2021.10.23
現地法人設立・運営支援

企業のブランドイメージに重要なDE&I、米国大手企業の実例とともに紹介

1.はじめに
現在の消費者行動の特徴として「意志ある購入者」が増えたことが挙げられます。消費者は自らが共感するメッセージを発信しているブランドを積極的に選択する傾向があります。そのため、企業としても消費者が重視する企業メッセージの創出に、これまで以上に熱心に取り組む必要があります。

その中でも、消費者に注目されているのがDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)に対する企業の取り組みです。これは、以前は、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)と表現されることが多かったものですが、近年ではDE&Iと呼ばれるようになってきています。これらが注目されることとなった背景には、米国で2020年5月に起きたジョージ・フロイドさんの殺人事件があります。この事件をきっかけに起こったBLM運動などにより、マイノリティが抱える社会構造的不平等に対する、問題意識とその改善意識が高まっているのです。

この傾向は、Z世代やミレニアル世代という今後の消費者行動を牽引する若い世代で特に顕著だといえます。実際、The CMO Survey(https://cmosurvey.org/results/)の調査によると、消費者の41%は、企業にDE&Iのメッセージが全くない場合、他のブランドへとシフトする傾向にあることが明らかにされています。また、消費者の81%は、企業にはDE&Iを意識した環境を支援・整備する責任があると感じています。このような消費者行動の変化は、企業にとってブランディング戦略を決定する際に考慮すべき事項です。企業としては、DE&Iに対するブランドの取り組みを消費者に向けて発信するとともに、ブランドコンテンツの中にさまざまな人種、性別、宗教などの人々が含まれていることに配慮する必要があるでしょう。

本稿では、DE&Iを推進する際の注意点について説明するとともに、米国企業のDE&Iの行動宣言を紹介します。日本企業が海外展開する際には、現地企業の良い事例を分析することはとても役立ちます。海外展開の際のブランディングの参考にしていただけますと幸いです。

※ダイバーシティとは、多様性の意味であり、年齢、性別、民族、宗教、疾病、性自認、性的指向、教育、国籍等の違いを尊重することです。エクイティとは、公平性の意味であり、情報、機会、リソースへのアクセスを、すべての人に公平な扱いを保証しようとするものです。インクルージョンとは、包括性の意味であり、どのような個人や集団であっても、歓迎され、尊重され、支援され、評価され、参加できるような環境を作ることです。

2.統計情報
CMOによる調査では、DE&Iに対する企業のマーケティング支出が昨年度よりも8.9%増えており、大企業においては特に多くの支出となっていることが明らかになりました。マーケティング全体の支出は3.9%減少していることを考えると、DE&Iの推進がマーケティングにおける優先事項であることがわかります。

一方で、DE&Iの推進を進めていくの中でも、企業の内的側面と外的側面の間には大きな違いが見られました。すなわち外的側面であるコミュニケーションとブランディングの改善に向けて投資を拡大した企業は60%以上に上ったものの、内的側面である研修(53.4%)や採用(50.3%)など、人的資本に関連する社内での推進は、変化の度合いが低かったのです。

3.企業がDE&Iを推進する際のハードル
DE&Iの推進は企業にとって容易なものではありません。

その理由として、DE&Iの推進は、企業の業績との関連性が弱いと思われることが多く、予算を確保するのが困難である点が挙げられます。しかし一方で、多様性が高いチームでは、イノベーションが進み収益が高くなるというデータもあります。さらに、雇用主のDE&Iへの取り組みに関心を持つ従業員は多く、DE&Iを推進する企業では、優秀な人材を確保し、従業員の定着率を高めるメリットがもたらされることもあるのです。

また、DE&Iを企業組織に導入するためには長期的な工程を要し、一時的な投資では達成できません。一時的なアピールとして、多額の資金を投入した企業では中身のない売名行為だと批判された事例もあります。時間をかけて企業文化の中でDE&Iに取り組んでいくことが成功へつながるともいえるでしょう。

