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注目マーケティング
2022.09.07

顧客のウィッシュリストがEコマースにとって重要な理由

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1.はじめに

ウィッシュリストとは、今すぐの購入意思はなくても興味のある商品を顧客が自分のアカウントに保存することです。将来購入したい商品のパーソナライズされたコレクションを作成しておくことで、顧客は次回の買い物の際の買い忘れ防止や誕生日などのイベントの際に参照することができます。

例えば、顧客がその場で購入を決められない場合に「後で見る」商品として保存しておけば、顧客がそのECストアに戻ったときに、ウィッシュリストからすぐに目当ての商品を見つけることができます。また、結婚式や出産など、大きなイベントに向けたギフトリストとしてウィッシュリストを活用することも人気となっています。

さらに、ウィッシュリストはEコマース事業者にとっても、戦略的な価値を秘めており、上手く活用することで、Eコマースビジネスの成長につなげることもできます。 本稿では、Eコマース事業者の視点から見たウィッシュリストの利点、およびウィッシュリストを実装する際のポイントについて紹介します。

2.ECサイト事業者から見たウィッシュリストのメリット

2−1.データ活用して重要なインサイトを得る

ウィッシュリストは、顧客の買い物思考のスナップショットといえます。顧客のウイッシュリストのデータを集約、分析すると、事業者にとって貴重なインサイトが浮かび上がってくるでしょう。具体的には、以下のような例が挙げられます。

● トレンドを簡単に把握し、それを活用することで、マーチャンダイジング戦略(商品を顧客に適切に届けるための戦略)を最適化する
● フォローアップのEメールマーケティングキャンペーンの効果を測定し、どの戦術が結果に結びついているかを特定する
● 顧客のウィッシュリストに登録された商品を追跡することで、マーケティングの効果を測定する
● どの商品が「後で買う」ために保存され、どの商品が実際に購入されたかを確認することで、購入の障壁となっている根本的な問題を特定する
 ○ 商品の情報が不足しており顧客が購入に踏み切れない
 ○ 価格が予算範囲にない
 ○ 顧客はキャンペーン(割引)があれば買おうと思っている など

2−2.トラフィックを誘導する

ウィッシュリストを介して、多くのトラフィックを誘導することができます。なぜなら、基本的にウィッシュリストには共有機能がついており、ある顧客が自分のウィッシュリストを公開、共有することで、新規訪問者を惹きつけることができるからです。 ウィッシュリストは、お金をかけずにブランドの認知度を上げ、商品を宣伝する方法となり得ます。

2−3.在庫管理に役立てる

ウィッシュリストは、在庫切れの商品に対応することにも役立ちます。在庫切れが原因で顧客を失うことは、Eコマース事業者にとっての悩みの種で、避けたい問題です。 その点、ウィッシュリスト機能があれば、在庫切れの商品をウィッシュリストに保存してもらい、在庫が復活したらメールやアプリ内の通知で知らせることができます。損失を最小限に抑えるための有効なツールになるでしょう。

2−4.効果的なキャンペーンを立てる

ウィッシュリストは、キャンペーンや割引セールについて顧客に訴求することもできます。顧客の中には将来の値引きを期待して、ウィッシュリストに商品を保存しておく人もよくいます。 ウィッシュリスト内の商品がセールになったことを知らせることで、顧客が購入を完了させることに繋がるでしょう。また、すべてのウィッシュリストを収集・分析したデータを使って、どの商品を割引すべきかを決めることもできます。

 

2−5.顧客エンゲージメントを促進する

前述の通り、ウィッシュリストにより事業者は消費者の購買行動に関する貴重な洞察を得ることができます。加えて、ウィッシュリストは顧客自身にとっても有益です。

例えば、ウィッシュリストは、将来必要となるものを購入するためのリマインダーとして機能し、顧客の生活を便利にします。また、ウィッシュリストを自分以外に共有する機能を付加すれば、顧客はクリスマス、誕生日、結婚式、その他の特別な日に欲しいものを簡単に伝えることもできます。ウイッシュリストの商品を誰かが購入すると、その商品は自動でリストから消えるので、重複は避けられます。

