動化機能を搭載してSNS運用の負担を軽減してくれます。

スプラウト・ソーシャルでは、3つの異なるプランを提供しており、高価格のプランになるほど複雑な管理が可能となっています。

グッド:Standard
月額99ドル
アカウント上限:5
基本的な管理・レポート機能

ベター:Professional
月額169ドル
アカウント上限:10
複雑な管理・レポート機能

ベスト:Advanced
月額279ドル
アカウント上限:10
複雑な管理・レポート機能および自動化ツール

3−3.経理プラットフォームを提供する「Pilot(パイロット)」
https://pilot.com/

2016年にカリフォルニア州サンフランシスコで設立されたPilot(パイロット)は、経理、税務、CFOサービスを提供するプラットフォーム企業です。従来型の外部委託サービスに比較して、時間、コスト、および労力を削減できるとして、成長段階にあるスタートアップ企業から受け入れられています。

Pilotの経理ツールでは、企業のプランに応じて以下3つの異なるプランを提供しています。

グッド:Core
月額599ドル
企業直後のスモールビジネス向け

ベター:Select
月額849ドル
成長を加速したい(ビジネス規模を拡大したい)企業向け

ベスト:Plus
月額カスタマイズ価格 
規模の大きな企業向け

4.海外進出・海外展開への影響
業界に関わらず、製品やサービスの価格戦略は、ビジネス成功にとって鍵となる重要な要素です。同じサービス、価格だとしても、見せ方によってはより魅力的に見えることもあります。消費者心理に効果的に働きかける価格戦略として米国企業では「グッド、ベター、ベストプライシング」の採用が一般的です。本稿で紹介した企業のサービスプライシングにおける取り組みに限らず、小売店の広告など様々な場面に応用されています。

日本企業が海外進出する際には、価格戦略の1つとして「グッド、ベター、ベストプライシング」の導入を考えてみてはいかがでしょうか。自社サービスをわかりやすく紹介するとともに、他社との比較ではなく、自社内でのプラン内比較という思考に消費者を導くため、顧客獲得に有効です。また、低価格帯で顧客を獲得した後に、高価格帯のプランで収益性を高める段階にも移行しやすくなります。

タンデムスプリントグループでは、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2021.11.12
海外営業支援

リモートワークからハイブリットワークの時代へ〜米国ではニッチな需要に応えるユニークなコワーキングスペースが続々登場〜

1.はじめに
新型コロナウイルスの世界的大流行によって、人々の働き方は大きく様変わりしました。特に、米国では強制力を伴った在宅勤務が広がり、オフィスから人が消えていったのです。そして、現在注目されているのがコワーキングスペースの活用です。

実は、規制が解除されオフィスが再開した後も、米国の労働者の52%は、在宅勤務とオフィス勤務を組み合わせた勤務形態を好んでいることが分かっています(https://www.gensler.com/uploads/document/740/file/Gensler-US-Workplace-Survey-Summer-Fall-2020.pdf)。また、企業のリーダーを対象にしたアンケートにおいても、その72%がハイブリッドモデルでの働き方を今後従業員に提供することを計画しています(https://www.steelcase.com/research/articles/topics/work-better/first-wave-workplace-change/)。企業のオフィススペース削減を予定している組織も13%にのぼり(https://www.steelcase.com/research/articles/topics/work-better/real-questions-real-answers-hybrid-work/)、今後オフィスとは別の場所で働く形がさらに主流となってくることが予測されています。

このような流れの中で勢いを見せているのが、コワーキングスペースです。米国企業の50%以上が、今年のオフィス再開の一環として新しいワーキングスペースを試験的に導入することを計画しており(https://www.steelcase.com/research/articles/topics/work-better/kickstart-return-office/)、オフィスとは異なる形態のワーキングスペースの必要性が増しています。

本稿では米国を中心にしたコワーキングスペースのトレンドについて紹介するとともに、様々な工夫をこらしたコワーキングスペースの事例についても取り上げていきます。

企業の海外展開の際には、現地の働き方をしっかりと把握しておくことが現地の優秀な人材を確保することに繋がります。現地のワーキングスペースのトレンドを参考にすれば、現地従業員にとって魅力的な職場を作りができるでしょう。また、海外のビジネストレンドを参考に、海外進出のビジネスアイデアにつなげていただけますと幸いです。

2.業界トレンド
2−1.コラボレーション性
コワーキングスペースには、単なる場所ではなくコミュニティの場となることが一層期待されています。例えば、一部のコワーキングスペースでは、メンバー登録の際に、利用者自身がその環境を選択できるような運用を始めています。

