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進出事例
2020.07.01

越境ECや海外でウェブ通販ビジネスを始める際にトレンドの製品とニッチを見つける方法(米国の成功事例を参考に)

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1.はじめに

インターネットの発達とスマートフォンの普及、新型コロナウィルスによるオンライン販売への重要の高まりにより、ECビジネスの市場規模は今後も拡大していく見込みです。ある調査では、世界のB2CのECビジネスの市場規模は2019年には3.35兆米ドルに達し、2020年から2027年までの年平均成長率(CAGR)は7.9%の高い値を示すという予測データもあります(https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/b2c-e-commerce-market)。

ECビジネスは、消費需要をリサーチし、何を販売するか決めることから始まります。日本の企業がECビジネスで海外進出する際には、現地の流行や文化などを十分にリサーチする必要があります。ECビジネス立ち上げにはブランド名、ウェブサイトデザイン、マーケティング、 配送など、様々な項目を準備しなければなりません。しかし、まず第一に決めなければならないのは、何を売るかということです。

オンラインビジネスの立ち上げがこれまで以上に容易になっている現代、ECビジネスの競争は激しく、市場は飽和しており、消費者はこれまで以上の消費体験を求めています。つまり、現地の市場で受け入れられ、現地の競合に負けない人気商品を見つけるのは簡単ではないといえます。

本記事では、海外のEC市場で成功を収めている企業の実例とともに、ECビジネスで何をどのように販売すべきかについて考えていきます。

2.販売商品のタイプ:コモディティ化製品とニッチ製品の選択

コモディティ化された製品とは、人々の生活に必要不可欠で大きな需要があるものです。現在のオンライン販売の大部分はこのコモディティ化製品が占めているともいえます。例えば、大手ブランドによって販売されている汎用的で似通った食品、衣服、玩具などがコモディティ化された製品です。

一方で、ニッチ製品とは、ターゲットを絞った特定の顧客に向けた商品またはサービスといえます。多くの場合、これらのニッチ製品は他に類を見ないユニークさを持っており、新しいECビジネスではこのようなニッチ製品を発掘し、販売することが成功の鍵であるといえます。

ニッチ製品は、多くの場合、小ロット、またはオンデマンドで製造されます。具体的には、受注発注型の手作りのネックレス、旬の食材を使った小ロットのフローズンヨーグルト、オーダーメイドの革製品などが例として挙げられます。しかし、ニッチ商品はコモディティ化製品に比べ、収益性が劣る側面があります。そこで、現在ビジネスとして注目されているのがコモディティ化製品とニッチ製品を組み合わせて販売をし、利益率を高める手法です。

コモディティ化商品のみを販売するのでは、競争力で大手ブランドに負けてしまいます。なぜなら、大規模なオンライン小売業者やマーケットプレイスでは、商品を大量に仕入れ、コストを削減、収益性を確保できます。しかし、新規参入企業が大手と同じ土俵で競争するのはコスト面で非常に難しいのです。

その代わりとして、独自の製品やサービスで他との差別化を図り、顧客を獲得しつつ、コモディティ化製品も同時に販売していくのです。

Tyler’s(タイラーズ)の事例
https://www.tylerstx.com/

タイラーズでは、Billabong、Simply Southern、Yetiなどの人気ブランドアパレル製品に加えて、独自の服やアクセサリーを販売しています。一つのオンラインストア内で、ニッチ製品とコモディティ化製品の両者を提供することで、消費者に利便性という付加価値を提供し、顧客の獲得を行っているのです。

3.販売する製品を選択する方法

製品やサービスのアイデアを考える中では、消費者の抱える問題を解決してくれる製品、 競合他社が実現していない新しい市場、ユニークな製品の位置付けとマーケティングを考慮に入れる必要があります。

Bliss(ブリス)の事例
https://www.blissworld.com/

具体的な成功事例として美容およびスキンケアブランド「 Bliss 」を紹介します。ブリスは1996年に設立され、ニューヨークにおいて新しいスタイルのスパとして事業を開始しました。スパ品質のスキンケア製品を提供しています。

2018年2月に若年層の消費者にターゲットを定めたリブランディングを行い、同年9月には、消費者が簡単なスキンケアクイズに答えると、パーソナライズされたスキンケアアドバイスを提供するサービスを始めています(「消費者の抱える問題を解決してくれる製品」)。このスキンケアアドバイスでは、肌のタイプ、年齢、居住地などの顧客情報を収集すると同時に、ブランドと顧客との間に共同体意識を育むこともできます。

