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生活・不動産・ファッション
2021.12.17

対人販売が基本だったビジネスもオンラインに移行 -アメリカではミレニアル世代を中心に車のオンライン購入が人気-

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1.はじめに

土地が広大で、公共交通機関の発達も限定的な米国では、移動手段としての自動車は欠かせません。そのため自動車の市場規模も非常に大きなものです。米国の主要な産業のひとつでもある自動車産業ですが、米国の自動車販売の形態は、日本のものと少し異なります。日本では、メーカーの小売販売会社が自動車を販売するケースが一般的ですが、米国では、自動車を製造するメーカーと自動車を販売するディーラーとは別の企業ということが多いのです。

そのため、メーカーが付ける値段は希望小売価格であり、実際にはディーラーと消費者が値段交渉をして最終価格が決められます。さらに、米国では、ディーラーが既に保有している在庫から購入することが基本です。ディーラーの設定する販売価格は、需要と供給に大きく左右されるので、大幅な値引きを受けることもあれば、プレミアムが付いてメーカー希望価格よりも高値で取引される場合もあります。

ディーラーのセールスマンの多くは、歩合コミッション制の給与体系となっています。そのため、自動車の販売・購入においては、消費者と直接値段交渉して買い値を決めるという商習慣が根強く残っているのです。そして、中には詐欺的に自動車の価格をつり上げたり、不必要なアクセサリーを付けて購入価格を上げたりすることがあり、消費者側にとっては大きなストレスを伴う買い物となっていました。

しかしここ数年、消費者心理の変化もあり、ディーラーとの交渉に対して大きな不満を抱く消費者が若い世代を中心に増えてきました。そして、さらにインターネットの普及も重なり、直接交渉をしなくてもよい購入方法として、インターネット上で自動車を販売するプラットフォームが急速に成長しているのです。

本稿では、ミレニアル世代を中心として、自動車の消費行動のトレンドを解説するとともに、車のオンライン購入を可能にした新しいオンラインマーケットプレイスについても紹介します。

日本車は米国市場でも主要なプレーヤーとして展開しており、自動車関連で海外進出を考える日本企業も多くあります。歴史の長い産業で生じている新しいトレンドを参考に、海外進出の成功へとつなげていただけますと幸いです。

2.車嫌いと言われていたミレニアル世代

Uber、Lyftなどのライドシェアタクシーの普及や、ヘリコプターペアレント(子どもが自分で運転できる年齢になっても学校や職場への送迎を続ける過保護な親のこと。)の増加などを理由に、ミレニアル世代では運転免許証の取得が遅くなっていました。また、学費ローンを抱える人が多く、大不況(アメリカのサブプライム住宅ローン危機に端を発し、2000年代後半から2010年代初頭までの間に世界市場で観察された大規模な経済的衰退)による雇用の厳しさも相成り、ミレニアル世代の自動車購入のタイミングは、従来よりも遅くなっていたのです。このため、ミレニアル世代に対しては、車嫌い(車の購入に興味がない人が多い。)と評価されることもありました。

しかし、最近の調査では異なる結果が出ています。市場調査会社のJ.D.パワーの調査によると、2020年時点で、ミレニアル世代の購買は新車販売全体の32%を占め、他のどの年齢層よりも多くの新車を購入していたことがわかったのです。

また、オンライン販売のプラットフォームをディーラーに提供しているCars.comによると、新車または中古車を完全オンラインで購入した、あるいは購入見込みである消費者数が、ミレニアル世代では、団塊世代のほぼ2倍となることが分かっています。つまり、現状として、ミレニアル世代は車の購入に興味がないのではなく、従来型の対人交渉による自動車販売店を嫌い、オンラインマーケットプレイスでの購入に移行しているともいえるのです。

この移行により、Shift、Vroom、CoPilot、Gettacarなどのオンライン自動車購入サービスやソフトウェアプラットフォームが続々と登場しています。同マーケットは、ベンチャーキャピタリストからの注目も大きく、自動車販売の形態は今後大きく変わっていくことが予測されます。

3.オンライン自動車購入プラットフォームの事例

3−1.デジタルプラットフォームのCars.com

1998年にシカゴで設立されたCars.com(http://cars.com/)は、ディーラー横断型自動車広告のパイオニアであり、消費者と全国各地のディーラーをつなげる最大のデジタルプラットフォームのひとつへと成長しています。Cars.comでは、何百万台にも及ぶ新車および中古車のデータだけでなく、専門家による自動車購入関連コンテンツの提供や消費者レビューデータベースを通じて、自動車の購入、販売、サービスを包括的に支援しています。