つまり、コワーキングスペースを利用し、同じような興味を共有し、コラボレーションできるようなメンバーを集めたコミュニティを創造しようという試みです。。同じような興味や目的意識を持ったビジネスパーソンを一つの屋根の下に集めることで、より深い関係を築き、コラボレーションを構築し、その結果としてビジネスを効率的に成長させることに繋がるでしょう。このような魅力的なコミュニティであるコワーキングスペースでは、利用者からの満足度も高まり、新規参入者を見込めることから、収益を増やし、ビジネスを拡大することができる可能性があります。

また、特定の業界やニッチに特化したスペースも人気となっています。例えば、保育所を併設した親のためのコワーキングスペース、女性専用のコワーキングスペース、ワーケーションを叶えるコワーキングスペースなどです。同じような興味や目的を持った人々を顧客層に抑えることで、アイデアを共有し、コラボレーションし、生産性を高め、革新的なソリューションを考え出すのに最適な場所となることが期待されます。

2−2.多目的なコワーキングスペース
一方で、元々はホテル、店舗、レストランなどのスペースをコワーキングスペースとして利用できるようにする取り組みも増えています。例えば、昼間はレストランをコワーキングスペースとして使用し、夜は従来のレストラン施設として使用するような場合です。また、スポーツジムとコワーキングを組み合わせて、ウェルネス指向の複合施設をつくることもできます。

このような複合施設型のコワーキングスペースは運営者、利用者の両者にメリットがあります。運営者側は共有経済を利用してより多くの利益を生みだすことができますし、利用者も安価に複数のサービスを楽しむことができるのです。

2−3.IoTと自動化
コワーキングスペースの利用体験を向上させるための鍵となるのがIoTと自動化です。消費者はよりシームレスな体験を欲しており、単一の統合された仕組みを介して、コワーキングスペースを利用できるようにする必要性が高まっています。

具体的には、アプリ内で予約、支払い、利用が完結する仕組みを想定すると良いでしょう。利用者自身がコワーキングスペースのモバイルアプリを開き、利用する時間や施設を選択すれば、そのままアプリ内で決済できるという仕組みのものです。さらに、実際の利用時に、スマートフォンで部屋を解錠できるような仕組みにすれば、よりシームレスな体験を提供できるでしょう。

3.独自の戦略を展開するコワーキングスペース事例
3−1.メンタルヘルスの専門家のためのコワーキングスペース「ブルーハウスウェルネス」
https://bluehousewellness.com/

ジョージア州アトランタにあるブルーハウスウェルネスは、メンタルヘルス専門家のためのコワーキングスペースです。 ブルーハウスはセラピスト専用に設計されており、利用者は必要に応じて部屋を予約できます。利用者はプライバシーにも配慮された快適なオフィスでクライアントとセッションを行うことができるのです。

3−2.本格的なボルダリングジムに併設のコワーキングスペース 「Brooklyn Boulders」
https://brooklynboulders.com/

2009年にニューヨークで開業したブルックリンボールダーズは、現在ボストンとシカゴに拠点を増やしており、更に2021年中にはワシントンDCにも新しくオープンする予定です。

ここでは複数のクライミングウォールに加えて、子どもと大人向けのレッスンプログラムやイベントスペース、そしてコワーキングスペースを兼ね備えています。コワーキングスペース専用のメンバー制度ではなく、ボルダリングジムのメンバーになればコワーキングスペースも併せていつでも利用可能となります。

3−3.コワーキングスペースの大手「Wework」の生き残り戦略
(https://www.wework.com/

2010年に米国ニューヨークで創業したコワーキングスペースの大手WeWorkは、全世界38ヶ国151都市800ヶ所以上の地域でコワーキングスペースを提供・運営しています。しかし、WeWorkでは、現在会員数が減少しており、苦境に立たされている状況となっています。そのため、現在では新しいオンデマンドおよびオールアクセスオプションを通じて、より多くの人々に、ニーズに合った施設を使用してもらえるような戦略に踏み切っています。利用者がより気軽に利用できるようにすることを目標に、自宅での仕事からの気分転換として、週に1日はオフィス業務に戻れる場所としての提供を試みています。

また、企業と協力して、企業の福利厚生としてWeWorkへのオールアクセスサービスを提供する企画や、大学と協力して、学生に別の学習場所を提供する企画も打ち出しています。たとえば、Georgetown UniversityはWeWorkとパートナーシップを結び、在籍する学生にWeWorkへのオールアクセスサービスを提供し始めました。新型コロナウイルスの影響で、公共の図書館の多くが閉鎖する中、学生に安心して勉強できるスペースを確保したいという狙いがあったためです。(https://www.georgetown.edu/news/wework-all-access-benefit-for-georgetown-university-students/)。