また、Blissでは最先端の技術や有効成分をスキンケア商品に取り入れ、他ブランドとの差別化を図っています(「競合他社が実現していない新しい市場」)。さらに、PETA認定や、商品開発段階における動物実験の不使用いうブランドイメージを全面に押し出し、顧客に訴えかけています(「ユニークな製品の位置付けとマーケティング」)。

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4.ブランディングの重要性

「ブランディング」とは、企業のブランドの価値を高め、消費者にとってのメリットを大きくすることで消費者から選ばれるブランドづくりをすることです。つまり、ブランディングの目的は「企業価値を向上させること」とも言うことができます。

しかし、この企業価値というものは、消費者のイメージとして蓄積されているもので、お金として視覚化するのは容易ではありません。しかし、目には見えにくいこの価値こそが、企業の差別化要因であり、ECビジネスで優位に立ち、長期的に成功するためには不可欠なのです。

ブランディングには複数ありますが、例えば以下のものが挙げられます。
●ロイヤルティ(例:動画視聴といえばNetflix)
●認知(例:ディオールから新しい香水が出ている)
●品質の知覚(例:ル・クルーゼなら品質に間違いない)
●ブランド連想(例:テスラ=環境に優しい)

消費者が普段の生活の中で無意識に感じていること、そして無意識のイメージに基づく行動は非常に大切なのです。新しいブランドを立ち上げる際には、どのようなブランドメッセージを作るかが重要であり、消費者の共感を集める強力なブランドメッセージは、競争相手との差別化に役立ちます。

ブランドメッセージを作成する過程では以下の項目を検討する必要があります。

●ターゲットにする消費者層
●製品のタイプ(コモディティ化製品/ニッチ製品)
●ブランドメッセージをとなるキャッチコピー
●ブランドメッセージを伝えるための商品設計、ウェブサイトデザイン

Solo Stoveの事例
https://www.solostove.com/

Solo Stoveでは消費者に共鳴するブランドエクスペリエンスを作り上げることに注力しています。具体的には、家族や恋人など大切な人との思い出を作り、絆の再構築というブランドメッセージを掲げ、それがビジネスの成功につながっています。このブランドメッセージの軸への集中こそが、同ブランドを愛用してくれる消費者を通したオーガニックマーケティングへつながり、飛躍的な成長を遂げたのです。

なお、オーガニックマーケティングとは、広告を使わずに、検索エンジンやSNSの自然流入を利用した集客手法のことを意味します。既存のユーザーや訪問ユーザーの行動やフィードバックを分析し、ターゲット層に合った質の良い情報を公開し情報量を増やし続けることで、広告展開なしに潜在顧客に見つけてもらいます。

消費者に刺さるブランドメッセージを設け、それを活用して消費者の自発的なコミュニティを作成することが、オンラインストアを成長させるための重要な要素です。

5.トレンドの把握

新しくECビジネスを始める際には、既存市場をリサーチして、新興市場を発掘することが有効です。競争相手の少ないニッチ市場を活用すれば、自社ブランドの展開のハードルは下がることでしょう。 なぜなら、競合の少ない市場では、一気に顧客を獲得、後続の同業者に対しての優位性を獲得できるからです。

具体的なトレンドとして、以下のカテゴリが近年注目を集めています。

●外出時に便利な健康補助食品
●クラフト飲料(モクテルなど)
●サブスクリプション型のボックス(化粧品、食品、飲料など)
●CBD製品
●日記帳のようなパーソナルプランナー
●ペットフード
●製品開発に動物実験を行っていない美容製品
●カメラと写真関連製品
●シェイプウェア

6.おわりに

このように、ECビジネスの普及が進んだ現在では、いかに他のECビジネスとの差別化を図るかが重要です。時代の移り変わりとともに、消費者の需要も変わりますので、ニッチ市場にうまく参入することができれば、ECビジネスで成功するチャンスは十分あります。

ECビジネスに関して、日本に比べてアメリカのほうが市場規模が大きい状況にあります。ここにまだ市場が開拓されていない製品やサービスを投入することができれば、国内のみで展開するよりも、非常に大きな成功を収めることも可能でしょう。

ただし、メッセージ性の高い製品が、必ずしも収益性が高いわけではないことには注意が必要です。この場合、ブランド力を高めるための製品と、収益を出すための製品を織り交ぜて展開していくことも一つの方法として検討しましょう。

これから海外でECビジネスに参入する日本企業では、日本では一般的な製品・サービスであっても、海外では目新しいものもあります。一方で、日本で受け入れられていた形そのままでは、海外の文化や流行にそぐわないこともあります。新しいビジネスを展開する際には、事前のリサーチを十分に行い、現地の消費者に受け入れてもらいやすいブランディングとマーケティングを展開していくことが成功の鍵といえるでしょう。

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