3−2.車購入を全面的にサポートするモバイルアプリCoPilot

2018年にシカゴで設立されたCoPilot(https://www.copilotsearch.com/)は、機械学習と人間の専門家を活用して、消費者が新車あるいは新古車を最良の価格で見つけることを支援するモバイルアプリです。CoPilotのコンセプトは「ポケットの専門家」。CoPilotのアプリを使用すると、消費者に最適な車両の検索、近くの販売店での最低価格の検索、その他購入に必要な情報の提供まで、購入プロセスの各段階でユーザーの支援をしてくれます。

CoPilotが他のデジタル自動車購入ツールと異なる点は、自動車ディーラーからの手数料がかからない点が挙げられます。CoPilotは、購入者を自動車保険会社に紹介し、そこから利益を得る仕組みとなっていますので、このようなビジネスモデルが可能となっています。

3−3.わずか12分で車購入ができるGettacar

2018年にフィラデルフィアで設立されたGettacar(https://www.gettacar.com/)のプラットフォームはそのスピード感と柔軟性が魅力となっています。消費者は、オンラインで車両の購入を最短わずか12分で完了することも可能です。リアルタイムのファイナンスオプション、365日間の保証、自宅での試乗、および車両の返却オプション(購入後7日間)などのサービスを受け取ることができ、競合サービスとの差別化を図っています。

Gettacarで販売されているのは、一般に3〜4年前の車両で、走行距離計のメーターは30,000〜40,000マイルのものが主体です。オンライン車両販売の競合サイトとは異なり、ローカルに焦点を当てたビジネスモデルを通じて取引を成立させています。

3−4.エンドツーエンドの自動車購入サービスShiftとVroom

2013年にサンフランシスコで設立されたにShift(https://shift.com/)は、中古車を売買するためのオンラインマーケットプレイス企業です。現在、サンフランシスコ、 ロサンゼルス、 サクラメント、サンディエゴ、ポートランド、シアトルエリアでサービス展開をしています。

車の購入を検討している消費者は、サービスエリア内で試乗を予約して、自宅などの希望の場所に車を配送してもらいます。試乗を行って、購入を決めた場合には、デジタルプロセスを通じてその場で購入することも可能です。

Shiftのエンドツーエンドの自動車購入サービスでは、車のローンや車両保険などの関連サービスもデジタルベースで一括して利用できるようになっています。

Vroomは、Shiftの競合サービスのひとつです。2013年にニューヨークで設立されました。Vroomでは、中古車を売買するために設計された革新的なエンドツーエンドのeコマースプラットフォームを利用し、消費者にシームレスな中古車購入体験を提供しています。同社の強みはスケーラブルなデータ駆動型テクノロジーです。取り扱う車両の選択肢の広さ、透明性のある価格設定、競争力のある車のローン提供、および自宅までの車両配送サービスが人気となっています。

4.海外進出・海外展開への影響

さまざまな業界でオンラインで完結する購買経験が一般的になる中で、従来より対面での交渉事が一般的だった業界にも変化が見られています。特に、車の購入はディーラーとの駆け引きで何時間もかけることも少なくなく、消費者にとってはストレスを伴なう購買行動となっていました。

現在、車の購入の主力となっている消費者は、1981年から1995年に生まれたミレニアル世代です。そして、今後はZ世代と呼ばれる1996年から2012年に生まれた世代も参画してきます。実は、2020年の時点で、アメリカにおける総消費の40%以上はZ世代が占め、Z世代の大きな購買力を示すデータもあるのです(https://www.theshelf.com/the-blog/generation-z/)。このような大きな消費者層を惹きつけるには、新世代の求める新しい形での購買体験を提供していく必要があります。

Z世代やミレニアル世代の特徴として、消費において体験に重きを置くという点があります。また、Tech savvy (テクノロジーの精通者)と評されるミレニアル世代とTech native (テックネイティブ)と呼ばれるZ世代は、デジタル、その中でもモバイル前提の世界線にいることも注目すべきポイントです。ショッピングプラットフォームとして、デジタル(特にモバイル)を利用した購買は、今後ますます盛り上がっていくことでしょう。

日本企業が海外進出する際には、販売戦略のひとつとしてモバイルプラットフォームの強化を考えてみてはいかがでしょうか。消費者にシームレスな体験を提供するモバイルアプリなどを活用することで、若い世代の消費者獲得に有利に働くことが期待できます。

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