また、企業にとってDE&Iステートメントを発表することには大きな意味があります。DE&Iステートメントは、企業のDE&Iへの取り組み姿勢や改善意欲を示す、公的な方法です。さらに、企業に取り組むべき目標を与え、より良い変化をもたらすのにも役立つでしょう。

DE&Iステートメントに具体性を持たせるために、企業は自社ウェブサイト上で「DE&Iのアクションプラン」 ページを公開することをおすすめします。実行予定の活動や改革について詳しく説明することで、表面的な取組みではなく、実際の行動を伴うものだと広く伝える効果も期待できるのです。

4.DE&Iへの取り組み実例
企業はDE&Iへの取り組みとして、様々な動きを見せています。

世界的な複合企業WPPは、2020年6月、奴隷となっていた黒人が解放されたことを祝う祝日「Juneteenth」にちなんで、社内でのインクルージョンの取り組みや社外の活動を支援するために3,000万ドルを拠出すると発表しました。更に同年7月、WPPは、社内差別に対抗するためのインクルージョン協議会の設立発表とともに、従業員の多様性を表す人口統計情報を社内従業員向けに報告しています。

米国大手通信会社Verizonは2020年7月、2030年までにマイノリティ層を中心とした50万人の労働者のスキルアップを目指す「Citizen Verizon」プロジェクトを発表しました。また、米国アパレル大手のGAPが展開するブランド、Old Navyでは、5人の若い活動家を起用した「We Are We」キャンペーンを開始し、その包括性をアピールしています。

米国最大手放送局であるCBSでは、同社の主要番組における人種問題の取り扱いについて長年にわたり批判を受けてきましたが、2020年11月、今後、同社のリアリティ番組のキャストの少なくとも50%を黒人にすることを発表しました。

DE&Iへの取り組みはエンタメ業界にも広がっています。マッキンゼーの調査では、同業界では、黒人コミュニティへの包括性問題を理由に、年間100億ドルの損失を被っている可能性があると指摘されています(https://www.mckinsey.com/featured-insights/diversity-and-inclusion/black-representation-in-film-and-tv-the-challenges-and-impact-of-increasing-diversity)。そして、2020年9月、映画芸術科学アカデミーは、アカデミー作品賞の選考基準として、新たに「多様性」の項目を含めることを発表したのです。

これらは、企業のDE&Iへの取り組みとして、多くの消費者から好意的に受け止められています。一方で、企業内でのDE&Iの継続的な活動への取り組みを疑問視する声もあります。

コーヒーチェーン世界大手の米スターバックスの事例は、消費者に向けた企業DE&Iの取り組みと実際の内部慣行との間のギャップをよく表している事例と言えます。

2018年、スターバックスは、多くの店舗を半日閉鎖して人種偏見に対する従業員への研修を行うと発表しました。また、2020年6月には、同社は人種的正義を重視した活動を支援するために100万ドルを寄付すると発表しました。しかし、その直後に同社では、BLMを支持する商品を従業員が身につけることを禁止する内部メモが流出し、世間から非難を浴びました。批判にさらされた同社はその後方針を転換し、BLMのTシャツをバリスタに配布する運びとなったのです。さらに、2021年1月には、同社がサービスを提供する地域社会における公平性と包括性を支援するために、1億ドルの基金を設けて「スターバックス・コミュニティ・レジリエンシー基金」を設立することを発表しました。

本件で露呈したのは、企業が公に見せる姿と、社内での発言との間のギャップです。いくら公の場でDE&Iを推進していたとしても、社内でその価値観を共有または実践できていなければ、パフォーマンスだと批判される恐れがあることに注意する必要があるでしょう。

5.海外進出・海外展開への影響
日本企業に対しては、集団意識の強さなどを理由に、自分と違う属性がある人に対して不寛容な文化だと指摘されることもあります。しかしながら、海外進出を考えている日本企業においては、DE&I重視の国際的な流れに乗り遅れないよう特に注意しなければなりません。この際、表面的な取組みではなく、企業の内部から時間をかけて取り組んでいくことが大切だといえます。

