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マーケティング
2022.11.14

顧客開拓に有効なパートナーシップ・マーケティング、米国大手企業が積極的に活用中

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1.はじめに

パートナーシップ・マーケティングは、2つ以上の企業が力を合わせ、より多くの人々にリーチするための効果的な方法です。同じようなターゲット市場を持つ別企業と協力することで、大きな相互利益を得ることが期待できます。

Hinge社が発表した「2022 High Growth Study」によると、パートナーシップ・マーケティングは、企業にとって最も影響力のあるマーケティング手法の第8位にランクされています(https://hingemarketing.com/blog/story/high-growth-study-2022-four-key-advantages-drive-dramatic-growth-and-profitability)。これは、ウェビナーや会議やイベントでの講演など、一般的なマーケティング手法と同じレベルで重要視されていることを意味します。

ただし、パートナーシップ・マーケーティングの実施には注意点もあります。マーケティング施策においては、闇雲に他企業と提携するのではなく、目標とビジョンが一致している相手とタッグを組むことが重要となります。

本稿では、企業がパートナーシップ・マーケティングを採用することの利点と、マーケティング施策において注意したいポイントについて紹介します。パートナーシップ・マーケティングを介してビジネスの成長を推進する方法を米国大手企業の実例とともに見ていきましょう。

2.パートナーシップ・マーケティングの定義

パートナーシップ・マーケティングは、2つ以上の企業間の互恵的なマーケティング関係として定義することができます。パートナーシップ・マーケティングには、他の企業と綿密な調査を実施しながら進める大規模な戦略もあれば、Twitterで特定のリツイートをパートナーに依頼するような小規模なものもあります。すべては、戦略目標次第ですが、一般的には以下の3パターンに分類されます。

 

2−1.スポンサーシップ・パートナーシップ

自社製品とは直接関係のない商品・サービスを提供する企業と提携し、自社のブランド認知度を高めます。例えば、AT&Tは、マクドナルドのWi-fiネットワークのスポンサーになっています。両社のコアビジネスは全く異なるため、相手側の利益を損なうことなく、それぞれが新しい顧客層や利益を得ることができます。

2−2.ディストリビューション・パートナーシップ

商品の売上向上を目的として、2つの会社が協力して商品・サービスの共同マーケティングを行うものです。例えば、ある食料品チェーンが、あるサプライヤーの製品を広告キャンペーンで紹介することで、サプライヤーと食料品チェーン両方の売上を伸ばすことができます。

2−3.アフィニティ・マーケティング・パートナーシップ

ある企業が、他の企業や組織の顧客層にアクセスしたいと考え、両者がメリットを得られるようなパートナーシップを結ぶことがあります。例えば、あるスポーツチームが、ゲームで勝利した際に、ファーストフードチェーンのハンバーガーが無料で食べられるクーポンを配布するようなキャンペーンが挙げられます。

3.パートナーシップ・マーケティングのメリット

3−1.リーチを広げる

パートナーシップ・マーケティングは新しい市場の可能性を開拓してくれます。ある企業が特定の顧客層にアプローチするのが難しい場合、その顧客層にすでにアクセスできる別の事業分野の企業と提携することで、これまでリーチできていなかった顧客層に訴求することができます。

3−2.低コストで新規顧客を獲得

パートナーシップ・マーケティングは、低コストで新規顧客を獲得することも可能です。広告やアーンドメディア(顧客やユーザーが情報の起点となる、ブログやSNSなどのメディアのこと)による従来のマーケティング手法にはコストがかかります。一方、2Bマーケティングで相互に有益な関係を築けば、顧客数を増やすための効率的でコスト効果の高い方法となり得ます。

3−3.相乗効果

パートナーシップ・マーケティングは、様々なクリエイティブなアイデアをもたらし、双方のパートナーにとって売上を伸ばすチャンスとなります。健全に高め合う関係を構築できれば、マーケティング・パートナーは、両者のブランドを構築し、収益を増加させる強力な味方となります。

ただし、パートナー関係を結びさえすれば誰でも必ず成功するわけではありません。他の企業と新たなパートナーシップ・マーケティングを実施する際に、考慮しなければならない重要なポイントがあります。

4.パートナーシップ・マーケティングを成功させるためポイント

マーケティング施策における別企業とのコラボレーションでは、お互いの目標とビジョンが一致していることが重要です。

パートナーシップ・マーケティングを成功させるために有効なアプローチ方法を紹介します。

 

4−1.目標を一致させる

どのようなパートナーシップのマーケティングキャンペーンであっても、双方のビジョンと数値目標が一致していることが極めて重要です。最終的に、パートナーシップの片側しか結果に満足していない場合、それは途中でコミュニケーションにミスがあったということになります。長期的なパートナーシップを成功させるためには、双方共通の期待値を設定し、キャンペーン期間中もお互いに確認し合うことが不可欠です。

