2021.9.19
現地法人設立・運営支援

サンフランシスコのテック企業が牽引するリモートワークと、その充実を支える各種サービスを紹介(コミュニケーションとコラボレーションから文化、多様性、ウェルネスに至るまで)

1.はじめに
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって、2020年以降、就業環境は劇的に変わりました。リモートワークに関して、以前は企業の福利厚生の一つとして提供していた企業もありましたが、今ではほとんどの企業にとって標準の働き方となっています。そして、2020年に始まったリモートワーク導入の傾向は、2021年に入ってからも継続しています。

Enterprise Technology Research(ETR)の調査によると、リモートワークをする労働者の割合は、2021年に2倍になると予想されています(https://etr.plus/articles/covid19-doubles-permanent-wfh-improves-productivity)。さらに、GartnerCFOの別の調査では、COVID-19のパンデミックが終了した後も、3分の2以上(74%)の企業が従業員をリモートワークにより継続的に就労させる計画であることが明らかになりました(https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2020-04-03-gartner-cfo-surey-reveals-74-percent-of-organizations-to-shift-some-employees-to-remote-work-permanently2)。このリモートワーク継続の動きは、米国カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とするテック系企業が牽引しています。例えば、ツイッター社は2020年5月、オフィスが再開した後でも、従業員はリモートワークを無期限に継続できることを明らかにしています。また、Facebook社も同時期に、大部分の従業員に無期限のリモートワーク を許可する意向を示しています。

リモートワークの普及により、職場におけるパフォーマンス管理のあり方が大幅に変わりました。労働時間よりも、成果そのものの比重がますます大きくなり、リモートで働く従業員のパフォーマンスを管理するのに役立つツールやアプリの需要が高まっています。また、リモート環境での効率を最大化するために、従業員同士のコラボレーションや作業の可視性も必要となるでしょう。

ここでは、米国のスタートアップ企業の実例とともに、リモートワークを支える新しいビジネスサービスのトレンドを紹介します。海外展開の際には、現地で話題のビジネスモデルを参考にすることが有効です。また、便利なツールなどを自社に積極的に導入し、社内のリモート化を加速することもできるでしょう。リモートワークの体制を整えることで、様々な国や地域から人材を獲得しやすくなり、海外進出の際に必要な人材確保の一助にもなり得ます。

2.リモートワークで必要とされる環境とそれを実現するツールとは?
2−1.コミュニケーションとコラボレーション

リモートワークの中で、よく話題になるのが実際にオフィスで仕事をするときとの環境の違いです。リモートワークの方が生産性に優れているという主張もあれば、職場でのコミュニケーション不足で創造性が下がるという主張もあります。

しかし、実際にはどのタイプの作業モードにいるかによって必要な環境は異なるものです。創造性を発揮させるために、同僚とアイデアを話し合う必要がある場合もあれば、作業に一人で集中したい場合もあります。

そのため、最近では、仮想空間でありながら、状況に応じて様々な部屋へと移動できるツールが人気です。これは、ブレーンストーミングルーム、フォーカスエリア、会議室、そしてコーヒーブレイク用のキッチンで構成される独自のバーチャルオフィスを構築するというもので、チームメンバーはその時の自分の作業モードに基づいて部屋から部屋へ移動できます。自分一人で集中する必要がある場合は、自身のアイコンを静かなゾーンに移動し、チーム内で雑談をしたいときにはキッチンに移動するような仕組みとなっています。

例えば、2007年に米国マサチューセッツで設立されたSococo(https://www.sococo.com/)や2019年に米国カリフォルニアで設立されたRemo(https://www.remo.co/)は、日本でのユーザーも多い仮想オフィスツールとなっています。

また、米国カリフォルニア州で2011年に創立されたMiro(http://miro.com/)では、チームの共同作業を支える新時代のホワイトボードツールを展開しています。Miroは、チームメンバーがテキスト、ビジュアル、ポストイット、図などを用いてリアルタイムで一緒に作業できるコラボレーションホワイトボードを作成できるプラットフォームです。

2−2.企業文化

企業において、業務が円滑に進めばそれだけでいいのでしょうか。実は、企業が現在抱えている大きな問題として「燃え尽き症候群」と「孤独感」があります。リモートワークが継続する中、画面を見ているだけで一日が終わり、チームとの唯一の社会的交流がZoomという状況が続くと、モチベーションの一部を失い始めることがあるのです。業務とは一見無関係であっても、談笑やチームとの社会的つながりの時間が少なくなることで、企業文化の概念が大幅に損なわれる恐れもあります。

