アメリカ進出・展開を目指す日本企業をサポートするTandemSprint, Inc.

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生活・不動産・ファッション
2021.10.22

アメリカでもキャンピングカーの人気が上昇中/レンタルプラットフォームなどの関連スタートアップも増加中

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1.はじめに

現在アメリカではRVへの注目が高まっています。 RVとは、Recreational Vehicle(休暇を楽しむための車)を略したもので、キャンピングカーもその一つです。。Recreation Vehicle Industry Association (RVIA)によると、アメリカの総世帯の内、約10%がRVを所有しており、新型コロナウイルス(COVID-19)をきっかけに、ソーシャルディスタンスをとりながらも旅行を楽しみたい消費者の心理状態が重なったことで、現在RVの売り上げが急増しているのです。また、RV人気に乗じて、RVのレンタルプラットフォームや新世代のRVなども生まれています。

本稿ではRVビジネスのトレンドについて紹介するとともに、RV関連のスタートアップ企業についても取り上げていきます。海外展開の際には、現地で話題のビジネスモデルを参考にすることが有効です。また、RV業界の成長は、車両製造だけでなく、サービスプラットフォームや、保険ビジネスなど幅広い分野に関連していきます。海外のビジネストレンドを参考に、海外進出のビジネスアイデアにつなげていただけますと幸いです。

2.市場予測

新型コロナウイルスの世界的大流行が始まった直後は、世界中で小売業者および製造拠点が閉鎖されたため、RVの出荷が減少していました。RVIAによると、具体的には、2019年3月発表のRVの総出荷台数は38,015台だったものが、2020年3月には30,288台と、前年度比20.3%の減少となっていたのです(https://www.rvia.org/news-insights/rv-shipments-march-2020)。

しかし、2020年の下半期に規制が解除されはじめると、安全に旅行をしたいという消費者が増え、RVの需要が急増しました。RVIAでは、2020年6月の調査で、RVの売上が前年度比で170%も増加し(https://www.rvia.org/news-insights/people-flocking-rv-travel-summer-social-distance)、約4,600万人のアメリカ人が今後12か月以内にRV旅行を計画している(https://www.rvia.org/news-insights/46-million-americans-plan-go-rving)ことを発表したのです。一方、メーカーの月次調査によると、RVの総出荷台数は2020年7月に43,035台を記録し、2019年7月に出荷された28,044台から53.5%も増加していました。

アメリカのRV市場は2020年に267億米ドルと評価されており、2021年から2026年のCAGR(年平均成長率)は約5%で、2026年までには357億米ドルに達すると予測されています。

3.業界トレンド

新型コロナウイルスの影響で急激な需要増となっているRVですが、RVへの注目は過去10年ほど前から高まっていました。これは従来とは異なる多様な購入者層がRVの購入をするようになったことが主な要因です。実は、従来、RV所有は高齢の退職者の娯楽としての側面をもっていました。しかし近年では、このRV所有者の人口統計は変化しています。

RVIAのレポートによると、初めてRVを所有する人の54%は女性であり、半数以上が55歳未満です(23%は35歳未満)。また、 RV所有者の多くは既婚者であり、平均以上の所得があり、家を所有していることもわかっています。また、ミシガン大学の調査によると、RVを楽しむ人々の54%がペット同伴だということです。 現在では、リモートワークという働き方が普及したことにより、RVで旅をしながら仕事をすることも可能となりました。今後も働く世代のRV所有が増えていくことが予測されています。

RVの種類には、一般車の内装を変えてキャンピングカーにしたものや、トレーラーを乗用車で牽引するタイプなど、様々な種類があります。現在のトレンドは小型で超軽量のトラベルトレーラーです。特にティアドロップキャンピングカーと呼ばれるコンパクトタイプのものは、一般車両や一部のオートバイで牽引できるため、大型車を所有していなくとも気軽にRV旅行を楽しむことができるため、人気となっています。

そして、RVの所有者が増加するにつれ、それを使用していないときに貸し出すビジネスも盛んになってきています。RVを貸し出したい人と借りたい人をマッチングするためのプラットフォーム事業を始めるスタートアップ企業も続々と誕生しています。