4−2.並列クラスターにいるオーディエンスを持つパートナーを探す

パートナーシップ・マーケティングの主な目的は、新しい顧客を獲得することにあります。そこでパートナーを選ぶ際には、自社の既存顧客と相手側の既存顧客が重複していないことを確認する必要があります。並行するクラスターにいる新しい顧客を獲得するためにも、自社とは異質なパートナーを見つけることがポイントです。

4−3.パートナーシップの目的を明確にする

自社の製品を補完するようなパートナーシップを探そうとする企業はよくあります。しかし、パートナーシップは、そのような補完モデルに従う必要はありません。例えば、リーチが限られたB2Bブランドが、より多くのオーディエンスと交流するために、躍進する消費財ブランドと提携することもあり得ます。重要なのは、パートナーシップの目的を明確にすることであり、それを達成できるパートナーを柔軟な視点で模索すると良いでしょう。

4−4.透明性を保ち、強みを発揮する

どのような関係でもそうですが、透明性を保ち、お互いの強みを認識し、それを活かすことが、パートナーシップ・マーケティング成功のための基礎となります。両者がそれぞれ独自の価値を提案することで、パートナーシップの目的を充実させ、向上させることができるのです。

5.事例紹介

5−1.スターバックス×スポティファイ
:世界初の音楽エコシステムパートナーシップ

スターバックスとスポティファイは、共同ブランドパートナーシップを結び、「ミュージック・エコシステム」を構築しています。アーティストにとってはスターバックスの顧客にリーチできるメリットがありますし、スターバックスはスポティファイの膨大なディスコグラフィーへのアクセスができるようになります。

スターバックスの従業員は、スポティファイのプレミアムサブスクリプションを取得し、そのプレイリストをキュレーションして、店内で一日中再生することができます。この音楽エコシステムは、スターバックスが誇るコーヒーハウスの環境をさらに伸張させ、アーティストがスターバックスの顧客により多く接することができるように設計されています。

このパートナーシップは、両社がそれぞれのブランド価値を犠牲にすることなく、相手のオーディエンスにリーチすることを可能にし、相互に利益をもたらすものです。

5−2.バーガーキング×マクドナルド
:ファストフード業界の競合2社による異例のコラボレーション

2019年、ともに大手ファーストフードチェーンのバーガーキングとマクドナルドが共同マーケティングキャンペーンを実施しました。競合するブランドがコラボレーションするのは一般的にあり得ませんが、このキャンペーンには営利とは別の目的がありました。

当時、マクドナルドはビッグマックを1個購入するごとに2ドルを小児がんの慈善団体に寄付していました。そこでバーガーキングは、競合するファーストフードチェーンでありながらも、慈善目的のためにマクドナルドと協力して、”A Day Without a Whopper “を開催しました。具体的には、各国のバーガーキングが1日だけワッパー(主力商品)をメニューから外し、代わりにマクドナルドのビッグマックを買ってもらうようにキャンペーンを立てました。

このキャンペーンは、競合する2つのブランドが、慈善活動のために協力し合った素晴らしい事例です。

5−3.GoPro×Red Bull

GoProとRed Bullは、それぞれアクションカメラとエナジードリンクという全く別の商品を展開しています。一方で、両者にはアクション満載で、冒険的で、過激なライフスタイルを訴求する共通点があります。このような共通の価値観を持つ両社は、共同ブランドキャンペーン、特にアクションスポーツにまつわるキャンペーンで効果的なコラボレーションを行っています。

両者のコラボレーションキャンペーンにおいて、GoProは、世界中のアスリートや冒険家に、レース、スタント、アクションスポーツイベントなどをアスリートの視点からビデオに収めるためのツールと資金を提供します。同時に、Red Bullは、これらのイベントの運営とスポンサーを務めます。

このコラボレーションでは独占コンテンツが生み出され、両社の成長を後押しする効果的なマーケティング素材となっています。

6.海外進出・海外展開への影響

パートナーシップ・マーケティングは、自社だけでは難しい目標を達成するための強力な手法です。特に、海外進出・海外展開する際には、ブランド認知のための起爆剤として活用が見込めるでしょう。海外進出・海外展開では、現地での市場参入が障壁となりがちですが、現地のパートナーがいれば、心強くもあります。

自社のブランドビジョンに共感してもらうことができれば、大手企業とのコラボレーションも可能です。お互いの価値を高め合えるようなパートナーを見つけ、柔軟な視点でキャンペーンを打ち出すことが成功のポイントとなります。

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