また、Brandwatchなどの企業も最近、WeWorkのオールアクセスのパスを従業員に付与して、世界中にあるWeWorkのロケーションを利用できるようにしています(https://techcrunch.com/2021/03/15/wework-unbundles-its-products-in-an-attempt-to-make-itself-over-but-will-the-strategy-work/)。

4.海外進出・海外展開への影響
従来コワーキングスペースは、フリーランサー、スタートアップ企業、起業家など一部の人々を中心に利用されていました。しかしながら、最近ではリモートワークが主流となり、オフィスに通うことなく仕事をする人々が急激に増えたことで、コワーキングスペースのターゲット層が広がっています。

また、企業としても通勤と在宅を同時に実施するハイブリット型に変換していく中で、今までと同じ規模のオフィススペースを維持することが非効率になってきました。これを受けて、企業は自社のオフィススペースの代わりにコワーキングスペースを有効活用することを視野に入れ始めています。

このトレンドは、企業が海外展開する際にはプラスに働く可能性があります。日本から海外展開する際には、オフィス立ち上げに大きな初期費用がかかりがちです。しかしこの際、コワーキングスペースをオフィスとして利用すれば、初期投資を抑えながら海外進出をすることも可能となるのではないでしょうか。

このように新たな形でコワーキングスペースビジネスが成熟する中で、従来よりも質の高い、付加価値のあるスペースが求められる傾向があります。言い換えると、店舗数などで圧倒していた大手だけでなく、新規参入企業にも工夫次第ではビジネスの成功を収められる可能性が高まっているのです。スタートアップ企業として自由なアイディアで新しいビジネスを始めるチャンスともいえるでしょう。利用者のニッチな需要をいかに吸い上げるかが鍵になるといえます。

タンデムスプリントグループでは、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2021.10.23
海外営業支援

アメリカでもキャンピングカーの人気が上昇中/レンタルプラットフォームなどの関連スタートアップも増加中

1.はじめに
現在アメリカではRVへの注目が高まっています。 RVとは、Recreational Vehicle(休暇を楽しむための車)を略したもので、キャンピングカーもその一つです。。Recreation Vehicle Industry Association (RVIA)によると、アメリカの総世帯の内、約10%がRVを所有しており、新型コロナウイルス(COVID-19)をきっかけに、ソーシャルディスタンスをとりながらも旅行を楽しみたい消費者の心理状態が重なったことで、現在RVの売り上げが急増しているのです。また、RV人気に乗じて、RVのレンタルプラットフォームや新世代のRVなども生まれています。

本稿ではRVビジネスのトレンドについて紹介するとともに、RV関連のスタートアップ企業についても取り上げていきます。海外展開の際には、現地で話題のビジネスモデルを参考にすることが有効です。また、RV業界の成長は、車両製造だけでなく、サービスプラットフォームや、保険ビジネスなど幅広い分野に関連していきます。海外のビジネストレンドを参考に、海外進出のビジネスアイデアにつなげていただけますと幸いです。

2.市場予測
新型コロナウイルスの世界的大流行が始まった直後は、世界中で小売業者および製造拠点が閉鎖されたため、RVの出荷が減少していました。RVIAによると、具体的には、2019年3月発表のRVの総出荷台数は38,015台だったものが、2020年3月には30,288台と、前年度比20.3%の減少となっていたのです(https://www.rvia.org/news-insights/rv-shipments-march-2020)。

しかし、2020年の下半期に規制が解除されはじめると、安全に旅行をしたいという消費者が増え、RVの需要が急増しました。RVIAでは、2020年6月の調査で、RVの売上が前年度比で170%も増加し(https://www.rvia.org/news-insights/people-flocking-rv-travel-summer-social-distance)、約4,600万人のアメリカ人が今後12か月以内にRV旅行を計画している(https://www.rvia.org/news-insights/46-million-americans-plan-go-rving)ことを発表したのです。一方、メーカーの月次調査によると、RVの総出荷台数は2020年7月に43,035台を記録し、2019年7月に出荷された28,044台から53.5%も増加していました。

アメリカのRV市場は2020年に267億米ドルと評価されており、2021年から2026年のCAGR(年平均成長率)は約5%で、2026年までには357億米ドルに達すると予測されています。