顧客の利便性を高め、良いショッピング体験を提供することで、顧客エンゲージメントも高まります。

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3.Eコマースサイト上にウィッシュリストを設置する際のベストプラクティス

ウィッシュリストを作成する際のベストプラクティスとして、事業者は主に以下の観点に注目すると良いでしょう。

● サイトの上部の目立つ場所に設置する(多くのブランドで、サイト右上隅に配置しています)
● 簡単で直感的に使えるようにする
● ウィッシュリストに商品が追加されたことを確認するポップアップを表示する
● 利用者を限定したり、登録を求めたりはしない
● 不要になった商品については顧客が簡単に削除できるようにする

4.ウィッシュリストを効果的に実装しているブランド事例

4−1. West Elm(https://www.westelm.com/

米国の家具ブランド「West Elm」では、刺激的なデザインと色を特徴とするモダンな家具とホームインテリアを提供しています。

同ブランドのサイトには、右上に「お気に入り」オプションが設置されており、これがウィッシュリストになっています。「アカウント」と「カート」の間のわかりやすい場所に設置していることで、顧客はウィッシュリストからショッピングカートに簡単に移動でき、コンバージョン率を高めることが期待できます。

また、ウィッシュリストに商品を追加する手順もとても簡単です。顧客が興味のある商品を見つけたら、商品画像の左上隅にあるハートマークをクリックするだけです。すると、ハートマークのアイコンが白から赤に変わり、ウィッシュリストに追加されたことがわかります。とても直感的で、難しい操作は必要ありません。

顧客が自分のウィッシュリストをチェックしたいときは、サイトのどこにいても右上の「お気に入り」アイコンをクリックし、保存した商品を見ることができます。お気に入りに入れている商品をクリックすることで、そのまま、その商品をカートに入れることができます。

West Elmのウィッシュリストの特徴は、ゲートを設けていないことです。顧客にアカウントを作るよう要求することは、ターゲットメールやその他のプロモーションを後で送ることができるので魅力的に見えるかもしれません。しかし、アカウント登録を課さないサイトの方が、顧客エンゲージメントが向上することが確認されています。また、顧客が購入に至った場合には、注文時にメールアドレスなどを取得することで、その後いつでもターゲットとなるオファーを送ることができます。

4−2.H&M(https://www2.hm.com/en_us/index.html

アメリカ発信のファストファッションブランド「H&M」も直感的に利用できるウィッシュリスト機能をサイトに実装しています。顧客がウィッシュリストに商品を追加するプロセスは、前述のWest Elmの手順と非常に似ており、気になる商品を見つけたら、ハートのアイコンをクリックします。すると、ウィッシュリストに追加されます。H&Mのブランドサイトのどのページにいても、お気に入りを確認することができ、保存した商品を簡単に検索し、再度チェックし、購入することができます。

H&Mのウィッシュリストの良い点は、商品の削除も簡単だという点です。顧客は、右下のゴミ箱のアイコンをクリックするだけで、興味のない商品を削除できます。顧客に多くの手順を踏ませないことで、より良いエクスペリエンスを提供し、興味を維持することにつながります。

5.海外進出・海外展開への影響

Eコマースの事業者は、ターゲットとする顧客層をしっかりと理解し、マーケティングやマーチャンダイジングのキャンペーンを調整するためにバイヤーペルソナ(実際の調査を行って作成された、組織やブランドの理想的なバイヤーの架空の表現)をよく使用します。

その観点からウィッシュリストを見ると、ウィッシュリストは、顧客の世界を垣間見ることができる貴重なインサイトです。ウィッシュリストは、顧客が「今」欲しいものを明確に示す指標であり、顧客の世界、願望に対する洞察を提供してくれます。ウィッシュリストのデータは、企業のブランディングやマーケティング戦略、顧客とのより深い絆の構築、そして最終的には売上の増加に貢献してくれます。

海外進出する際には、進出先の市場調査が特に重要となりますが、その際、自社のECサイトへのウィッシュリスト機能の導入を検討すると良いでしょう。データを集約・分析して、顧客のニーズを常にアップデートすれば、ビジネスの拡大に役立ちます。

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