また、日本企業が海外進出する際には、いかに人材を確保するかが課題となりがちです。DE&Iへの取り組み方によっては、企業価値を向上させ、優秀な人材を確保することにもつながるでしょう。また、人種や性的指向、年齢などにとらわれれない企業風土があれば、従業員のモチベーションもあがり、離職率を下げることも可能となります。多様なバックグラウンドを持つ人々が集まれば、新しいアイディアの創出も期待でき、海外進出・海外展開の成功に向けて、大きな武器となり得るのです。
タンデムスプリントグループでは、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2021.9.19
現地法人設立・運営支援

サンフランシスコのテック企業が牽引するリモートワークと、その充実を支える各種サービスを紹介(コミュニケーションとコラボレーションから文化、多様性、ウェルネスに至るまで)

1.はじめに
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって、2020年以降、就業環境は劇的に変わりました。リモートワークに関して、以前は企業の福利厚生の一つとして提供していた企業もありましたが、今ではほとんどの企業にとって標準の働き方となっています。そして、2020年に始まったリモートワーク導入の傾向は、2021年に入ってからも継続しています。

Enterprise Technology Research(ETR)の調査によると、リモートワークをする労働者の割合は、2021年に2倍になると予想されています(https://etr.plus/articles/covid19-doubles-permanent-wfh-improves-productivity)。さらに、GartnerCFOの別の調査では、COVID-19のパンデミックが終了した後も、3分の2以上(74%)の企業が従業員をリモートワークにより継続的に就労させる計画であることが明らかになりました(https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2020-04-03-gartner-cfo-surey-reveals-74-percent-of-organizations-to-shift-some-employees-to-remote-work-permanently2)。このリモートワーク継続の動きは、米国カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とするテック系企業が牽引しています。例えば、ツイッター社は2020年5月、オフィスが再開した後でも、従業員はリモートワークを無期限に継続できることを明らかにしています。また、Facebook社も同時期に、大部分の従業員に無期限のリモートワーク を許可する意向を示しています。

リモートワークの普及により、職場におけるパフォーマンス管理のあり方が大幅に変わりました。労働時間よりも、成果そのものの比重がますます大きくなり、リモートで働く従業員のパフォーマンスを管理するのに役立つツールやアプリの需要が高まっています。また、リモート環境での効率を最大化するために、従業員同士のコラボレーションや作業の可視性も必要となるでしょう。

ここでは、米国のスタートアップ企業の実例とともに、リモートワークを支える新しいビジネスサービスのトレンドを紹介します。海外展開の際には、現地で話題のビジネスモデルを参考にすることが有効です。また、便利なツールなどを自社に積極的に導入し、社内のリモート化を加速することもできるでしょう。リモートワークの体制を整えることで、様々な国や地域から人材を獲得しやすくなり、海外進出の際に必要な人材確保の一助にもなり得ます。

2.リモートワークで必要とされる環境とそれを実現するツールとは?
2−1.コミュニケーションとコラボレーション

リモートワークの中で、よく話題になるのが実際にオフィスで仕事をするときとの環境の違いです。リモートワークの方が生産性に優れているという主張もあれば、職場でのコミュニケーション不足で創造性が下がるという主張もあります。

しかし、実際にはどのタイプの作業モードにいるかによって必要な環境は異なるものです。創造性を発揮させるために、同僚とアイデアを話し合う必要がある場合もあれば、作業に一人で集中したい場合もあります。

そのため、最近では、仮想空間でありながら、状況に応じて様々な部屋へと移動できるツールが人気です。これは、ブレーンストーミングルーム、フォーカスエリア、会議室、そしてコーヒーブレイク用のキッチンで構成される独自のバーチャルオフィスを構築するというもので、チームメンバーはその時の自分の作業モードに基づいて部屋から部屋へ移動できます。自分一人で集中する必要がある場合は、自身のアイコンを静かなゾーンに移動し、チーム内で雑談をしたいときにはキッチンに移動するような仕組みとなっています。