3.業界トレンド
新型コロナウイルスの影響で急激な需要増となっているRVですが、RVへの注目は過去10年ほど前から高まっていました。これは従来とは異なる多様な購入者層がRVの購入をするようになったことが主な要因です。実は、従来、RV所有は高齢の退職者の娯楽としての側面をもっていました。しかし近年では、このRV所有者の人口統計は変化しています。

RVIAのレポートによると、初めてRVを所有する人の54%は女性であり、半数以上が55歳未満です(23%は35歳未満)。また、 RV所有者の多くは既婚者であり、平均以上の所得があり、家を所有していることもわかっています。また、ミシガン大学の調査によると、RVを楽しむ人々の54%がペット同伴だということです。 現在では、リモートワークという働き方が普及したことにより、RVで旅をしながら仕事をすることも可能となりました。今後も働く世代のRV所有が増えていくことが予測されています。

RVの種類には、一般車の内装を変えてキャンピングカーにしたものや、トレーラーを乗用車で牽引するタイプなど、様々な種類があります。現在のトレンドは小型で超軽量のトラベルトレーラーです。特にティアドロップキャンピングカーと呼ばれるコンパクトタイプのものは、一般車両や一部のオートバイで牽引できるため、大型車を所有していなくとも気軽にRV旅行を楽しむことができるため、人気となっています。

そして、RVの所有者が増加するにつれ、それを使用していないときに貸し出すビジネスも盛んになってきています。RVを貸し出したい人と借りたい人をマッチングするためのプラットフォーム事業を始めるスタートアップ企業も続々と誕生しています。

4.スタートアップ企業事例
4−1.移動ホテルがコンセプトのトラベルバン「Cabana」
https://www.cabana.life/
シアトルを拠点とするスタートアップのCabanaは、ユーザーにエンドツーエンド(E2E)の旅行体験を提供しています。顧客がホームページ上のアンケートに回答していくと、Cabanaは旅行の全旅程を作成してくれます。そして、ベッドルーム、バスルーム、キッチンエリアを含むCabanaのトラベルバンとともに旅を始めることができるのです。

このトラベルバンには、ベッド、テレビ、冷暖房、シャワーなどの多機能が備わっており、ホテルの部屋とともに移動する、というコンセプトを実現しているといえます。顧客はCabanaでトラベルバンを予約して、登山口の近くや野外フェスティバルなど、車でないとアクセスがしづらい場所に簡単に移動、快適に滞在することができるのです。

同社は2019年に設立され、2020年5月にはシード資金調達ラウンドで350万ドルを獲得、2021年6月にはシリーズAで1000万ドルの資金調達をすることが発表されています。

Cabanaは現在ロサンゼルスとシアトルで利用可能であり、35台のトラベルバンを保有していますが、今後車種・保有台数ともに拡充していく予定です。

4−2.RVレンタルのマーケットプレイス 「Outdoorsy」
https://www.outdoorsy.com/
Outdoorsyは、RVの所有者とRVキャンプをしたい人をつなぐマーケットプレイスプラットフォームです。多くの人々がRVを所有している一方で、RVを借りたいと思っている人もたくさんいます。Outdoorsyはこれらの人々のマッチングを手掛けています。

Outdoorsyは、2026年までに350億ドルを超えると予想されているアメリカのRV車業界の中で、初めてのピアツーピア(P2P)サービスとして登場しました。2014年テキサス州オースティンで設立された同社は、RVの個人間取引を簡単かつ安全に行えるプラットフォームを運営しています。このプラットフォームでは、RVで旅行するのが好きな人々に、借りるという選択肢を提供し、RV所有者には収入を得る機会を提供してくれるのです。

また、Outdoorsyの競合企業として、RVShare(https://rvshare.com/)もアメリカ国内でピアツーピアRVレンタルサービスを展開しています。

4−3.テスラのEVピックアップトラックをキャンピング仕様に拡充できる「Cyberlandr」
https://www.cyberlandr.com/

テスラ社では、同社初のEVピックアップトラックとして「サイバートラック」を発表しており、2022年に生産開始予定です。そして、それに先行して、2021年5月には、テスラのサイバートラックをキャンピングカーにするアタッチメント「サイバーランダー」の予約販売を開始しました。
サイバーランダーは、コンパクトサイズながら、シャワー、キッチン、ベッドを装備しており、これがあれば、移動可能な住居として、週末の旅行や緊急時の避難所にも使えるようになります。

5.海外進出・海外展開への影響
新型コロナウイルスによるロックダウンの影響で一時的に生産や販売が落ち込んだRV業界ですが、将来的な見込みは非常に明るいといえます。人々の行動様式の変化も後押しとなり、今後RV関連の新しいビジネスが生まれてくることでしょう。大手企業もRV需要に敏感に反応していることから、同業界へ既存企業が新規参入することも予測されます。