そのため、社内での繋がりを高めるようなツールが生まれています。

2014年に米国ニューヨークで設立されたCultureIQ(https://cultureiq.com/)では、データや従業員からの匿名のコメントなどを利用して、企業に対する従業員の気持ちと結果を分析し、詳細な調査結果をチームに提示します。CultureIQによると、企業の従業員の30%は仕事での成果が評価されているとは感じておらず、60%は社内コミュニケーションが少ないと評価しているということです。 CultureIQは、企業文化の従業員への影響を監視し、継続的な改善を計画するのに役立ちます。

2020年に創立したばかりのAtium(https://atium.app/)は、仕事とは関係のない状況でチームメイトをよりよく知るのに役立つ楽しいゲームを作成します。その結果、チームの絆を維持することができるのです。職場に友人がいることで、従業員のエンゲージメントややる気が向上し、作業の生産性が増す可能性が高くなることがわかっています。また、人事面においても、従業員の離職を回避するメリットがあるでしょう。

2−3.多様性

テック業界の多様性保護の活動をしている非営利団体「Project Include」の調査によると、COVID-19発生後のリモートワーク中に、性別、年齢、人種、または民族に基づく嫌がらせを経験した労働者が増えたことが報告されています(https://projectinclude.org/assets/pdf/Project_Include_Harassment_Report_0321_R8.pdf)。

この原因として、リモートワークでは、閉鎖的な空間での1対1のコミュニケーションが増えていること、また慣れないリモートワークによってストレスが増えていることなどが挙げられます。今後、このようなハラスメントを検知するツールや、ハラスメントの発生を抑えるための従業員への教育ツールも増えていくことでしょう。

なお、米国のシアトルで2014年に設立されたTextio(https://textio.com/)のソフトウェアは、企業内コミュニケーションの中に見られる偏見を検知して排除するのに役立ちます。具体的には、求人広告などの文章をAI技術で分析し、そこに年齢や性別、人種に対する差別が入っていないかを調査し、企業がより適切な求人文章を作成し、応募率や返信率の低下につながりやすい表現を修正する助けとなる働きをします。IBM、Cisco、Johnson & Johnson、American Express、Credit Suisse、Vodafone、British Airwaysなど多くの大手企業が利用しており、女性の採用数が平均で23%アップしているとのデータもあります。

2−4.健康

COVID-19のパンデミックが発生する以前から、米国内ではテック業界を中心に、企業が従業員に健康管理関連の福利厚生を提供するような傾向にありました。。現在、リモートワークが継続し、個人や小さなチームで仕事をすることが増え、企業が従業員の健康状態を適切に把握することが難しくなってきています。椅子に座って一日中スクリーンを見るような状況では、従業員自体も健康的な生活習慣を維持することが困難であり、今後の課題となってくるでしょう。そのため、現在、従業員の健康維持に役立つツールが人気です。

例えば、米国カリフォルニア州サンフランシスコで創立されたLivongo Health(http://www.livongo.com/)は、糖尿病などの生活習慣病の患者へコーチングを提供する企業です。Livongo Healthでは、糖尿病の治療に必要な適切な食事と運動管理のためのコーチングやアドバイスを与え、糖尿病にかかる医療コストの削減を目指しています。実際、Livongo Healthによるコーチングを導入した企業では、従業員の医療費が削減され、企業側のコストも削減されているようです。

3.海外進出・海外展開への影響
現在、世界中でリモートワークが推進されています。米国でも、特にカリフォルニア州サンフランシスコエリアのテック系企業を中心として、COVID-19の収束後もリモートワークを継続する動きがあります。Upworkによると、2020年12月時点で米国の労働力の41.8%がリモートで働いており、2025年になっても3,620万人の米国人(労働力の22%)がリモートで仕事をするという予測です(https://www.businesswire.com/news/home/20201215005287/en/Upwork-Study-Finds-22-of-American-Workforce-Will-Be-Remote-by-2025)。つまり、リモートワーク関連のビジネスは、巨大マーケットとして今後も需要が継続する見込みです。

このような背景もあり、リモートワーク関連のツールやサービスは、今後も発展していくことでしょう。このような流れの中で、海外進出を考えている企業にとって、リモートワーク関連業のニッチを上手く捉えることは重要です。ハードな製品よりもソフトな製品・サービスとして展開しやすい分野でもありますので、海外進出にとっても有利になる可能性があります。

タンデムスプリントグループでは、日本企業による海外事業への参入・経営についてご相談を受け付けています。ビジネスと法律の両面からご支援させて頂きますので、下記の窓口まで、いつでもご連絡ください。

Contact

件名
貴社名
ご担当者氏名
E-Mail
連絡可能な電話番号
貴社URL
お問い合わせ内容
TandemSprintの4つのサービス
海外営業支援調査・販路開拓現地法人設立・運営支援不動産取得・拠点開設