例えば、2007年に米国マサチューセッツで設立されたSococo(https://www.sococo.com/)や2019年に米国カリフォルニアで設立されたRemo(https://www.remo.co/)は、日本でのユーザーも多い仮想オフィスツールとなっています。

また、米国カリフォルニア州で2011年に創立されたMiro(http://miro.com/)では、チームの共同作業を支える新時代のホワイトボードツールを展開しています。Miroは、チームメンバーがテキスト、ビジュアル、ポストイット、図などを用いてリアルタイムで一緒に作業できるコラボレーションホワイトボードを作成できるプラットフォームです。

2−2.企業文化

企業において、業務が円滑に進めばそれだけでいいのでしょうか。実は、企業が現在抱えている大きな問題として「燃え尽き症候群」と「孤独感」があります。リモートワークが継続する中、画面を見ているだけで一日が終わり、チームとの唯一の社会的交流がZoomという状況が続くと、モチベーションの一部を失い始めることがあるのです。業務とは一見無関係であっても、談笑やチームとの社会的つながりの時間が少なくなることで、企業文化の概念が大幅に損なわれる恐れもあります。

そのため、社内での繋がりを高めるようなツールが生まれています。

2014年に米国ニューヨークで設立されたCultureIQ(https://cultureiq.com/)では、データや従業員からの匿名のコメントなどを利用して、企業に対する従業員の気持ちと結果を分析し、詳細な調査結果をチームに提示します。CultureIQによると、企業の従業員の30%は仕事での成果が評価されているとは感じておらず、60%は社内コミュニケーションが少ないと評価しているということです。 CultureIQは、企業文化の従業員への影響を監視し、継続的な改善を計画するのに役立ちます。

2020年に創立したばかりのAtium(https://atium.app/)は、仕事とは関係のない状況でチームメイトをよりよく知るのに役立つ楽しいゲームを作成します。その結果、チームの絆を維持することができるのです。職場に友人がいることで、従業員のエンゲージメントややる気が向上し、作業の生産性が増す可能性が高くなることがわかっています。また、人事面においても、従業員の離職を回避するメリットがあるでしょう。

2−3.多様性

テック業界の多様性保護の活動をしている非営利団体「Project Include」の調査によると、COVID-19発生後のリモートワーク中に、性別、年齢、人種、または民族に基づく嫌がらせを経験した労働者が増えたことが報告されています(https://projectinclude.org/assets/pdf/Project_Include_Harassment_Report_0321_R8.pdf)。

この原因として、リモートワークでは、閉鎖的な空間での1対1のコミュニケーションが増えていること、また慣れないリモートワークによってストレスが増えていることなどが挙げられます。今後、このようなハラスメントを検知するツールや、ハラスメントの発生を抑えるための従業員への教育ツールも増えていくことでしょう。

なお、米国のシアトルで2014年に設立されたTextio(https://textio.com/)のソフトウェアは、企業内コミュニケーションの中に見られる偏見を検知して排除するのに役立ちます。具体的には、求人広告などの文章をAI技術で分析し、そこに年齢や性別、人種に対する差別が入っていないかを調査し、企業がより適切な求人文章を作成し、応募率や返信率の低下につながりやすい表現を修正する助けとなる働きをします。IBM、Cisco、Johnson & Johnson、American Express、Credit Suisse、Vodafone、British Airwaysなど多くの大手企業が利用しており、女性の採用数が平均で23%アップしているとのデータもあります。

2−4.健康

COVID-19のパンデミックが発生する以前から、米国内ではテック業界を中心に、企業が従業員に健康管理関連の福利厚生を提供するような傾向にありました。。現在、リモートワークが継続し、個人や小さなチームで仕事をすることが増え、企業が従業員の健康状態を適切に把握することが難しくなってきています。椅子に座って一日中スクリーンを見るような状況では、従業員自体も健康的な生活習慣を維持することが困難であり、今後の課題となってくるでしょう。そのため、現在、従業員の健康維持に役立つツールが人気です。