特に、若年層が消費者の中心になりつつある現状は、将来的成長の大きな後押しになります。働く場所に柔軟性が増しており、QOLを重視する傾向の強い若い世代にとって、RVで旅をしながらの生活は、非常に魅力的なものとなっています。同世代は、デジタルでのシームレスな手続きを好む傾向にあるため、RV業界においてもスマートフォンを使って、気軽に予約、質問などができる流れとなってきています。

日本のRV業界はアメリカほど規模が大きくはありませんが、車中泊ブームもあり、RV関連ビジネスは増加しつつあります。例えば、「Carstay(https://carstay.jp/ja/stay)」は全国各地に点在する駐車場や空き地を車中泊・テント泊スポットとして、滞在先を探す旅行者へ案内するマッチングサービスとして2019年1月にリリースされました。また、日本RV協会とタイムズ24が業務提携し、キャンピングカーの駐車場所を拡大するなど、日本国内にもRV関連のビジネスが始まりつつあります。

今後、RV事業の成長とともに、保険や車両メンテナンスなど、関連サービスが生まれてくることが予測されます。このような国内での新規アイディアを伴って、海外市場にうまく参入できれば、国内では実現できなかった大規模な事業成長も可能となるでしょう。

タンデムスプリントグループでは、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2021.9.24
海外営業支援

米国で成長するペット産業のトレンドとは? プレミアムペットフード、Eコマース、出張サービスの紹介

1.はじめに
2020年春以降、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって、様々な業界が打撃を受けました。そしてそのような状況下にあって、ペット産業はパンデミックの中でも大きな成長を見せた分野といえます。多くの人々がステイホームを続ける中で、ペットと過ごす時間が増えたり、新しくペットを迎える人々が増えたりしたためです。

ペット業界の市場規模は、元々増加傾向にありましたが、パンデミック下での需要の高まりを受けて、更に市場規模が拡大しています。具体的な数値を見てみると、米国ではペットフードだけでも369億ドルの市場規模に上ります。また、獣医師による治療や製品の販売が293億ドル、グルーミングや犬の散歩などのサービスが103億ドルの市場規模となっています(American Pet Products社のレポート「Pet Industry Market Size, Trends & Ownership Statistics」https://www.americanpetproducts.org/press_industrytrends.asp)。

本稿では、ペット業界のトレンドを具体的な米国企業の実例とともに紹介します。海外展開の際には、現地で話題のビジネスモデルを参考することが有効です。また、ペット業界のトレンドは人間の購買行動を強く反映するものでもありますので、小売ビジネス全般のトレンドを把握する役にも立つでしょう。消費行動のトレンドを押さえて、海外進出の際の参考にしていただけますと幸いです。

2.プレミアムペットフード

ペットフードは、ペット業界の中でも大きな割合を占めるものです。人々の健康意識の高まりに伴って、ペットのオーナーは自身のペットの食事にも強くこだわるようになってきました。企業側はオーナーの要望を反映して、食品の素材にこだわったり、植物ベースのフードを展開したりなど、これまでにないプレミアムペットフードブランドが注目されています。

ここでは米国ベースでペットフードを展開するスタートアップ企業を紹介します。

2−1.カスタマイズ可能な犬用フードを展開するOllie
https://www.myollie.com/
2015年にニューヨークで設立されたOllieは、消費者によるカスタマイズ可能なドッグフードを展開するブランドです。 年齢、犬種、活動レベル、アレルギー、理想的な体重に基づいて、犬の食事プランを提供しています。
2−2.冷蔵ペットフードのメーカーFreshpet
https://freshpet.com/

ニュージャージー州で2006年に設立されたFreshpetは、犬と猫用の冷蔵フードを製造しています。 Freshpetの製品は、食品につなぎや、副産物、または加工肉を使っていないことが特徴です。また、従来のドライフードやウェットフード、または缶詰のペットフードとは異なり、新鮮な食材を使用し、原材料の必須ビタミンと栄養素を保持するために、低温でゆるやかに調理されています。

2−3.植物ベースのペットフードを提供するWild Earth
https://wildearth.com/

2017年にカリフォルニア州で設立されたWild Earthは、植物ベースのペットフードを提供しています。 製品にはタンパク質、ビタミン、ミネラル、小麦胚芽などの成分を使用し、 バナナ・シナモン味、ストロベリー・ビート味、ピーナッツバター味などのさまざまな風味の製品を展開中です。