4.スタートアップ企業事例

4−1.移動ホテルがコンセプトのトラベルバン「Cabana」
https://www.cabana.life/

シアトルを拠点とするスタートアップのCabanaは、ユーザーにエンドツーエンド(E2E)の旅行体験を提供しています。顧客がホームページ上のアンケートに回答していくと、Cabanaは旅行の全旅程を作成してくれます。そして、ベッドルーム、バスルーム、キッチンエリアを含むCabanaのトラベルバンとともに旅を始めることができるのです。

このトラベルバンには、ベッド、テレビ、冷暖房、シャワーなどの多機能が備わっており、ホテルの部屋とともに移動する、というコンセプトを実現しているといえます。顧客はCabanaでトラベルバンを予約して、登山口の近くや野外フェスティバルなど、車でないとアクセスがしづらい場所に簡単に移動、快適に滞在することができるのです。

同社は2019年に設立され、2020年5月にはシード資金調達ラウンドで350万ドルを獲得、2021年6月にはシリーズAで1000万ドルの資金調達をすることが発表されています。

Cabanaは現在ロサンゼルスとシアトルで利用可能であり、35台のトラベルバンを保有していますが、今後車種・保有台数ともに拡充していく予定です。

4−2.RVレンタルのマーケットプレイス 「Outdoorsy」
https://www.outdoorsy.com/

Outdoorsyは、RVの所有者とRVキャンプをしたい人をつなぐマーケットプレイスプラットフォームです。多くの人々がRVを所有している一方で、RVを借りたいと思っている人もたくさんいます。Outdoorsyはこれらの人々のマッチングを手掛けています。

Outdoorsyは、2026年までに350億ドルを超えると予想されているアメリカのRV車業界の中で、初めてのピアツーピア(P2P)サービスとして登場しました。2014年テキサス州オースティンで設立された同社は、RVの個人間取引を簡単かつ安全に行えるプラットフォームを運営しています。このプラットフォームでは、RVで旅行するのが好きな人々に、借りるという選択肢を提供し、RV所有者には収入を得る機会を提供してくれるのです。

また、Outdoorsyの競合企業として、RVShare(https://rvshare.com/)もアメリカ国内でピアツーピアRVレンタルサービスを展開しています。

4−3.テスラのEVピックアップトラックをキャンピング仕様に拡充できる「Cyberlandr」
https://www.cyberlandr.com/

テスラ社では、同社初のEVピックアップトラックとして「サイバートラック」を発表しており、2022年に生産開始予定です。そして、それに先行して、2021年5月には、テスラのサイバートラックをキャンピングカーにするアタッチメント「サイバーランダー」の予約販売を開始しました。
サイバーランダーは、コンパクトサイズながら、シャワー、キッチン、ベッドを装備しており、これがあれば、移動可能な住居として、週末の旅行や緊急時の避難所にも使えるようになります。

5.海外進出・海外展開への影響

新型コロナウイルスによるロックダウンの影響で一時的に生産や販売が落ち込んだRV業界ですが、将来的な見込みは非常に明るいといえます。人々の行動様式の変化も後押しとなり、今後RV関連の新しいビジネスが生まれてくることでしょう。大手企業もRV需要に敏感に反応していることから、同業界へ既存企業が新規参入することも予測されます。

特に、若年層が消費者の中心になりつつある現状は、将来的成長の大きな後押しになります。働く場所に柔軟性が増しており、QOLを重視する傾向の強い若い世代にとって、RVで旅をしながらの生活は、非常に魅力的なものとなっています。同世代は、デジタルでのシームレスな手続きを好む傾向にあるため、RV業界においてもスマートフォンを使って、気軽に予約、質問などができる流れとなってきています。

日本のRV業界はアメリカほど規模が大きくはありませんが、車中泊ブームもあり、RV関連ビジネスは増加しつつあります。例えば、「Carstay(https://carstay.jp/ja/stay)」は全国各地に点在する駐車場や空き地を車中泊・テント泊スポットとして、滞在先を探す旅行者へ案内するマッチングサービスとして2019年1月にリリースされました。また、日本RV協会とタイムズ24が業務提携し、キャンピングカーの駐車場所を拡大するなど、日本国内にもRV関連のビジネスが始まりつつあります。

今後、RV事業の成長とともに、保険や車両メンテナンスなど、関連サービスが生まれてくることが予測されます。このような国内での新規アイディアを伴って、海外市場にうまく参入できれば、国内では実現できなかった大規模な事業成長も可能となるでしょう。

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