例えば、米国カリフォルニア州サンフランシスコで創立されたLivongo Health(http://www.livongo.com/)は、糖尿病などの生活習慣病の患者へコーチングを提供する企業です。Livongo Healthでは、糖尿病の治療に必要な適切な食事と運動管理のためのコーチングやアドバイスを与え、糖尿病にかかる医療コストの削減を目指しています。実際、Livongo Healthによるコーチングを導入した企業では、従業員の医療費が削減され、企業側のコストも削減されているようです。

3.海外進出・海外展開への影響
現在、世界中でリモートワークが推進されています。米国でも、特にカリフォルニア州サンフランシスコエリアのテック系企業を中心として、COVID-19の収束後もリモートワークを継続する動きがあります。Upworkによると、2020年12月時点で米国の労働力の41.8%がリモートで働いており、2025年になっても3,620万人の米国人(労働力の22%)がリモートで仕事をするという予測です(https://www.businesswire.com/news/home/20201215005287/en/Upwork-Study-Finds-22-of-American-Workforce-Will-Be-Remote-by-2025)。つまり、リモートワーク関連のビジネスは、巨大マーケットとして今後も需要が継続する見込みです。

このような背景もあり、リモートワーク関連のツールやサービスは、今後も発展していくことでしょう。このような流れの中で、海外進出を考えている企業にとって、リモートワーク関連業のニッチを上手く捉えることは重要です。ハードな製品よりもソフトな製品・サービスとして展開しやすい分野でもありますので、海外進出にとっても有利になる可能性があります。

タンデムスプリントグループでは、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

2020.7.1
現地法人設立・運営支援

アメリカの従業員支援プログラム(EAP)とは何か?

1.はじめに
海外進出をし、現地スタッフを雇い入れるようになると、現地の労務管理にも目を配る必要がでてきます。日本の企業様は、従業員が働きやすい環境を整える活動は日本国内でも整備しておられることと思いますが、アメリカには従業員支援プログラム( Employee Assistance Program、略称EAP)というサービスがあることをご存知でしょうか。
従業員支援プログラム(EAP)は、主にメンタルヘルス対策推進の観点から、雇用主が従業員に提供する職場サービスです。不安、うつ病、家族の問題、薬物乱用などの問題は、職場で放置されると、パフォーマンスの低下からくるクレームの増加、職場での怪我の増加、欠勤、従業員の定着率の低下、さらには労働者の補償の観点から組織に損失をもたらす可能性につながります。EAPが提供するカウンセリングサービスは、従業員があらゆる種類のライフストレスを管理するのに役立ちます。EAPは、従業員が生産性とパフォーマンスを高く維持し、職場での職務に集中し続けることを支援するものです。

新型コロナウィルス(COVID-19)とEAP
現在、COVID-19が猛威を振るい、この感染症対策や不自由な環境により、就業者や米国のすべての職場に影響が出ています。EAPは、このような社会的ストレスと不安が周囲のすべてに影響を与えているときにも、在宅勤務、育児、または病気のストレス要因にどのように対処しているかに応じて、雇用主とその従業員を支援できます。
従業員との関係を維持し、従業員をよりよくサポートする方法を模索している雇用主は、EAPに従業員をサポートするためのサービスがあることを確認し、周知されるとよいでしょう。下記は支援情報が記載されている関連サイトです。

「国際従業員支援専門家協会(EAPA)」にはEAPプロバイダーを対象とした多くの優れた情報がありますが、ビジネスオーナーや企業の管理者もここから多くの有用な情報を入手できます。
https://www.eapassn.org/Home/COVID-19-Helpful-Resource-Links

「Benefits Pro」は、従業員の管理に関する法的な質問とCOVID-19危機に関連する雇用主向けのQ&Aを多数提供しています。
https://www.benefitspro.com/2020/03/18/here-are-some-answers-to-employers-many-legal-questions-about-the-coronavirus-412-95071/?slreturn=20200424225104