2−4.ドッグフードのオンラインサブスクリプションプラットフォームPetPlate
https://www.petplate.com/
2016年にニューヨークで設立されたPetPlateは、ドッグフードのオンラインサブスクリプションプラットフォームです。 ペットの個性に合わせて厳選された、すぐに食べられるフードメニューを展開しています。 ユーザーは、プラットフォームを介して食事の試食を申し込むことも可能ですが、基本的には定期購読型の商品です。
2−5.レシピ提供と自宅配送を行うThe Farmer’s Dog
https://www.thefarmersdog.com/

2015年にニューヨークで設立されたThe Farmer’s Dogは作りたての自家製ドッグフードを展開しています。ペットのオーナーは、同社が提供するレシピをもとに家庭で調理するか、調理済みのフードを宅配注文することが可能です。 ペットの情報を提供することで、オーナーからの要望に応じた、カスタマイズされた食事プランを受け取ることができます。

2−6.新鮮で健康的なドッグフードを消費者に直接届けるNomNomNow
https://www.nomnomnow.com/

2015年にカリフォルニア州で設立されたNomNomNowは、新鮮で健康的なドッグフードを調理して消費者に直接届けます。 毎週配送されるドッグフードは、それぞれの犬に合わせてカスタマイズされているのが特徴です。そのため、オーナーは犬の特徴を同社に提供し、レシピを選択する必要があります。 レシピは、認定獣医栄養士によって創作されており、ペットフードの栄養基準であるAAFCO栄養基準を満たす健康的でバランスの取れた食事を提供しています。

2−7.ナチュラルペットフードのプレミアムブランドI And Love And You
https://iandloveandyou.com/
2012年にコロラド州で設立されたI And Love And Youは、ナチュラルペットフードのプレミアムブランドです。 同社は、穀物を含まない製品や、タンパク質が豊富な製品など、さまざまなタイプのペットフードを提供しています。 副産物、添加物、人工香料、保存料を使用していない点も特徴です。 製品には、ドライフード、ペット用ガム、生食フード、ウェットフード、おやつ、その他のサプリメントなど幅広く製品展開しています。
3.Eコマース
ペット業界にもEコマースの波が押し寄せてきています。特に、COVID−19の影響もあり、人々はペットショップの店舗に直接出向くのではなく、オンラインショップで買い物をする傾向が確実に加速しました。

その中でも、DTC (Direct to Consumer)とも呼ばれる消費者への直接販売市場が特に盛況です。これらの企業の特徴は「デジタル・ファースト」であり、消費者からのフィードバックをもとに革新を進めています。何ヶ月もかけて新製品を開発し、高額なマーケティングキャンペーンで宣伝する大規模な既存ブランドとは異なり、DTCでは、消費者との直接的なコミュニケーションにより、機敏な対応をとることが可能です。消費者の要望やニーズに基づいて、常に製品をテストし、調整しているといえるでしょう。

このような開発手順であれば、それぞれの消費者に向けてカスタマイズされた、より個性的な製品を提供することが容易になります。前述のペットフードのトレンドにもEコマース、DTCの色が強く現れていますが、このような企業は、ニッチなアプローチを取り、本物志向でパーソナライズされた体験を重視するミレニアル世代やZ世代をターゲットにしているのです。

4.利便性の高い出張サービス
現在、モバイルグルーミングのような自宅に出張してくれるタイプのペットサービスが人気です。実際、類似ビジネスを始めるための情報記事もネット上に多くあり、注目の高さが伺えます。

出張サービスが顧客を集める主な理由は、やはり利便性といえるでしょう。ペットの中には、グルーミングをしてくれる店舗まで連れて行くのが一苦労なペットもいます。移動そのものを嫌がったり、移動中に興奮してグルーミング時に落ち着きがなくなってしまうこともあります。その点、出張サービスであれば、自宅から移動する必要もなく、ペット自体もリラックスした状態で臨めます。

また、出張サービスは、デジタルとの親和性もよく、スマートフォンやiPadから、予約の設定、リマインダーの受信、支払いの処理なども簡単に行うこともでき、COVID-19の影響下にあっては、顧客との非接触となる利点も挙げられます。

5.海外進出・海外展開への影響
今後も成長が見込まれるペット業界ですが、同業界は人間を中心とした業界で見られるトレンドを強く反映しているといえます。例えば、「ウェルネス」「パーソナライゼーション」「デジタル化」などのキーワードはペットと人、どちらの業界でも共通しています。

