今アメリカでは空前の抹茶ブームが起きています。大手チェーンの取組みをきっかけに、それまで我慢を重ねてきた日本の製造・販売メーカーの努力も実を結び、現在では新たな抹茶カフェが次々とオープンするなど、10年前には考えられないほど抹茶が浸透しています。
抹茶の輸出、販売が増加していった過程や、海外への販路拡大に成功したメーカー、お店等をご紹介します。
・数字で見るアメリカでの抹茶人気
・抹茶はアメリカ西海岸で人気!
・抹茶ブームの立役者。西尾市の抹茶メーカー
まずは日本からアメリカへのお茶の輸出の状況や抹茶が浸透していった経緯、
「どこで、どんな風に」抹茶が取り扱われているかという現状を見ていきましょう。
アメリカ等における日本食ブームの影響等により、日本からのお茶の輸出はこの10年間で4倍に増加しました。中でもアメリカへの輸出が全体輸出量の約半分を占めているという状況です。2015年度の食料品の輸出額が7000億円で、そのうちアメリカへのお茶の輸出額は40億円強でした。
また、FAO(国際連合食料農業機関)によると、今後、世界の茶の貿易量は更に増加すると予測しており、日本から海外へのお茶の輸出量はますます増加する見込みです。
2008年にアメリカの大手カフェチェーンが、まず日本で抹茶商品の販売を開始しました。その後欧米でも展開した所大ヒットしました。販売開始後にメディアで抹茶の健康効果が報道されたことも人気拡大の一因です。アメリカでブームになる様々な健康食品がそうであるように、抹茶も当初はセレブ層を中心に人気が広がりました。
2014年ごろから、品質にこだわった抹茶を使用した抹茶ラテを主力商品とする抹茶カフェが東西海岸を中心にオープンしました。抹茶需要の拡大を受けて、抹茶の愛好家をターゲットとした老舗茶屋や茶道家等による本格的な抹茶専門店もアメリカに進出しました。外食産業で浸透していくと同時に、現地系小売、日系小売にて抹茶パウダー、抹茶入り緑茶、アイスクリーム等の関連食品の取扱が拡大します。この頃には「Green Tea」と区別し「MATCHA」という単語で「抹茶」が認識されるようになります。
2018年に入ると抹茶取扱カフェが全国拡大し定着し、抹茶関連商品も定番化します。また、チョコレートやシナモンの様に「フレバー」としても普及しています。
大手食品スーパーでも取り扱われるようになり、中間層に手が届く品揃えや価格帯を実現します。セレブの間でのブームがきっかけとなった抹茶人気ですが、今や中間層にも広く知られる食品となっています。
日本茶及び茶文化の振興を目的とする公益法人、日本茶業中央会は、今後は増加が予想される「本物志向」の消費者向けに抹茶関連商品の開発・ブランディングを行っていくという方針を立てています。
それでは、現在、アメリカではどの様な場所で抹茶に出会うことが出来るのでしょう。
外食産業と小売で取扱場所が異なりますが、外食産業では大手カフェチェーンの占める割合が大きく、続いてMATCHA専門点等で抹茶ラテを中心に取扱があります。日本から進出した日本の老舗茶店では濃茶、薄茶等の取扱もあるようです。
小売は現在ではCostoco等全米展開する大手スーパーで抹茶商品を取り扱っています。大手スーパー以外では日系小売やアジア系小売よりも茶専門店で抹茶の取扱が充実している傾向があります。
流通経路としては、完成品、加工品は小売へ、加工用抹茶の一部は外食産業へ流通しています。原材料の一部はアメリカの日本企業現地法人やアメリカのメーカーへ納入されアイスクリームやペットボトル飲料等に加工されています。
抹茶ブームでアメリカを含めた海外各地で抹茶の需要が拡大していますが、海外の抹茶ブーム以前は、日本のお茶の生産量が減少傾向にありました。抹茶の人気を受けて、京都・愛知では煎茶の栽培からてん茶の栽培にシフトし、生産量を伸ばしています。お茶といえば静岡県ですが、煎茶からてん茶への生産切り替えは容易なことではなく、静岡は少し出遅れているという状況です。
広大な国土を持つアメリカで、どの地域により抹茶が浸透しているのでしょう。地域差と人気の地域で展開されているMatchaカフェを紹介します。
日本茶業中央会が行った消費者アンケートの結果によると、西海岸で回答者の88%・東海岸で81%が抹茶の消費経験があることがわかりました。
僅差ではありますが西海岸でより抹茶が定着しているといえます。
西海岸には人気のMatchaカフェも多いためより抹茶が身近な存在と言えるのでしょう。
「MatchaBar Slver Lake」
Fortgang兄弟が2014年に始めたカフェです。2017年2月にロサンゼルス店がオープン。鹿児島の農家と直接取引しています。ホームページでは抹茶についてのコラムや茶道具の販売も行っています。
「Midori Matcha Café」
アメリカ最大の日本人街であるリトルトーキョーにあるカフェです。
ラテメニューだけでなく、ソフトクリーム抹茶のデザートメニューも充実しているカフェです。
HP:http://midorimatchatea.com/cafe/
「SHUHARI Matcha Café」
2016年7月オープンのカフェ。
ほうじ茶や麦茶も含めたお茶そのものを楽しむメニューからきなこ抹茶ラテ等日本人の心をくすぐるラテメニューや、プレゼント向けの茶道具の販売も充実しています。
店の名前はSHU(守)HA(破)RI(離)を組み合わせた造語で、日本の緑茶の歴史を受け入れつつ新しい伝統を作り出していこうというカフェです。
弊社が本社を置くサンフランシスコでも、抹茶は大人気です。健康志向が強く、アーリーアダプターを自認するサンフランシスコの人達は、もともと新しいモノ、健康につながるもの、を積極的に受け入れる気質があると言われています。
「STONEMILL」
味噌汁やコロッケ等も提供している抹茶カフェ。抹茶ラテの他に水出し緑茶等のメニューもあります。こちらのカフェでは京都の茶葉を使用しています。
実際に同店を訪れると、店内はいつも満席で、テイクアウトで求めていく人も多くいます。
HP: https://stonemillmatcha.com/about
「PREMIUM MATCHA CAFE舞妓」
播磨園製茶(京都)のお茶を使用。ハワイを含めたアメリカ、カナダに展開しており、現在も店舗拡大中です。ソフトクリームやパフェメニューが人気で、2018年4月には逆輸入で日本第一号点がオープンしています。ジャパンタウン内の店舗では、休日ともなるとフロア一帯が行列で埋まることもあります。
HP:http://www.matchacafe-maiko.com/eng/store/
小売 Costoco、Whole Foods、David’s Tea他
外食 Cold Stone Creamery、Starbucks、他
卸売 日系卸売が多いが、現地小売業者も日本の栽培農家と直接取引しているケースが多いです。
その他(化粧品店など) The Body Shop
抹茶といえば京都というイメージがありますが、実はアメリカでの抹茶ブームの立役者は愛知県西尾市のメーカーというのをご存知でしょうか。
抹茶ブームが起こる前の1983年から海外進出に挑戦し、急激な円高等により一旦断念したこともありましたが、2001年に米国市場へ進出しています。
西尾市は全国で唯一、原材料としての抹茶に特化した生産地なのです。
2度目の挑戦の際は飲用ではなく食品市場にターゲットを定めていました。アメリカ人が好きなアイスクリームに抹茶を混ぜたレシピ等を提案しながら売り込みアメリカ進出を軌道に載せました。
弊社では、日本企業の海外展開のご相談をお受けしています。下記のフォームよりいつでもご連絡ください。
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