「COVID-19ホットライン」は、雇用主がCOVID-19関連の課題に対処するのを支援しています。
https://careconnectusa.org/coronavirus-hotlines-usa/

「疾病管理予防センター(CDC)」には、雇用主が従業員と共有できる「COVID-19についての事実の共有」パンフレットがあり、参考になります。
https://www.cdc.gov/

2.EAPのしくみ
EAPは、会社側が外部のカウンセラー、利用できるサービスを紹介して、従業員とその家族を支援する仕組みです。従業員や家族が利用したEAPの支援は機密情報であり、雇用主はサービスの料金を支払いますが、従業員によるサービスの特定の使用については内容を見る事はありません。企業様の中には「EAPで何が行われているか会社が把握できないということは、コストをかけた分の効果があるのか、精査もできないため意味がないのではないか。」といった懸念もあるようです。しかし、ここで重要なのは直接的なコストパフォーマンスではなく、従業員のメンタルヘルス改善対策を会社として提供しているかどうかなのです。特にアメリカでは個人の権利意識が高い上、社会的構成を守るために整備された法律や制度が数々あります。EAPはリスクマネジメントの一環として有用な制度といえるのではないでしょうか。
3.EAPによって提供されるサービスの種類

提供するサービスは多岐にわたりますが、ほとんどのEAPサービスは、メンタルヘルス、ストレス、うつ病、薬物乱用、経済的懸念、家族の問題、福祉、および法的問題に直接または間接的に対応しています。EAPサービススタッフは、顧客を支援できる専門家であり、長期的なサポートのために顧客を他の専門家に紹介する方法も知っています。

雇用主は、誰がサービスを利用しているか、理由は何であるか、または従業員がどれくらいの頻度で電話をかけているかを知ることができません。医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律の規制により、会社外の第三者であるEAP事業者と従業員の間には完全な機密性があります。

企業がEAPを提供すると、必要性を感じた従業員はEAPの無料電話番号に電話をかけて(またはEAPのWebサイトにアクセスして)、次のようなトピックについて専門のカウンセラーからすぐに支援を受けることができます。

・職場の人格の対立:困難なマネージャーや同僚とどのように連携するかについての
 アドバイスや提案。
・薬物中毒:従業員の中毒に対処する方法、または10代の薬物使用防止を含む家族の
 依存症に対処する方法に関するアドバイス。
・メンタルヘルスの問題:うつ病、不安、怒りの管理、または従業員またはその家族
 が対処しているその他のニーズ。
・健康と介護の問題:労働者の補償請求後の職場復帰の問題を管理する最良の方法、
 または職場での障害または医療の問題を管理、支援を得る方法。
・法的および家族のアドバイス:結婚カウンセリング、離婚、または養育の問題。
・ファイナンシャルカウンセリング:破産を回避する方法、クレジットカードの借金
 を返済する方法、または予算を作成する方法。
・悲しみの援助:愛する人を亡くした従業員、および同僚の喪失を経験した従業員
 のサポート。

4.EAPの傾向

EAPは1980年代から存在しており、現在、米国の雇用主の77%が従業員にEAPを提供しています。
EAPを使用している雇用主の内訳は、従業員が5,000人を超える企業の97%以上がEAPを使用し、1,001〜5,000人の従業員を抱える企業の80%がチームにEAPを提供し、251〜1,000人の従業員を抱える企業の75%もEAPを有しています。
より多くの雇用者がこのサービスを従業員に(米国内および世界の両方で)提供していることを示し続けています。この傾向は勢いを増していますが、従業員が25人以下の小規模な米国企業はEAPを提供する可能性が低くなります。これは、HR部門を持たない小規模な雇用主が、EAPサービスを福利厚生サービスとして認識していないか、設定方法がわからないためです。全体として、米国はEAP市場が世界で最も大きいと言われています。