また、COVID−19は、多くのビジネスでテクノロジーの導入を加速させました。ペット業界においても、テクノロジーを賢く利用することで、ビジネスをより効率的に行うことができます。 実際、消費者自身もオンラインでの利便性を期待しているのです。

特に、若年層の消費者は、買い物をする際に、利便性、使いやすさ、シームレスな体験を重視しているといえるでしょう。これらのデジタルネイティブとも呼ばれる若い世代では、情報収集能力にも長けているだけでなく、オンラインでの迅速でパーソナライズされたコミュニケーションを好みます。また、スマートフォンを使って、予約、質問、買い物などができることを好む傾向にあります。

このような背景に加え、人間同様ともいえるペットの健康やペットフードの高品質さへの関心が、ペット業界のトレンドを生み出しています。ペット関連の製品やサービスは、今後も発展していくことでしょう。新たなニッチを上手く捉えることができれば、市場で優位に立てる可能性も高まります。アイディア次第では、日本よりも市場規模も大きい海外で新たなビジネスを展開することも可能です。

タンデムスプリントグループでは、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2021.6.21
海外営業支援

アメリカのグリーンテック市場と企業の参入事例

1.はじめに
グリーンテクノロジー(グリーンテック)は、環境に優しい製品やサービスを生み出すための科学テクノロジーを示す用語です。より具体的には、エネルギー消費、廃棄物、または環境への悪影響を削減しながら、運用パフォーマンスを向上させる製品またはサービス分野をグリーンテックということもできるでしょう。現在、グリーンテック市場に参入する新規企業も多く、大きな投資資金を集める急成長産業となっています。

また、グリーンテックの使用は、企業の社会的責任という意味でも注目されています。企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility:CSR)とは、企業は利益を追求するだけでなく、環境問題や人権問題への対応をはじめさまざまな社会的な責任を果たすべきとする考え方やその取り組みのことです。CSRに熱心に取り組んでいる企業では、ステークホルダーとよりよい関係を築くことができます。長期的な視点で事業活動を継続・発展していくために不可欠な要素といえるでしょう。

また、これを受けて社会的責任投資(Socially Responsible Investment:SRI)という言葉も生まれるほど、CSRへの取り組みは企業が資金を調達する上で重要視されるようになっているのです。この傾向は日本に比べるとアメリカでは特に顕著であり、近年はグリーンテックの使用を、企業の環境・社会・ガバナンス(Environment、Social、Governance:ESG)の声明に含める米国企業も多くなっています。今後グリーンテックの需要はますます高まっていくと考えられます。

ここでは、アメリカのグリーンテック市場について概説するとともに、注目のグリーンテック企業について紹介します。話題のビジネスモデルを参考にすれば、日本から海外進出する足がかりへと応用できる可能性があります。また、アメリカへの海外進出を考えている企業にとっては、ここで紹介したグリーンテックを自社にも導入し、CSRへの積極的な取り組みをアピールすることも可能です。日本企業が海外進出・海外展開される際の、参考にしていただけますと幸いです。

2.グリーンテック市場
グリーンテクノロジーをはじめとした持続可能性関連の市場規模は、2020年の98億米ドルから2027年までに564億米ドルに成長し、2021年から2027年までの間に28.4%のCAGRで成長すると推定されています(https://marketdigits.com/green-technology-and-sustainability-market/)。

このようにグリーンテクノロジー市場が成長していく要因のひとつは、技術の革新です。経済的で費用効果が高く、環境への害が少ない新しい技術が次々と生まれています。このような技術は採用する企業にとってもメリットが大きいものです。その結果、開発と採用の好循環が生まれ、市場規模が急成長していると考えられます。

世界におけるグリーンテック市場の最大のプレーヤーとなっているのが、アメリカです。今後も、アメリカが中心となって、世界市場をリードすることが期待されています。

3.グリーンテック市場で注目の新規参入企業の紹介
ここでは米国カリフォルニア州のグリーンテック企業や、大手テック企業の取り組みについて紹介します。

3−1.カーボン・オフセットをサポートするWebアプリを展開するWren
https://www.wren.co/

Wrenは、2019年にカリフォルニア州サンノゼで設立されました。同社では、一人ひとりが気候変動に対して行動したい気持ちをサポートするツールを構築しています。Wrenはサブスクリプション型のサービスです。

具体的には、Wrenのユーザーはまず、住んでいる地域、移動方法、電力とガスの使用量、購買量などの複数の要素を入力し、自分自身の二酸化炭素排出量を把握します。ここで示される二酸化炭素排出量とは、商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算したもので、カーボン・フットプリントと呼ばれています。

