アメリカ進出・展開を目指す日本企業をサポートするTandemSprint, Inc.

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生活・不動産・ファッション
2021.02.15

アメリカで需要が高まるバーチャルトレーニング :フィットネスの新しいビジネストレンドとは

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1.はじめに

2020年、新型コロナウィルスの影響により、多くのフィットネスビジネスが混乱に陥りました。2020年3月には、アメリカ各地でロックダウンが始まり、フィットネスクラブも閉鎖を余儀なくされたのです。

しかしながら、現在では、新しいフィットネスビジネスの形で再スタートを切ろうとしています。例えば、オンラインでフィットネスクラスを開催したり、自宅にジムと同じような設備を用意したりと、安全に運動を楽しむための工夫が考え出されているのです。2021年のフィットネスビジネスの柱は、利便性、安全性、モバイル性の3つに特徴付けられるといえるでしょう。

このようなトレンドは海外進出を考えている日本企業にとっても追い風です。オンラインベースであれば、日本から海外展開する際のハードルが一段下がります。海外ではまだメジャーになっていない日本的なスポーツなど、海外進出の可能性は様々でしょう。

本稿ではアメリカを中心にフィットネスビジネスの現況について紹介するとともに、トレンドの変化で成功した企業と、苦境に陥った企業の違いについても説明します。また、話題のスタートアップ企業についても紹介していますので、今後のビジネス展開の参考にしていただけますと幸いです。

2.アメリカにおけるフィットネスビジネスのトレンド

アメリカ各地でロックダウンが始まり、人々が自宅で過ごさなければならなくなった時、さまざまなフィットネス商品が大規模な売上高増加を示しました。アメリカの大手スポーツ用品店Dick’s Sporting Goodsによると、既存店売上高は直近の四半期に2桁急増を示したとのことです。これは、同社が約20年前に上場して以降、最高の業績となりました。

アメリカの老舗市場調査会社、NPDグループ(https://www.npd.com/)の小売データによると、健康およびフィットネス機器の収益は2020年3月から2020年10月にかけて2倍以上に増加し、23億ドルを記録しました。例えば、トレッドミルの売り上げは135%急増し、エアロバイクの売り上げはほぼ3倍になるなど、在庫切れが多発したのです。この傾向は季節が冬に変わっても継続しており、春と夏では自転車とカヤックの購入が急増したのと同様、季節が冬に近づくと、クロスカントリースキー、スノーシュー、アウターウェアなどのウィンタースポーツグッズの売上増が見られています。

次に、フィットネスクラブについても見ていきましょう。

パンデミックが発生して以来、多くのフィットネスクラブで会員数が減少し、一部企業は破産(Chapter 11)申請をすることになりました。例えば、Gold’s Gym、24 Hour Fitness、Town Sports International Holdings(New York Sports Clubsの運営母体)などが例に挙げられます。

一方で、自宅でのトレーニング需要の増加に上手く対応できたフィットネスクラブは、利益を維持しています。例えば、高級ジムの代表格EQUINOXや格安フィットネスジムの大手チェーンPlanet Fitnessにおいては、それぞれのジムの客層は異なるものの、両者ともジムの閉鎖に機敏に対応した点で共通しています。両者とも、ジムの物理的な閉鎖が決まった直後に、独自のワークアウトアプリをリリースし、会員の保持に成功したのです。

実は、フィットネスジムのデジタル化の傾向は新型コロナウィルス前から進んでいました。それがここに来て急速に広まり、流れに乗れなかったビジネスが淘汰され、デジタル化を上手く推進できたビジネスへの集中や、新しいビジネスの台頭に取って代わっているのです。

3.フィットネス業界で注目のスタートアップ事例

ここではフィットネス業界に最新の技術を導入している注目のスタートアップ企業を紹介します

3−1.Mirror
(https://www.mirror.co/)

Mirrorは2016年にニューヨークで設立されました。その後、2020年6月29日にLululemonに5億ドルで買収されています。

Mirrorは、コネクテッドデバイスを用いたフィットネスシステムを展開しています。洗練されたレスポンシブディスプレイを介して、ライブクラスとオンデマンドクラスを在宅のユーザーにストリーミング配信しています。 ミラー型のコネクテッドデバイスがユーザーの動きや体を分析し、リアルタイムにパーソナライズ化されたフィードバックをユーザーに提供します。そのフィードバックに合わせて、ユーザーはカーディオ、筋力トレーニング、ヨガなど、さまざまなジャンルのクラスの中から適したものを選択することができます。

