2019.11.13
海外営業支援

アメリカで高まるクラフトビール人気。日本の醸造所進出に勝機はあるか?

はじめに
 現在、日本国内だけではなく世界中で「クラフトビール」が人気を集めています。「クラフトビール」とは、大手メーカーによって大量生産されるビールとは異なり、比較的小規模に製造される各醸造所のこだわりが詰まったビールです。現在、その日本のクラフトビールを、世界最大規模を誇るアメリカのクラフトビール市場向けて積極的に輸出していこうとする動きがあります。
本記事では日本とアメリカのビール市場を比較するとともに、アメリカに進出をした日本のクラフトビールの実例を紹介します。クラフトビールの本場、アメリカに日本産クラフトビールの勝機はあるのでしょうか?
日本のビール市場
日本のビール市場は現在厳しい状況にあります。日本のビール市場の特徴として、キリン、 アサヒ、サントリー、サッポロ、オリオンの大手5社合計で99%をしめる寡占市場となっていることが挙げられます。しかし、ビールの国内市場規模は2005年から2018年まで14年連続で減少しており、2018年のビール系飲料課税済み総出荷量は1992年以降で最低という結果となっています。このような市場規模減少の原因としては、若者のビール離れ、飲酒人口の高齢化、酒税法の改正による酒の安売り規制などが考えられます。このように国内のビール市場が縮小している一方で、クラフトビールはの出荷額は成長しています。かつて日本では大手ビールメーカにしかビールの醸造が許可されていませんでしたが、1995年の酒税法改正とともに、小規模でビールを造ることが認められるようになったという経緯があります。これをきっかけにビール事業への参入者が急増し、日本各地でクラフトビールを手掛ける会社が増えていったのです。2018年の報告書(※1)によると、日本の国内のクラフトビールの消費量は過去10年間で4倍になり、174の醸造所が年間47,262キロリットルのビールを生産しています。そして海外への流通も増えています。
アメリカのクラフトビール
 アメリカのクラフトブリュワリーの業界団体「ブルワーズ・アソシエーション(Brewers Association)」によると、2018年度のアメリカ国内のビール市場全体に占めるクラフトビールの割合が、生産量では13.2%、売上高では24%にまで上昇しているということです。(※2)また、醸造所の数も2014年のには3,814だったのが、2018年には7,346と急激に増えています。このように国内に比べると非常に大きな規模を誇るアメリカのクラフトビール市場に将来性を見出し、国内からアメリカへとクラフトビールを輸出する日本の醸造所が近年増えてきました。
売上高
クラフトビール市場 276億ドル
ビール市場全体 1142億ドル
クラフトビールの市場占有率 24%
アメリカへ進出した国内のクラフトビール

ここではアメリカに進出をした日本発クラフトビールを紹介します。

木内酒造の「常陸野ネストビール」

木内酒造は約200年前から酒造りを行っている老舗酒蔵です。1997年のインターナショナルビアサミットで金賞を取って以降、世界各国で開かれた数々の国際ビールコンテストで1位を獲得しており、海外への輸出を本格的に行っています。2016年のアメリカへの出荷量は約450キロリットル(約136万本)にも上ります。また、2017年3月にはサンフランシスコに直営レストラン「BEER & WAGYU HITACHINO」をオープンするなど新しいスタイルを積極的に取り入れています。

世嬉の一酒造の「いわて蔵ビール」

世嬉の一酒造の酒造りの技と、醸造士の経験と知識により生まれたクラフトビールブランドです。これまで多くの国際大会で受賞し、国際的に高い評価を受けています。2007年より、アメリカに向けにビールの輸出を行っており、三陸の牡蠣を使用した黒ビール「牡蠣のスタウト」や山椒を使用したエールビール「ジャパニーズハーブエール山椒」等、「日本らしさ」「岩手らしさ」のコンセプトを武器に販路を広げています。

わくわく手づくりファーム川北の「金沢百万石ビール」

昨今のビール業界では、原料に輸入ビール麦を使用するのが一般的である中、金沢百万石ビールは低農薬で自家栽培したビール麦を使用しているのが特徴です。2016年8月からアメリカへの輸出を開始しています。

政府主導の日本のクラフトビール認知キャンペーン
 日本食品海外プロモーションセンター:JFOODO(※3)では日本のクラフトビール認知向上のためのキャンペーンを積極的に行っています。JFOODOとは日本貿易振興機構に設置された日本産農林水産物・食品のブランディングのための消費者向けプロモーションを担う組織として、海外消費者向けのプロモーション強化を通じて需要を喚起し、日本の農林水産物・輸出拡大を目指しています。
 例えば、2018年には”Drink in a New Language”というマーケティングキャンペーンが開催されました。このキャンペーンは、西海岸を中心に、アメリカにおける日本のクラフトビールの認知度を高め、日本のクラフトビールを宣伝することを目的としています。日本のクラフトビール醸造所23社が参加しており、ロサンゼルスでのイベントキックオフ後、各地で日本のクラフトビールを楽しんでもらえるイベントが開催されました。
日本からアメリカへ進出する際のキーポイント
 クラフトビールの規模が拡大しているアメリカでは、様々なクラフトビールが百花繚乱といえる時代となっています。そこに日本から進出したクラフトビールがそこで成功を収めるにはどうしたらいいのでしょうか?競合者が多い場所では、他とは一線を画す「オリジナリティ」が重要となります。つまり、アメリカで人気のビールに近いものを真似するのではなく、日本らしさを持った独自のテイストを評価してもらう必要があるのです。実際に、上記で紹介した日本のクラフトビールはどれも日本らしい素材や味を前面に押し出し、成功しています。さらに、厳選素材の使用や商品のパッケージ、ネーミングなど、海外展開を見据えた戦略もアメリカで高い評価を受ける助けになっています。
 クラフトビールのブームの始めは、作れば売れるという雰囲気がありました。しかし、今では、ユニークで、味の良い製品でないと、市場競争の中ですぐに淘汰されてしまいます。アメリカは、国内のクラフトビール醸造者にとって大きなチャンスにつながる巨大市場です。そこに挑戦して、成功を上げるには、十分なマーケティング戦略とともに、自社ならではの明確なアピールポイントを掲げることが重要といえるでしょう。

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