その後、ユーザーには二酸化炭素排出量を相殺につながるアクションをワンクリックで選択することができる仕組みです。つまり、カーボン・オフセット(人間の経済活動や生活などを通して「ある場所」で排出された二酸化炭素などの温室効果ガスを、植林・森林保護・クリーンエネルギー事業による削減活動によって「他の場所」で直接的、間接的に吸収しようとする考え方や活動)を容易に実現してくれるツールともいえます。

企業として、Wrenを導入するケースもあり、この場合、導入企業は自社のカーボン・オフセット活動をわかりやすい形でアピールすることが可能です。

3−2.次世代型ソーラーパネルを開発するSunverge Energy
http://www.sunverge.com/

Sunverge Energyは2010年にカリフォルニア州サンフランシスコで設立されました。同社では、自家発電機や、太陽光発電、蓄電池、デマンドレスポンスによるピークカットなどの分散型エネルギーリソースをリアルタイムに制御および集約するプラットフォームを提供しています。

Sunvergeのマルチサービスバーチャルパワープラント(VPP)プラットフォームは、サービスの動的かつ多目的な最適化が特徴です。Sunvergeを導入した顧客は、インフラストラクチャへの投資をより柔軟に管理し、発電コストを削減することができるため、再生可能エネルギー発電とユーティリティをインテリジェントに管理することが可能となるのです。

SunvergeEnergyでは、住宅を所有する個人顧客だけでなく、中小企業、公益事業、および電力関係の規制当局にもサービスを提供しています。

3−3.Googleのカーボンフリーに向けた取り組み
https://sustainability.google/commitments/

Googleの親会社であるAlphabetは、2020年9月、データセンターやオフィスの運営に使用する電力について、2030年までに完全にカーボンフリーにする計画を明らかにしました。

Googleでは、すでに風力や太陽光などの再生可能エネルギーを積極的に取り入れており、2019年度に関して、Googleが使用した電力の61%が再生可能エネルギーによるものだということです。また、Googleでは2007年以降、カーボン・オフセットにより温室効果ガスの排出量を相殺し、実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を達成しています。

2030年までの完全カーボンフリーを達成するには技術的・政治的な打開が必要であり、Googleは太陽光エネルギーを夜間に蓄積するバッテリーや、新たな資源として注目される地熱エネルギー、電力需要の管理改善などに取り組む考えです。

2020年7月、Appleは2030年までに製造サプライチェーンと企業全体で100%カーボンニュートラルを目指すことを発表しました。実は、Apple自体の企業活動においてはすでにカーボンニュートラルを実現しています。今回の声明では、サプライチェーンも含め、全てのApple製品を100%クリーンエネルギーで作ることを目指すとしています。

この新しい目標に向けて、Appleでは具体的に以下の施策を発表しています。
① 低炭素の製品デザイン:
Apple製品に低炭素の再生材料を使用し、革新的な方法で製品のリサイクルに取り組み、可能なかぎりエネルギー効率が高くなるような製品デザインとする

② エネルギー効率の拡大:
エネルギー使用を削減する新たな手法を確立するとともにし、Apple社だけでなくサプライチェーンでも同じ手法を採用するように働きかける

③再生可能エネルギー:
すでに達成している自社内での100%再生可能エネルギーによる企業運営を継続するとともに、新規の電力プロジェクトを実行。サプライチェーン全体をクリーンエネルギーに移行させる
 

4.海外進出・海外展開への影響
現在、グリーンテック市場は、規模の大小を問わず盛況です。将来的にも市場拡大が継続する見込みであるため、様々なスタートアップ企業が誕生しています。更に、GoogleやAppleなどの大手テック企業は、グリーンテック産業のリーダーとして業界を牽引、自社だけでなくサプライチェーンに対してもカーボンフリーを約束するなど、一歩踏み込んだ取り組みをしているのです。

このようなトレンドの中で、海外進出を考えている企業にとって、グリーンテック業界は注目すべきエリアです。ニッチを上手く捉え、新しいテクノロジーなどを用いた製品・サービスがあれば、一気に海外市場へ展開できる可能性もあります。

また、グリーンテックとは関係ない業界・企業にとっても、このトレンドには注意が必要です。なぜなら、カーボン・オフセットなどの達成目標がサプライチェーン選定の条件とされるなど、この視点はグローバルビジネスにおいて不可欠な要素となっているからです。海外進出の幅を広げるためにも、各社でできるところからグリーンテクノロジーを導入してみると良いでしょう。

タンデムスプリントグループでは、グリーンテック対応を含め、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

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