3−2.Tonal
http://www.tonal.com/

Tonalはカリフォルニア州サンフランシスコで、2015年に設立されました。Tonalは自宅での筋力トレーニングをサポートするプラットフォームであり、人工知能と専門家主導のコーチングを使用しているところが特徴です。

Tonalでは専用のトレーニング機器の製造も自ら手掛けており、ユーザーはTonal専用の機器を壁に設置して、トレーニングを行ないます。個々の要件に基づいて、筋肉の強化や、バランス調整、などのトレーニング計画および、コーチによるライブクラスの配信を提供することで、自宅にいながらクオリティの高い本格的なトレーニングができると人気となっています。

3−3.Kanthaka
(https://mykanthaka.com/)

Kanthakaは2016年にヒューストンで設立されました。これはユーザーとパーソナルトレーナーをオンデマンドにつなぐモバイルアプリです。

ユーザーがトレーニングを行いたい場所と日時を指定すると、その条件にマッチしたトレーナーの写真、経歴、認定資格、レビューが表示されます。トレーニングはインストラクターとの1対1のセッションを対面で行なうことも、オンラインで行なうこともできます。トレーニングの内容は記録されるので、次回以降インストラクターが変わったとしても、中断したところから効率的に再開することが可能です。トレーニンへの支払いはアプリを介して行われます。

3−4.EnvisionBody
https://www.envisionbody.com/

2013年に設立されたEnvisionBodyは、運動に応じて画像を変換できる技術について3つの特許を取得しています。同社では、心拍数センサー、コンピュータービジョン、人工知能からのデータを使用して、現在の体型とトレーニングへの取り組みに最適なトレーニングを提供する拡張現実ソフトウェアを開発しています。光学追跡により、ユーザーの画像をキャプチャし、ARアプリケーションを介して処理し、ユーザーの拡張画像を画面に表示します。世界最大のテクノロジー見本市CES2020でも話題となった注目のスタートアップです。

3−5.Peloton
(http://www.onepeloton.com/)

Pelotonは2012年にニューヨークで設立されました。デザイン性と最新のテクノロジーを融合させた高価なフィットネスマシンと、世界的なインストラクターが率いるライブフィットネスクラスの配信で非常に勢いある企業です。2020年12月には、世界最大の業務用フィットネスマシンサプライヤーのひとつであるPrecorを買収する意向を発表しました。

Pelotonではサブスクリプション型のサービスを提供しており、基本的な仕組みとしては最初にPelotonオリジナルのバイクあるいはトレッドミルを購入し、その後は月額39ドルでオンデマンド型のフィットネスクラスを視聴しながら運動します。世界的に有名なカリスマインストラクターによりレッスン映像の配信が人気となっており、ライブレッスンでは他の参加者とリアルタイムで順位を競い合うこともできます。

4.海外進出・海外展開への影響

今後、新型コロナウィルスのワクチン接種が進み、新型コロナウィルスの影響は落ち着いてくることが期待されています。その中で、ホームフィットネスビジネスはどうなるのでしょうか。

自宅用のフィットネス機器にお金をかけ、自宅でのエクササイズに慣れた消費者の一部は、フィットネスクラブに再び戻ることを躊躇する可能性があります。そのため、顧客の戻りを期待してただ耐え忍んでいたフィットネスクラブの先行きは明るいとはいえないでしょう。一方で、コロナ疲れと呼ばれる減少にも注目です。学校や仕事、そして余暇の時間も自宅で過ごすことの多くなった消費者の中には、オンライン環境にうんざりしているという人もいます。また自宅に本格的なフィットネスマシンを揃えるには費用がかかります。そのため、消費者によっては安価なフィットネスジムの方を好む場合あるのです。

つまり、将来的なトレンドとしては消費者に様々な選択肢を与えられるビジネスモデルが強いといえます。自宅で運動するのは便利ですが、人とあって直接交流したいという気持ちになることもあります。この傾向は、フィットネスビジネスに限定されるものではありません。様々な業界にオンライン化の波がきている中で、あえて以前のような実際に対面するサービスを恋しく思う消費者もいるのです。今後のビジネスではデジタルとアナログのバランスが重要であるといえるでしょう。

日本から海外進出を考えている企業の方は、このトレンドの変化に敏感に対応する必要があります。例えば、ビジネスの軸はオンラインとしながら、顧客が実際に目にしたり、手にしたりできる要素も残しておくことで、様々な需要に柔軟に対応できるようになります。

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