5.EAPの構成と補足

フルサービスのEAPは、従業員があらゆる種類の問題を解決するために必要な支援を提供するように設計されているため、仕事と生産性を維持できます。雇用主は、サービスを選択した第三者に外部委託することもできます。また、より大きな福利厚生プログラムの一部としてEAPを提供する人事/福利厚生/給与計算ソフトウェアまたはサービス会社と協力する方法などもあり、自社に合わせたサービス内容を組み立てて成果を上げている事例もあります。

6.従業員にEAPを提供するためのコスト

EAPを提供するコストは、導入の方法によって大きく異なります。ほとんどの従業員福利厚生オプションと同様に、EAPは、従業員1人あたり年間約12〜50ドルの費用がかかるはずですが、小規模な企業ほど、従業員1人あたりの支払い額は高くなります。
ワシントンDCのEAPレートに基づく以下のデータによると、通常、大規模な雇用主は小規模な企業よりも従業員1人あたりの料金が低くなります。

 EAPの平均コストは下記のとおりです。
(従業員あたり年間)
 1〜25人の従業員 50ドル
 25〜100人の従業員 36.70ドル
 101〜250人の従業員 32.70ドル

無料のEAPサービスもありますが、無料のEAPリソースは、不十分なカウンセリングである場合もあり、従業員からも批判が寄せられると聞きます。これらの事から組織に適したリーズナブルなコストのEAPサービスを見つけて、時間をかけて構築する方が、無料サービスで一時的にしのぐよりも良い方法といえます。

7.雇用主がEAPの価値を評価する方法

機密情報を取り扱うため、費用対効果を会社側で精査することは困難ですが、価値を評価する方法はあります。EAPの組織である従業員支援協会(EASNA)は、雇用主がEAPに費やすドルごとに、投資収益率(ROI)は3ドルであり、企業規模に関わらず、賢い先行投資だとしています。

雇用主の中には、職場での死亡、企業の買収、洪水や竜巻などの天候関連の災害などの大きなイベントが発生するまで、従業員にEAPを提供するのを待つ人もいますが、企業の管理者が従業員のためにEAPに基づいて行動することは有用です。多くの場合、従業員をEAPサービスに誘導するのは人生の共通のストレス要因であり、自然災害や職場での死などの大きなイベントとは限りません。

多くの雇用者は個人的な問題が浸透して、仕事での誰かの生産性や生活の質に悪影響を与える可能性があることを認識しています。実際、EASNA(従業員支援貿易協会)は、成人の4人に1人が未治療の精神障害を抱えているのに対し、8人に1人は依存症の問題を抱えている可能性があると報告しています。これらの静かでしばしば気付かれない問題は、生産性、チームの一体性、および従業員とその周りで働く人々の全体的な健康に影響を与える可能性があります。EAPのメリットを提供することで、これらの問題の多くが従業員の生産性に影響を与えることを軽減し、これにより、企業側は毎年数千ドルの離職にかかる費用を削減できます。

8.最後に
EAPは、従業員の健康状態を維持する福利厚生プログラムの一つです。日本で多くみられる福利厚生でのリフレッシュ機能からさらに踏み込んだ形で、生活のほぼすべての領域で従業員を支援することができます。企業活動を行う上で数々のダメージによるマイナス費用を節約することができることから、海外進出される企業様や世界市場からビジネスを受注している日本企業でも広く普及する可能性があるプログラムだと考えられます。
これからEAPを提供する場合は、その機密性とそのメリットを従業員に十分説明して、プログラムのすべての側面を活用することが重要です。
現地での成長を支えてくれる従業員の幸せなくして、アメリカでのビジネスの成功はありません。最終的に企業活動を担うのは現地従業員だからです。
これまでの福利厚生に囚われず積極的にEAPを活用し、現地スタッフと一緒にビジネスを躍進させていきましょう。
本稿がアメリカ現地法人の設立や運営を行う企業様のお役に立てますと幸いです。
タンデムスプリントグループでは、EAPの活用やEAPビジネスへの参入や経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法務の両面からご支援させていただきますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。
 

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